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【第83回全国高校サッカー選手権大会 大会総括】鹿児島実業の優勝で幕を閉じた今大会。今後は「選手育成」に期待(05.01.11)

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 83回を数える高校サッカー選手権は、史上初となる決勝でのPK戦という形で幕を閉じた。優勝は鹿児島実業。得点王がわずか4点で3人が並んだことからも分かるように、今大会は「守備の大会」。岩下敬輔という傑出したディフェンスリーダーを擁した鹿児島実業がスコアレスドローからのPK戦を制して優勝したのは、その点で象徴的だった。

 日本一になった鹿児島実業こと「鹿実」のサッカーは単に力強いだけでなく、柔軟性にも富んでいた。大会当初は4バックでスタートしながら、北海(北海道)戦で右DFの重富が退場するや、すぐさま3バックへ変更。これが奏功したと見て、重富復帰後も3バックで乗り切った。これは松澤隆司総監督が「どんなシステムにも対応できる」と胸を張ったとおり。昨年の高円宮杯では主将の岩下をはじめとして怪我人が続出。このため、レギュラー外の選手を多数起用せざるをえなかったが、このことが選手層に厚みを持たせることにつながり、赤尾のような大会途中で控えから抜擢されてもまったく遜色ないレベルの選手を育てることになった。図抜けた力を持つチームが見当たらない中、各ポジションにバランスよくレベルの高い選手が揃い、ベンチメンバーの質も高かった鹿実の優勝は極めて妥当なものだった。

 「守備の大会」というのは、攻撃で傑出した能力を発揮した選手が少なかったことの裏返しでもある。特にストライカーの不足は目立った。上位陣では盛岡商(岩手)の福士徳文、国見(長崎)の渡邉千真、鹿児島実業の山下真太郎といった面々が水準以上の力を見せてくれたものの、過去の大会に比べると、やや寂しい印象は否めない。そんな中、早期敗退したものの、滝川第二(兵庫)の森島康仁のプレーは際立っていた。清水入りが内定しているエース岡崎慎司の負傷により回ってきた出番で躍動。結果として星稜(石川)に敗れたとはいえ、高さ自慢の星稜CBコンビの上を常に行くヘディングでの1得点1アシストは驚異的だった。186cmという数字上の高さだけでなく、ジャンプのタイミングが絶妙で、点で合わせる動きに長けていた。まだ2年生。新シーズンでのさらなる飛躍を楽しみに待ちたい。

 中盤に目を向けると、鵬翔(宮崎)の興梠慎三と星稜の本田圭佑という2人の名手の名前が出てくる。ただ、2人ともハードマークに加えて、コンディションの問題もあり、持っている才能のすべてを出し切ったとは言い難い。彼らが進む「Jリーグ」での本当の意味でのブレイクに期待しておきたい。彼ら以外で、特に1、2年生で飛び抜けたプレーを見せる選手があまり見られなかったのは少々残念だった。藤枝東(静岡)の鈴木崇記、市立船橋(千葉)の小山泰志など才能ある選手が新シーズンでブレイクしてくれることを願うが、改めてJクラブのユースへ人材がシフトしているという事実を意識させられる大会ともなった。これはJのユースが選手をうまく育てるようになったというより、中学年代のスカウトに熱心になったためだが、結果として高校サッカー界の人材の枯渇を招いているのも事実である。今後は「選手育成」という観点からの高校サッカー界の「反撃」に期待して、第83回高校サッカー選手権の総括としたい。
 
以上

2005.1.11 Reported by 川端暁彦(エル・ゴラッソ

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