6月3日（金） 2005 J2リーグ戦 第15節
徳島 2 - 0 横浜FC　（19:04／鳴門／4,589人）
得点者：'8 大場啓（徳島）、'89 冨士祐樹（徳島）
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今節が8戦目のホームゲーム。これまで苦しみ抜いた徳島が見事『ホーム初勝利』を飾った。「開幕の仙台戦での勝利よりもホッとしました」という試合後の田中監督の一言と、一瞬見せた安堵に満ちたその表情が全てを物語っていた。

試合は立ち上がりから両チームが激しくぶつかり合う。
今節の一戦は、徳島に『ホーム初勝利』がかかるだけでなく、低迷する横浜FCにとっても今後の順位争いに非常に重要な一戦となることから普段以上の激しい戦いが予想されたが、まさにその通りの展開となった。あらゆる局面で見せる両チームの選手の攻防には鬼気迫るものさえ感じるほどであった。

そんな中、試合は前半からプレー同様に激しい動きを見せる。
まず、8分に早々と徳島が先手を取る。MF筒井が右サイドゴールライン際から上げたセンタリングに、第10節京都戦以来のスタメンとなったMF大場が頭で合わせゴール。早い時間帯に流れを掴むことを得意とする徳島の特徴が出た先制パンチだった。

そして今度は13分、先制を食らったばかりの横浜FCに不測の事態が。ファールで警告を受けたジェフェルソンが審判への抗議でさらに警告をもらい退場を宣告されてしまう。横浜FCとしては、これから反撃をという矢先に、頼れるストライカーの痛い退場劇となった。

とは言え、1人は失ったものの、横浜FCはその後も互角の戦いを続ける。数的不利な状況も、守備面では「中央はがっちり閉める」というチームとしてのコンセプトをはっきりさせることで要所を抑え、攻撃では効果的なカウンターとセットプレーでチャンスをうかがった。22分、シルビオのシュートがポストを叩く。そしてその後も城、小野（智）を中心に何度かあと一歩で同点という場面も作って見せ、反撃のにおいを漂わせる。逆に徳島は数的優位を生かしてボールをつなぎ、たたみかけるべく横浜FCゴールに迫るものの、これまでの課題であった追加点が今日もなかなか奪えずにいた。

そんな中で迎えた前半終了間際の44分、横浜FCはまたしても1人失うことになる。DF重田が、こちらもファールで警告を受け、まさかの退場。前半終了を待たずして、横浜FCは残り時間を9人で戦うことになってしまった。

後半に入ると、やはり人数の違いが試合に表れ始める。時間の経過とともに横浜FCの選手たちの消耗は明らかになり、徳島のボールポゼッションがそれまでにも増して上がってきた。MF筒井・鎌田の構成から左右のMF大場・金が怒涛の攻めを見せ始める。しかし、試合は支配しながらも依然として徳島は9人の横浜FCを突き放すことができない。羽地、小山の突進も、横浜FC守備陣の粘り強い守りとGK菅野のファインプレーが追加点を許さない。そのジリジリするような雰囲気は何か第1クールの両チームの対戦と重なるものを感じた。しかし、今日はその時とは状況が異なったことが徳島には幸いだったと言えるだろう。後半も半ばを過ぎ、横浜FCは新しいカードを切りながら反撃の機会をうかがうも、もう攻撃にかける力は残っていなかった。逆に徳島は33分に小林、40分に羽地が決定機を迎え、追加点を予感させる。そして、試合終了も近づいた89分、徳島はMF冨士がFW羽地のシュートのセカンドボールを押し込み、待ちに待った追加点を挙げ、この一戦に決着をつけた。

徳島、待望の『ホーム初勝利』。前節の大敗からディフェンス面を立て直せたのも大きな勝因だ。特に久々にスタメン出場を果たした小峯の粘り強さと駆け引きの巧さは、横浜FC攻撃陣にプレッシャーと苛立ちを与え続けた。横浜FCとしては、後半、我慢しながら狙い通りの展開に持ち込んでいたものの、やはり2人という数的劣勢は大きく、跳ね返すことはとうとうできなかった。

試合後、徳島の選手たちには、プレッシャーからの解放感と『ホーム初勝利』を収めた充実感があった。しかし同時に、どの選手も気を緩めることなくすでに次節の戦いに目を向けていた。キャプテンであるDF谷池は「この勝ちを次につなげることこそ大切」と語り、MF秋葉は「ボールキープはできたが、追加点を取るための工夫は次節への宿題」と冷静に試合を分析した。
ここまで苦しんだ徳島だからこそ、今節の記念すべき『ホーム初勝利』を大きなステップとして、チームのさらなるレベルアップによる今後の浮上を大いに期待したい。

2005.06.04 Reported by 松下英樹

以上