5月4日(水) 2005 J2リーグ戦 第10節
福岡 0 - 1 甲府 (14:04/博多球/8,788人)
得点者:'19 水越潤(甲府)
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19分に喫した失点が無言の圧力を福岡に与える。後半開始から太田と釘崎を投入し、終了間際には岡山を前線に上げた。しかし、福岡に得点の匂いはない。そして、博多の森を包む閉塞感を払拭することなく、福岡は90分間の終わりを告げるホイッスルを聞いた。「良くないのは点が取れていないところだけ。点が入ってくるような形になれば全体的にいい形になっていく」。松田監督はそう試合を振り返ったが、自分たちのサッカーを表現できないチームに、攻めきれないという課題が重くのしかかる結果になった。
戦前の予想通り、甲府はキックオフと同時にアグレッシブに福岡に挑んだ。迎え撃つ福岡も真正面から甲府を受け止めて力で押し返す。初夏を思わせる気候の中で始まった試合だが、ともに暑さなど気にせずに激しくボールにアタックを繰り返す。そんな試合の主導権を握ったのは福岡。岡山と宮本がチャレンジ&カバーでバレーの動きを封じ、高い位置からのプレスで甲府の自由を奪って、攻守の切り替えを早くしてゴール前へとボールを運んだ。
しかし先制点は甲府。藤田が左サイドの深い位置から放ったFKがゴール前にこぼれたところを水越がゴールに蹴りこんだ。突然生まれた先制点に福岡の動揺は隠せない。そして、甲府が初めて放ったシュートは貴重な先制点だけではなく、試合の流れをも甲府にもたらした。バランスを失い、ちぐはぐな攻撃が目立つ福岡に対して、甲府は無理に攻めることも、必要以上に守ることもせずに、バランスを保ったまま淡々と試合を進めていく。やがて前半が終了。博多の森のサポーターからブーイングが起こった。
流れを引き寄せるべく、松田監督は後半開始から動く。精彩を欠く有光と右SBの川島を下げて太田と釘崎を投入。中村をSBの位置に下げ、中盤をいつものようにグラウシオを頂点としたダイヤモンドに変える。「システムを変えたので攻撃的に行け」。指揮官はイレブンに檄を飛ばす。そんな指揮官に応えるかのように、46分には太田のヘディングシュートが左ポストをかすめた。さあ反撃開始だ。スタンドには、そんな期待感が漂う。
しかし、福岡の攻撃が活性化することはなかった。なんとか前に出ようと試みるのだが、太田へ合わせる攻撃は甲府に読みきられて思ったように効果が出ず、かといって、他に攻め手も見つけられない。パンチのあるシュート力を買われて初めてJリーグの舞台に姿を現した釘崎も見せ場を作れなかった。こうなれば、甲府がリスクを背負う必要はどこにもない。両SBを低い位置にとどめ、中盤はボールホルダーにきちんとプレッシャーをかけて時間を費やす。そして、当然のように、そのまま試合を終わらせた。
「点を取れなくて守りきられた」。松田監督は試合を振り返ったが、守られたというよりは、甲府に試合をコントロールされた感が強い。この試合に限っては、甲府の試合運びが福岡を上回ったことは確かで、甲府の順当勝ちと言える内容だった。そして何より気になるのは、福岡の選手たちが自分たちの戦い方を見失っているかのように見える点だ。チームとしての能力は高いのだが、そのサッカーを表現できていない。「次の試合は真価が問われる」。試合後の岡山の言葉だが、自分たちのサッカーを表現すべく、福岡は次節の徳島戦に全力で臨む。
勝った甲府は2連勝。シーズン当初は思うように勝ち星を挙げられなかったが、ここへ来て本来の力を発揮し始めたようだ。失点の多さが気になった守備陣も、今季初の無失点。攻守のバランスが取れてきた。「横浜FCに勝てて、福岡に勝って、もうひとつ草津、これで第1クールが終わるので、勝つためにいいゲームが出来ればと思う」とは大木監督。確かな手応えを胸に、いよいよ甲府が上位進出の足がかりを掴んだ。それにしても、福岡は嫌な相手を目覚めさせてしまったようだ。
以上
2005.05.04 Reported by 中倉一志
J’s GOALニュース
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