第1回:レベルアップを続けるJ2
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そもそもJ2は、99年にJリーグを2部制に拡大する過程で生まれた。発足当初から参加している10チームのうち、コンサドーレ札幌を除く9チームはJFLからの加入であり、開幕当初のJ2はアマチュアとして運営されていたJFLの要素が強く反映されたリーグだった。そんな、どこかしら牧歌的な雰囲気を残していたJ2に名門浦和が降格し、プライドをかけて全力で戦ったのである。彼らがプレーで見せたプロサッカー選手としての姿勢が当時のJ2に及ぼした影響は大きく、またその浦和と対等に戦った事がJ2各クラブの各選手の自信へとつながった。
このシーズンを境にJ2への移籍への心理的壁は下がり、多くの有望な選手が戦いの場をJ2に求めるようになる。
2000年の小野伸二に始まり、2001年には京都パープルサンガにパク・チソン(現マンチェスター・ユナイテッド)が、2002年にはセレッソ大阪に西澤明訓と森島寛晃という当時の日本代表選手が所属していた。
2003年のサンフレッチェ広島にはワールドカップ優勝メンバーのサンパイオや森崎兄弟。水戸ホーリーホックには闘莉王がいた。さらにはヴァンフォーレ甲府に小倉隆史が移籍するなどプレーする選手のレベルは年々向上。それに加え、日本サッカー協会のライセンス制度による安定した指導者の供給が続き、新人監督が次々と輩出されるようになる。2001年にはJリーグを経験した柱谷幸一、反町康治両氏が監督に就任。また2003年には日本代表としてプレーの経験を持つ前田秀樹監督と、理論派の小野剛監督が指揮を執るなど監督の経歴のバリエーションも広がった。
制度上JFLへの降格がない現状では、野心的なサッカーも可能であり、2002年シーズンの横浜FCを率いた信藤健仁監督が挑戦した超攻撃的な2-4-4というシステムも姿を現している。結果的には失敗に終わったが、かみ砕かれた論理的な言葉によって説明された戦術は、強い可能性を感じさせるものだった。
降格がないことによるメリットは、長期的な視野に立った強化をも可能にしており、昨シーズンわずかに5勝しかできなかった札幌は、苦しんだ昨シーズンをベースにして今期結果を出しつつあるところだ。
開幕以来7シーズン目となるJ2だが、それだけの期間をプロリーグとして経験したことにより、当然の事ながらクラブを運営してきた各チームの運営会社の基盤も強まっている。そしてこれがリーグ全体のレベルアップに寄与しているのは確実だ。実際に運営会社の安定がトップチームの成績を左右する事例としては、甲府やサガン鳥栖という実例が存在しているのはご存知の通りだ。
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またアルビレックス新潟や大分トリニータといったチームは、ワールドカップ開催のために建設されたスタジアムを最大限に利用して、一気に地域とサッカーの距離を縮め、地域に根ざすクラブとなっている。その一方で、地道に努力を続けているのは湘南ベルマーレだ。湘南は地域密着型の総合スポーツクラブ文化の確立を目指し、2002年からNPO(特定非営利活動法人)の「湘南ベルマーレスポーツクラブ」を設立。ビーチバレー、トライアスロンに加え、2005年からはソフトボールチームも運営している。この例が示すように全国各地で地域に根ざすクラブチームという形態が現実のものになってきている。
2005.08.22 Reported by 江藤高志
順位表
レギュレーション
◆About J2
・大会方式
12クラブによる4回戦総当たりリーグ戦(ホーム&アウェイ方式による) 【全44節/264試合】
・《総合順位の決定》
全日程が終了した時点で、勝点合計の多いチームを上位とし、順位を決定する。但し、勝点が同じ場合は、以下の順によって順位を決定する。
* 得失点差
* 総得点数
* 当該チーム間の対戦成績(イ:勝点、ロ:得失点差、ハ:総得点数)
* 抽選
※抽選は、J1・J2入れ替え戦への出場チームの決定、J2自動降格チームの決定等、理事会が必要と判断した場合のみ実施される。















