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【J2:第20節 札幌 vs 甲府 レポート】圧倒優位の前半に甲府は1得点のみ。札幌の逆転勝ちは第3節以来。(05.07.10)

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7月9日(土) 2005 J2リーグ戦 第20節
札幌 3 - 1 甲府 (13:04/札幌厚別/7,614人)
得点者:'18 バレー(甲府)、'49 池内友彦(札幌)、'70 池内友彦(札幌)、'80 相川進也(札幌)
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甲府の先制後、前半44分の藤田の退場により、甲府は10人に。その後、札幌が後半に3得点で逆転。こうした経過だけをみると、退場がターニングポイントかと思われがちだが、それよりも前半のうちに数多く与えられたチャンスを、甲府が1点しかモノにできなかったのが響いた。

まず前半、圧倒的優位を得たのは甲府。前線、中盤問わず、札幌のウイングバックの背後から3バックの脇を主な攻撃ルートにした鋭い動き出しを披露する。スローインを受ける選手の動きからして段違い。札幌は曽田が何度も振り切られたり、ペナルティエリアへの侵入を許すシーンが続く。前半18分、藤田から長谷川に渡ってシュート、GK林が当てるものの、こぼれ球がフリーのバレーに渡り、冷静に打ち込んでゴールというシーンは、試合の流れからして至極当然のものだった。

先制点を取る前も取った後も、『前半、ヘタしたら0対4で終わっていてもおかしくない内容だった』(札幌・柳下監督)という証言の通り、甲府の決定機は続いた。先制前の11分には、長谷川が左から曽田を抜いて中央のバレーに絶好のパスを出したが、バレーは空振り。先制後の24分には石原が岡田を抜いてゴール前へボールを運び、混戦になるが、ぽっかり空いたゴールマウスへ転がる寸前に曽田がかき出して得点ならず。続いて25分には倉貫のシュートがクロスバー直撃。このようにいろいろ甲府の見せ場はあったのだが、2点目には結実せず。それが『前半に決められるところを外した』(甲府・藤田選手)という後悔につながる。

札幌がようやく攻撃のボールを持ち続けるようになれたのは前半の最後の5分ほどから。それまでは甲府の早いプレッシャーに脅えて慌てるようなボールさばきだったのが、砂川が徐々にボールを拾えるようになり、次いで左・和波、右・岡田の両サイドを使えるようになり、甲府を少しずつ後ろへ押し込み、札幌が長い時間ボールを持てるようになった。

中盤真ん中に立っていた藤田の退場後、後半の甲府の布陣は、バレーの1トップ、左2列目の石原を藤田の位置に、そしてFW長谷川を左2列目に移した。中盤のバランスは見た目整っていて、大きな穴は見受けられなかった。しかしながら札幌には前半終盤につかみ始めた攻撃の手応えが、ハーフタイム明けにも残っていた。

後半4分、札幌が快調に飛ばしてCKを得る。このCKはクリアされたがもう一度札幌が拾い、金子、上里と渡り、上里の右サイドのクロスがファーにいた池内に通り、倒れこみながら右足でボレーシュート。この同点で、札幌がたちまち活気づいた。

甲府は左2列目を長谷川からもう一度石原に戻し(長谷川OUT、奈須IN。奈須は中盤の中央に)、さらに『コンディション的に少し調子が悪かったので』(甲府・大木監督)CB池端を青葉に代えるなど急いで手当てするが、札幌は一度つかんだ勢いをもう手放さない。後半18分には砂川がペナルティエリアにドリブルで侵入など押し込みは続いた。

そうなるとFKもいい位置で取れる。後半25分、左寄りからのFKを砂川が蹴り、落下点で混戦の後、池内の足元にボールが転がり、冷静に池内はゴール枠をとらえた。遂に逆転、2対1に。

サイドを走られている甲府は、右サイドから押し返そうと、腰痛で長らく戦線離脱していたアライールが第2節以来の登場、水越に代わり右2列目に入るが、それでも対峙する札幌左サイド・和波の勢いは止まらず。また中央でもFW中山がオフサイドにならないギリギリのところから裏へ抜け出して、甲府の重心を後ろへ引っ張る。

そうして優位の時間を続けていくうちに、後半35分、またもFKから、今度は上里が蹴ったボールを相川がヘッドで当てて、とどめの3点目。ここで勝敗は完全に決まった。札幌は実に第3節(3月19日・草津戦)以来の逆転勝利という価値ある経験を得た。

甲府は、右・水越(後半途中からアライール)と杉山、左・石原(後半は一時長谷川)と井上というサイドのところで強さを長く維持できなかったのが要因か。この試合、4試合ぶりに復帰した札幌・和波が、試合の数日前には「相手のスキをつけばチャンスができると思う」と狙いを語り、試合後に「甲府のスキをつけたのがよかった」と振り返っていた。左サイドの和波や右サイドの岡田のエリアでの、一対一の小さな局面での盛り返し。ここが、札幌の反撃のはじめの一歩になった。

再び勝点で2位グループに並んだ札幌だが、緩みはない。2得点の池内も『前半あれだけ攻められて、0対1で終われたのはツイてた。(逆転は)相手が一人少ない中。気を引き締めてまた次戦へ向けていきたい』と笑顔は少なかった。退場となった藤田も、次節については『自分がいなくても大丈夫』と、チームのポテンシャルを信じる。次戦はわずか中3日。戦国J2では、過大に喜んだり沈んだりしているヒマはない。

以上

2005.7.9 reported by 永井謙一郎
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