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【FIFAワールドユース選手権オランダ U-20日本代表 vs U-20モロッコ代表 レポート】初めて自分達の力を試した戦いは、後半終了直前に待ち受けていた衝撃的な幕切れで終わる。(05.06.22)

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●決勝トーナメント 1回戦(ラウンド16)
6月21日(火)27:30キックオフ(日本時間)/オランダ・エンスヘデ/11,800人
U-20日本代表 0-1 U-20モロッコ代表
【得点】後半44分 イアジュール
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延長戦が頭をよぎった瞬間に勝負はついていたのだろう。

「あの時間でも点を取りにくるんだと思った」ストライカーとして不発に終わったカレンロバート(磐田)は実感を込めて話す。
時間帯を、集中することを、必要以上に感じた時、試合は終わっていた。
「ふとした隙をつかれた」

この日、ベンチスタートの兵藤(早稲田大)に代わりキャプテンマークを巻いて出場したディフェンスリーダーの増嶋(F東京)が下を向く。1勝も出来ずにグループリーグを突破してきたこのチームが迎えた幕引きはドラマチックで、衝撃的で、残酷だった。
バーに当たったシュート、届かなかったフィード、数秒の判断の狂いそして、残りわずかでの失点。目に見えないような差が勝負を決定付けることを肌に、脳裏に、焼きつけてこの大会から去ることになった。

ベナン戦を終えた16日あたりから、チームとしてのミーティングの後で選手だけで話し合いの場を持ち続けたと言う。
「仲間割れしても仕方ないし、かといって傷をなめあっても仕方がない。言うべきことはいわないと」その選手ミーティングをまとめた兵藤が話す。
メインテーマは、コンパクトに最終ラインと前線を保つということ。ほとんどの時間をそれに費やし、意見を戦わせたという。
ようやくそれを表現し始めたモロッコ戦前半。
「トーナメントなので初戦オランダ戦のような気持ちで戦おうと思った。」と家長(G大阪)。点を取りにいくという明確な意図のもと、ボールも人も今までよりも動く。カレンロバートのバーに当たった2本のシュートをはじめ、数センチ単位の惜しいシュートが溢れる。そして、好調家長の突破から再三コーナーキックを得る。しかし、決定機は圧倒的に日本に多くありながら後一歩で決まらず、ハーフタイムを迎える。

ちなみに、、、
これまでこのチームの戦いに記者陣は大ブーイングだった。『消極的』『守り過ぎ』と言うのがその理由。しかし、この日のハーフタイム。『やっと戦ってくれてるね』 『ようやく人もボールも動いてるじゃない』と皆笑顔。これまでの戦いでは前半に決定機さえなかったことを思うと惜しいシュートがある事自体が日本人記者陣の笑顔の源となっていた。

そのハーフタイム。選手たちの実感は二手に別れる。
「勝つんじゃないかと思っていた」という主に守備陣。これは失点がなかったことからきている。後半、モロッコの運動量が落ちることが容易に想像できたことからだろう。
一方、「0―0で迎えたハーフタイムは不安だった」という攻撃陣。惜しいシュートが決まらなかったこと。流れの中でこの日はチャンスがありそうにみえても決まらなかったことがその原因だろう。
そして、この日初スタメンながら、思ったように機能しなかった水野(千葉)はこう言う。「前半は、一見自分達のペースのように見えたが、やらされている感、もたされている感があった」と。つまり、11人が同じ手応えを得ることなく後半へ突入した。

後半は、勝利の、、とは言えないが方程式に従うが如く選手交代が行われる。「相手サイドバックを疲れさせることはできた」という、同じく疲労を抱えた家長から前田(広島)へスイッチ。家長はベンチには戻らず足早にロッカールームへ消えた。
「まだやれたけど、流れを変えるためには仕方なかっただろう」という水野は「勝利を見届けるために」そのまま兵藤に代わりベンチにすわり、汗を拭った。

「後半、集中が途切れかけた」と柳楽(福岡)。後半は、前がかりになり(前田投入で4トップに近い形になる)間延びしはじめた中盤は使われ、ゴールを狙われる。明らかなモロッコペース。それでもなんとかもちこたえ延長へと交代枠を1枚のこしていたロスタイム。
皮肉にも途中出場のキャプテン兵藤がバックパス。それがラインを割りスローインからスルーパスを通され、柳楽のマークがはずれ、、ゲームは終わった。

アジアユースが終わった時に口々に選手はいった。

「もうこんな戦い方はしない。こんな苦しさはもういらない。世界にいったら自分達を試すだけ」

しかし、苦しさはグループリーグにもあった。結果が求められる大会で1勝もせずに突破は、ほめられる事でなくても立派な結果である。そして、いざ力を試そうと試みた、モロッコ戦。結果は出た。これが結果だ。1勝もすることなく16強。これは身の丈に合った結果だ。

そして、結果が出た時点が次へのスタート。

未来の日本を背負って立つこの世代。

彼等の新たな勝負が始まる。

以上

2005.06.22 Reported by 了戒美子

-練習風景、コメント等の映像はこちら-
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