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【東アジア女子サッカー大会2005】野田朱美・高倉麻子・大竹奈美・日々野真理が語る日本女子代表の魅力: OFFSIDE TALK:Vol.2(Part.3)(05.07.31)

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Part.3:日本の目指すサッカーをしっかりと見せ付けてほしい!


日々野 みなさんの時代のメンタリティというのは、今の若い選手にもきちんと伝わっているのでしょうか?
大竹 伝わっていると思いますね。一緒にプレーをしている中で私も学び、下の世代に伝えてきたつもりですし。そういうことは繰り返されていますから。今の代表には私たちと一緒にプレーした澤もいるし、彼女も下の世代へ伝えている。女子サッカーのいい伝統が受け継がれているんです。2003年のワールドカップ最終予選プレーオフでメキシコと戦った時は当初「若い子たちは何も感じてない」とか言われていたけど、ベテラン選手たちがプレーを通して気持ちを伝えていった。そういうのも今になると大きいんじゃないかな。

高倉 選手を作り上げるのには時間がかかるものなんです。時間をかけてメンタリティも伝えていくしかない。20代前半で30代のような意識を持っている方が逆におかしいんですから。

野田 今はU−19代表とかカテゴリーに分けて選手強化をするようになりましたよね。それによって選手を年代別に育てられるメリットが生まれたのは確かだけど、年齢制限を設けない方が伸ばせる部分もありますよね。特に女子サッカーは10代でもフル代表に行ける可能性がある競技。女の子は成長も早いですし、早くから上の選手と一緒にやらせることでメンタリティなんかも学ぶことができると思います。実際、ブラジル女子代表の18〜19歳の選手はプレーのレベルも心も大人顔負け。アテネ五輪で活躍したクリスチアーニ、マルタなんかはその典型例でしたね。私たちと同じ世代のミアハム(元アメリカ女子代表)なんかも15歳からフル代表で活躍してたし、澤も高倉さんも15歳から代表に入っていた。若い世代には厳しく向き合う必要もあるかもしれないけど、勢いがあるなら一気に上げちゃうのも1つの手でしょうね。
大竹 Lリーグを見ても、ベレーザにはそういうシステムがありますけど、他には、なかなか見当たらないですもんね。
野田 U−19女子世界選手権の上位進出国を見ると、フル代表とメンバーが重複しているチームが多かったんです。でも日本は少なかった。1つの要因がU−19代表とフル代表が別れていることじゃないかと思うんですよ。あと選手層の薄さもありますね。やっぱり両方のチームで活躍できる選手が3分の1はいないと厳しいでしょうね。
大竹 それもベレーザに偏ってしまう傾向が強い。何とかしないといけませんね。
野田 もっと突きつめると、女子サッカーの育成システムの問題があると思うんです。中学生チームが少なかったり、上手な子が少年団にいたりとかね。もう少し下の世代に目線を落として、システムを改革していかないと、世界に遅れを取ってしまう。
高倉 私が大阪にいた時も、素晴らしい少女たちが沢山いたけど、彼女たちが表舞台に出てくる機会が少ないんですよね。
野田 岡山湯郷ベルの本田(美登里=日本女子学生選抜監督)さんは、わざと中学生の選手を起用したりしてますよ。そのくらいの年代からやらないと個のレベルアップは難しい。Lリーグの公式戦に出ることで、将来につながるきっかけになるかもしれない。ブラジルの強烈な2人を見て、そんな思いがより強くなりましたけどね。
大竹 私もB級ライセンス講習会に行った時、ブラジル女子代表のビデオを見ましたけど、マルタは本当にすごかった。4、5人ごぼう抜きは当たり前。みんな驚きの声を挙げてました。アテネ五輪決勝のアメリカ戦を戦ったクリスチアーニも際立ってましたけどね。

日々野 世界の環境も変化しつつある中、いよいよ東アジア大会本番を迎えるわけですが、ズバリ目標はどのあたりに設定していますか?

野田 こういう盛り上がっている時にいいサッカーを見せることは大きな意味があると思うんです。アピールできる時にアピールして優勝を狙ってほしいですね。
高倉 そうです。日本女子代表はアジアを制したことが一度もないんですから。
大竹 本当に勝ってもらいたいですね。かつては中国が世界の1位2位を争うチームで飛びぬけていたから、アジア王者を狙うのは難しかったですけど、今は実力差がなくなってきているわけですしね。
日々野 東アジア大会でスタメンになりそうな選手は?
高倉 GKは山郷(のぞみ=カリフォル二ア・ストーム)ディフェンスラインは川上(直子=日テレ)、磯崎(浩美=TASAKI)、下小鶴(綾=TASAKI)、宇津木。ボランチは酒井(與惠=日テレ)と柳田(美幸=TASAKI)、そして2列目に大野(忍=日テレ)、澤、安藤(梢=浦和)、宮間(あや=岡山)のいずれか3人ですね。そして1トップは永里かな。大橋さんの基本システムは4−2−3−1です。
大竹 私は個人的に桂里奈(丸山=TEPCO)を見てみたいですね。男子の選手も面白いというボールの持ち方をする選手なんで。まだ代表の中心は厳しいかもしれないけど、大橋さんがチャンスを与えてくれたら得意のドリブルを生かしながらいい仕事をしてくれると思う。アジアレベルでどのくらいできるかは本当に注目ですね。宮間はスーパーサブとして活躍するんじゃないかな。大谷は安定しているし、計算もできるFW。大橋さんも頼りにしていると思います。
日々野 アテネ五輪総括から最近の女子代表までお話は多岐に渡りましたが、そろそろまとめたいと思います。今回の東アジア大会の位置づけと今後の女子代表について最後に一言ずついただけますか?
高倉 今度の大会は、次の北京五輪に向けて大橋ジャパンにとっての重要な第一歩。アジア初タイトルを必ず取って、今後のレベルアップにつなげてほしいですね。
野田  メンバーやポジション争いも激化してきて、今は選手たちにとってメンタル的にも厳しい時期だと思います。そこで勝ち抜いていける選手になってこそ、何度も話題に出ている「個の力」をつけることができるはず。優勝はもちろん、個人能力を存分に出してもらいたいです。

大竹 アテネ五輪からほぼ1年が過ぎましたが、あの時のなでしこジャパンの活躍のお陰で、今の女子サッカーの地位が確保されたと思うんです。そして今回、東アジア大会に挑むわけですが、この大会は男子と同時に行われるということで注目度も飛躍的に高まるでしょう。多くのサポーターが見ている中、自分たちの目指すサッカーがどういうものなのかをしっかりと見せてほしい。2007年ワールドカップ、2008年北京五輪に向けての彼女たちの姿を多くの人に披露する絶好の場になると思います。とにかく積極的にチャレンジして、女子サッカーの素晴らしさを印象づけてもらいたい。そのうえで結果が出たらホント、最高ですね。私は心から応援してますよ。

日々野 熱いメッセージありがとうございました。今日はお忙しい中、お集まりいただき、本音トークが聞けて本当に楽しかったです。この熱気が韓国で戦うなでしこジャパンの皆さんに伝わってほしいですし、アジア初制覇も果たしてもらいたいですね。みんなで一緒に応援していきましょう。

(構成/元川悦子)


Part.1:「アテネ五輪以降の成長株は宇津木と永里!」

Part.2:「アテネ五輪の躍進を先につなげることが一番大事!」


野田 朱美(Akemi NODA)

女子サッカー史上に輝く名選手。1982年読売(現日テレ)ベレーザ入団。中学3年生にして女子サッカー日本代表入り。1990年〜1993年ベレーザのLリーグ4連覇に大きく貢献し、MVP、得点王、ベストイレブンにも輝く。1994年第12回アジア大会(広島)にて銀メダルを獲得(MVP)。1995年第2回女子ワールドカップ(スウェーデン)において日本人初のゴールを決め、ベスト8入りを果たす。数々の国際大会を経験し、1996年アトランタオリンピックにキャプテンとして出場。オリンピック終了後、現役を引退。その後、サッカー解説者としてテレビ、雑誌などで活躍中。

高倉 麻子(Asako TAKAKURA)

なでしこジャパン(2004年〜)以前の女子サッカー界の歴史を作ってきた名選手。1991年第1回女子ワールドカップ(中国)、1996年アトランタオリンピック出場など代表歴代3位の79試合出場、同5位の29得点を誇る。読売(現日テレ)ベレーザでは野田朱美と共に1990〜1993年のLリーグ4連覇に貢献。その後、1999年6月に松下電器女子サッカー部バンビーナへ移籍。2000年には米女子リーグのシリコンバレー・レッドデビルズでもプレー。昨季、スペランツァF.C.高槻にて現役を引退。Lリーグでは226試合出場(歴代1位)し、44得点を記録している。今後は「指導者の勉強をしていきたい」と次世代のなでしこジャパン育成に力を注ぐ。

大竹 奈美(Nami OTAKE)

双子の美人姉妹として、妹:由美と共に読売(現日テレ)ベレーザに入団。Lリーグ3連覇、全日本選手権優勝4回と数々のタイトル獲得に貢献。Lリーグでは157試合に出場し104得点をあげる。また100得点第一号を記録し、女子サッカーに名の残るストライカーとして活躍。また日本代表としても国際Aマッチに通算45試合出場し、32得点という成績を残す。1995年ワールドカップ(スウェーデン)ではベスト8入り、1996年アトランタオリンピック出場、そして1999年ワールドカップ(アメリカ)では日本代表で唯一のゴールをあげる。2001年7月現役を引退。引退後プロのコーチとしてサッカークリニックや女子チームで後輩の指導に関わりながら、試合の解説、スポーツ番組のゲスト出演、コラム執筆などの活動をし、女子サッカーの発展やスポーツの普及に注力している。

日々野 真理(Mari HIBINO)

Jリーグ中継ベンチリポーター、スカイパーフェクTV!のサッカー番組に出演、情報番組のリポーターや報道番組のキャスターなど、フリーアナウンサーとして活動するほか、雑誌やウェブサイト「J’s GOAL」などに執筆も。女子サッカーに関しては、試合の中継リポーターのほかに、2003年女子ワールドカップではTBSのインタビュアーとしてアメリカへ、昨年のアテネ五輪でも女子代表に密着。女子サッカーに関しては、サッカーマガジン、サッカーaiなど多数執筆。J’sGOALでは「なでしこジャパン」を担当する。
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