KIRIN WORLD CHALLENGE キリンチャレンジカップ2005 - Go for 2006!
2005年2月2日(水)19:30/埼玉ス/32,832人
日本代表 3-0(1-0) シリア代表
<得点者>
44分:鈴木 隆行
69分:宮本 恒靖
90分:小笠原 満男
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本番を控えた日本代表にとって、このシリア戦は非常にいいマッチメイクだった。
「体も強いですし、個人個人の技術もしっかりしていたのでイランみたいな感じだったと思います。いい対戦相手だったと思います」(田中誠)
「今日の試合はシミュレーションとしてすごく良かったんじゃないかと思います」(三都主アレサンドロ)
「最後、相手が意外に出てきましたね。早い選手もいましたし、すごくいい練習になりました」(宮本恒靖)
極寒の埼玉スタジアムでシリア代表が見せたパフォーマンスは、カザフスタンのそれとは比べものにならないレベルにあった。日本はそのチームを相手に、良さと悪さを出しながら結果的に3ゴールを決めた。北朝鮮戦前の最後の親善試合は実り多きものとなった。
まずは良さから。一つには、攻撃パターンのバリエーションを試せたという点が挙げられる。例えば前半9分に小笠原満男が、中盤にまでポジションを下げてボールを受けた場面では、自分をおとりにして相手ボランチの20番ムータセム・アラヤを引き出し、遠藤保仁の攻撃参加を促した。小笠原自身が試合前日の練習後に「タテ方向のポジションチェンジもいいと思う」と話していたが、まさにその形が出てチャンスを作り出した場面だった。わずかな時間の中で、日本代表が確実に進化して見せていることを伺わせる。
またシリア戦の前日練習で試していたサイド攻撃もよく出せていた。立ち上がりから目立っていたのは右サイドからの崩しを見せていた加地亮。サイドでの1対1の場面で果敢につっかけていき、きっちりクロスで終われていた。欲を言えばもう少しだけ精度がほしいところだが、まずは及第点だろう。
また左サイドの三都主からの攻撃の場面でも改善の後が見られた。練習試合等では、中央の選手に動きが無くなる場面が頻発していたが、この試合ではそれが目立たなくなっていた。わずかずつではあるが、着実に代表が進歩していることを伺わせる。
サイドからの崩しという観点で最も象徴的だったのが前半44分の鈴木隆行の先制ゴールの場面だった。このシーンでは三都主のラストボールに注目が集まりがちだが、その前の右サイドから加地がクロスを上げる場面が印象に残った。対応する相手選手に対して勝負を挑み、体を半身だけズラして上げたクロスが起点となった。逆サイドにまで流れたこのボールに対し、三都主が受けられるポジションに居た、もしくはまわりの選手が後ろをカバーして三都主がその場所に居ることができた事もチームとしてのコンビネーションの進展を感じさせるものだった。
シリアは中央の3枚が固く、またボランチの2枚がよくバランスを取って危機管理しており、中央突破は難しかった。それだけにサイドからの崩しがこの日の日本代表の生命線となっていた。
良さは良さとして評価したいが、気になる点もあった。それが田中が右サイドから攻撃参加した直後に何度か喫したカウンターだった。その点について田中本人は「取られ方」の悪さだと振り返っている。田中がオーバーラップした後の加地との連携について「まだ、本調子というか連携的にいいとは思っていない」と答えたところから見ても改善の余地がある部分のようだ。もちろんこれは彼らだけの問題ではなく「2列目の選手のポジション取り」(田中)も修正ポイントなのだろう。
宮本は、主に右サイドからの攻撃直後に何度か喫したカウンターについて「カウンターの対処はさらに気をつけないといけない。絶対にカウンター時の確認は怠らないように意識はしてます。若干バランスを崩して攻めに行っているところがあるから。この試合を見た相手チームというのはそこを突いてくると思う」と冷静に判断している。ちなみに三都主に対して絡んで行った中澤佑二のオーバーラップの場面ではカウンターを受ける事はなかった。つまり田中のオーバーラップの場面でも、修正は可能だという事だろう。
日本代表は、相手に退場者出て、宮本が追加点を決めた後の後半81分に、田中を下げて本山を投入。最終ラインを4枚に変更するというシステムチェンジのシミュレーションを行っている。「事前の指示はなかった」(宮本)というこの采配に対しても「そんなに慌てもしなかったし、2分くらいでそれぞれの感覚は戻せました」と宮本は振り返っている。
ジーコ監督に対してはチームのメンバーを固定し続けてきたことに関して批判が出ていたが、チームの熟成方法としてそいう方法論もあるんだ、ということを見せた形だ。もちろんこの代表チームに不満や不安が全くないわけではない。しかし、ワールドカップ最終予選は1週間後に迫っている。もうここまで来れば、彼らを信じるしかない。
北朝鮮戦直前に、骨のある相手から3点を取って快勝できたのは日本にとっては自信につながったはずだ。そしてそれが完勝で無かったことも、慢心を戒める意味でよかったと思う。
さあ行こう。自分たちを信じて。強い決意を持って。北朝鮮戦に向けて、最終予選は秒読み段階だ。
以上
2005.2.3 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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