6月22日(水)27:45キックオフ(日本時間)/ドイツ・ケルン/44922人
日本代表 2-2 ブラジル代表
○得点
前半10分 ロビーニョ
前半27分 中村俊輔
前半32分 ロナウジーニョ
後半43分 大黒将志
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「ただ引いて守るのではなく、どんどん行けば、ブラジルとも打ち合えることが分かった。それが新たな発見だった」と、2試合連続でマン・オブ・ザ・マッチを獲った中村俊輔(レッジーナ)は手ごたえを口にした。個人技と創造性、巧みなボール回しを見せるブラジル相手に翻弄される時間も長かった日本だが、時間帯によっては互角に攻め合った。中村、中田英寿(フィオレンティーナ)を軸とする攻撃の組み立ては、世界王者相手でも十分通用する部分があった。得失点差で4強進出を阻まれたが、来年のワールドカップ本番に向け自信の持てるゲームだった。
ドイツで開催中のコンフェデレーションズカップ2005に挑んでいるジーコジャパン。ここまではメキシコに敗れたもののギリシャに快勝。勝ち点3でブラジルと並んでいる。しかし得失点差で下回るため、4強入りを果たすには22日のB組最終戦・ブラジル戦で勝つしかない。この日のケルンは、世界王者登場とあって試合前から大いに盛り上がった。スタジアムはほぼ満員の4万5000人近い観衆が終結し、熱戦を見守った。
ジーコ監督は母国との初対決に複雑な心境をのぞかせながらも、勝ちにこだわる姿勢を崩さなかった。先発はGK川口能活(磐田)、DF(右から)加地亮(FC東京)、田中誠(磐田)、宮本恒靖(G大阪)、三都主アレサンドロ(浦和)、ボランチ・中田、福西崇史(磐田)、2列目・小笠原満男(鹿島)、中村、FW玉田圭司(柏)、柳沢敦(メッシーナ)とギリシャ戦と全く同じだ。ブラジルも日本と同じ4−4−2。欠場が噂されたカカ(ミラン)、ロナウジーニョ(バルセロナ)、アドリアーノ(インテル)らもしっかりとピッチに立った。
世界的タレント集団相手に、日本はいきなりのチャンスをつかむ、開始4分だった。小笠原の鋭いスルーパスに反応した加地が前線へ突進。GKマルコスの右わきの下を抜くシュートを叩き込んだのだ。スタジアムは騒然となったが、信じられないことに主審はオフサイドの判定。ジーコ監督も「あのゴールが認められていたら試合はどうなっていたか分からない」と何度も悔やんだ。
幻の1点の後、ブラジルは本気になったのか、非凡な個人技と巧みな裏を取る動きで日本守備陣を翻弄する。バイタルエリアに次々と進入し、決定機を演出。10分にはセットプレー崩れから加地のボールを奪ったロナウジーニョがドリブルで突進。田中をひきつけ背後から回りこみ、飛び出したロビーニョにパス。フリーになったロビーニョはあっさりと先制する。ブラジルの抜け目のなさはさすがだった。
この後も世界王者は攻め込んだ。多彩なパス交換と流動的なポジショニング、緩急をつけた攻めは実に効果的。しかし守備陣は不安定さがあった。日本も24分、小笠原のFKに呼応した柳沢のバックへッドがクロスバーを直撃するなど、ビッグチャンスを作る。そんな流れから27分。中盤でフリーになった中村の25mの芸術的ゴールがネットを揺らした。「前があいていたからシュートのトラップをした」という彼の相手の度肝を抜くスーパーゴールで、日本は1−1に追いついた。
だが、ここで守りきれないのが日本の悪いところ。ブラジルの素早いパス回しについていけず、カカからロビーニョと渡った後、最後は中央に飛び込んだロナウジーニョに合わせられ、2点目を失った。川口は「右手に当たった。弾けるかと思ったけどシュートコースがよすぎた」と脱帽するしかなかった。
前半は1−2で終了。このまま簡単に負けていたら今大会のベスト4進出が叶わないだけでなく、来年にもつながらない。ジーコ監督は後半開始時に玉田と小笠原を下げ、大黒将志(G大阪)と中田浩二(マルセイユ)を起用。思い切って勝負に出た。これは成功し、日本に勢いが戻ってきた。10分には中村がゴール前でフリーの左足シュートを放つなど攻撃意識は一段と高まった。ブラジルもカカやアドリアーノを下げても鋭い攻撃で日本ゴールに襲い掛かり続けたが、フィニッシュの精度を欠く。そんな彼らの疲れと集中力の欠如を日本は逃さなかった。
2度目の同点弾が生まれたのは後半43分だった。中田がペナルティエリアの少し外側でドリブル突破を試み、FKを得た。キッカーはもちろん中村。彼の狙いすましたシュートはポストを叩いたが、これに素早く反応した大黒が余裕を持ってゴール。スタンドはまたも大歓声に包まれ、「ニッポンコール」も沸き起こった。しかし同点では上に行けない。勝利しかない日本は最後の最後まで強引に攻め込んだ。ロスタイムにも福西のクロスに呼応した大黒がヘディングシュート。これは残念ながらGKを直撃し、逆転はならなかった。そして終了の笛。特に後半は攻め込んだだけに、選手たちからは悔しさが垣間見られた。2点の得失点差ではあったが、それがブラジルという強豪の壁なのかもしれない。日本は2大会連続で4強入りを逃した。
振り返ってみると、前半はラインを下げすぎて守備陣が落ち着かず、相手に自由を与えすぎた。中盤も主導権を握りきれなかった。玉田も「落ち着いた時のブラジルとはまだまだ大きな差があった」と言っていた。ボールポゼッションも日本の42%に対し、ブラジルは58%。シュート数も9対19と数字上でも差があった。それでも日本は大善戦した。中村が大いなる輝きを放ち、大黒もスピードで相手と真っ向から対峙した。宮本も「2年前のコンフェデでフランスと戦った時は1点差で負けたのに、今回は同点に追いついた」と強調。「来年は1点取って競り勝てるようになっていたい」と目を輝かせた。あと一歩で準決勝に届かなかった事実を真摯に受け止め、1年後の本番に向けてこつこつとレベルアップを図るしかない。
以上
2005.06.22 Reported by 元川悦子
−練習風景、コメント等の映像はこちら−
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