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【FIFAコンフェデレーションズカップ 日本代表 vs ギリシャ代表 レポート】ジーコジャパン発足後、ベストといえる内容で欧州王者・ギリシャを撃破。決勝トーナメントへの望みをつなぐ(05.06.20)

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6月19日(日)25:00/ドイツ・フランクフルト/ 34,313人
日本代表 1-0 ギリシャ代表

【得点】
後半31分 大黒将志(G大阪)

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「相手がどこかは関係ない。今日は自分たちのサッカーができた」。2002年秋のジーコジャパン発足以来、チームに苦言を呈し続けてきた中田英寿(フィオレンティーナ)が素直にゲーム内容を評価した。それくらいこの日の日本は面白いようにポールが回った。相手が欧州王者・ギリシャとは思えないほど中盤を支配。中村俊輔(レッジーナ)、小笠原満男(鹿島)らが流れるようなダイレクトパスをつなぎ、柳沢敦(メッシーナ)や玉田圭司(柏)が2度3度と決定機をつかむ。それを決めきれないのが日本代表の悪い癖だったが、後半から登場した切り札・大黒将志(G大阪)が勝負を決めるゴールをゲット。見事に勝ち点3を挙げ、決勝トーナメント進出へののぞみをつないだ。

 15日からドイツ各地で行われているFIFAコンフェデレーションズカップ。1次リーグも2巡目に入り、A組はアルゼンチンとドイツのベスト4進出が決定。B組の日本も4強入りを目指して19日、18時からフランクフルトのヴァルドスタディオンでユーロ2004チャンピオン・ギリシャと対戦した。

 現地は強い日差しが照りつけ、まさに夏本番といった気候。開始時の気温は30度近くまで上昇した。直射日光を受けるピッチ上の気温は一段と高く、中2日の戦いを強いられる選手たちには厳しいコンディションである。それでも初戦・メキシコ戦を落としている日本としては絶対に負けられない。ジーコ監督は今回、3−4−2−1から4−4−2に布陣を変更。より攻撃的なスタイルで勝ちを狙った。スタメンはGK川口能活(磐田)、DF(右から)加地亮(FC東京)、田中誠(磐田)、宮本恒靖(G大阪)、三都主アレサンドロ(浦和)、ボランチ・中田英、福西崇史(磐田)、2列目・小笠原、中村、FW玉田、柳沢という顔ぶれだ。一方のギリシャはユーロ2004を戦った4−4−2ではなく、今回は3−5−2システム。長身FWハリステアス(アヤックス)、機動力あふれるMFカラグニス(インテル)らは健在だ。

 ギリシャの堅守に苦しむ展開が予想されたこの試合。だが蓋を開けてみると、日本が瞬く間に主導権を握った。相手のプレスが緩く、中盤にスペースを与えてくれたこともあって、中村、小笠原、中田英という球扱いに長けた選手たちが素早いパス回しを披露。巧みなポゼッションで欧州王者を翻弄する。2006年ドイツワールドカップアジア最終予選を戦っていた時の日本代表は前線と最終ラインが間延びし、攻撃陣の距離が開きすぎてサポートが遅れたが、この日は全員が近くにいて、流れるような攻撃が見られた。

 そんな流れから19分、フリーになった右サイド・加地が強烈シュート。22分にも中田英のスルーパスを受けた玉田が、その1分後にも柳沢が決定機を迎えた。だがシュートはいずれもワクの外。「あれだけチャンスがあったのだから早い段階で先制しておかなければいけなかった」と中村も悔しがった。ギリシャはブラジル戦を0ー3で落としたショックが大きかったのだろうが、守備は甘く、自慢のセットプレーも迫力不足。しかし日本も決定力を欠き続け、無得点で前半を終えた。

 こういう流れだと嫌な空気が漂うものだが、ジーコ監督は「足りないのは得点だけ」と強調。選手たちを鼓舞した。そして後半も日本は攻めまくるが、どうしてもゴールが遠い。そこで指揮官は21分、ついに満を辞して切り札・大黒を投入。さらに疲れの見えた小笠原に代えて遠藤保仁(G大阪)を起用。彼を2列目に置くという奇策も取った。

 この采配は的中。遠藤が入ってから2分後の31分、日本はついに均衡を破るのに成功する。中村の華麗な左足スルーパスに呼応し、ゴール前に走りこんだ大黒が迷うことなく右足でシュート。これには前がかりになっていた相手GKニコポリディス(オリンピアコス)も反応できず、ようやく日本に1点が転がり込んだ。「右に蹴るふりをして左に蹴った。横からDFが来ていたんで、はよ打たなと思った」と、殊勲のゴールは冷静な判断力から生まれた。

 終盤もCKからの福西のヘッドや途中出場の中田浩二(マルセイユ)の左足シュートなど追加点が入りそうなチャンスがあった。このあたりを決められない詰めの甘さは課題だが、終始相手を圧倒して1−0で勝利。チーム発足から足掛け3年。彼らはベストといえる内容の戦いを演じた。

 少し前までは欧州組に頼りがちだったチームだが、ここへ来て小笠原が絶対的な存在感を見せるようになり、加地、福西らも大きく成長した。宮本率いる最終ラインもギリシャの高さを完封。「ボールだけに行かず、人にもきちんと競り合うような守りを心がけた」と彼も笑顔を見せた。こうした頭を使った守備は来年の本大会に向けて大きな自信になるだろう。

 とはいえ、ここで、満足していてはいけない。あくまで目標はベスト4入りだ。幸いにして22日の最終戦の相手・ブラジルはこの日、メキシコに負けた。世界王者も決してつけ入るスキのない相手というわけではないのだ。この勢いで勝ち点3を狙ってほしい。

以上

2005.06.19 Reported by 元川悦子
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