9月17日(土) 2005 J1リーグ戦 第24節
鹿島 4 - 0 神戸 (14:00/カシマ/12,149人)
得点者:'46 アレックスミネイロ(鹿島)、'61 深井正樹(鹿島)、'69 深井正樹(鹿島)、'89 野沢拓也(鹿島)
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8月下旬のJ1再開以降、1勝3敗1分と不本意な結果が続いた鹿島アントラーズ。今季最大の苦境を打開するため、トニーニョ・セレーゾ監督は17日の第24節・ヴィッセル神戸戦で大胆な策に打って出た。小笠原満男をボランチに下げ、本山雅志をトップ下に回し、2列目に深井正樹、増田誓志を置くというリスク覚悟の新布陣を採ったのだ。彼らは前半こそ決定機を逃したものの、後半に大量4得点をゲット。最下位・神戸を見事に突き放した。同日夜に首位・ガンバ大阪が柏レイソルに敗れため、両者の勝ち点差は再び1に縮まった。久しぶりの快勝で再び勢いを得た鹿島は1週間後、アウェーで優勝争いを左右する大一番に臨む。
11日の前節・川崎フロンターレ戦に敗れ、G大阪との勝ち点差が4に広がった鹿島。トニーニョ・セレーゾ監督は開幕からメンバーをほぼ固定して戦ってきたが「こういう状況になったのだからチームに変化をもたらさなけれなならない」と決断。この日は新布陣でホーム・カシマスタジアムに神戸を迎えた。
鹿島の先発はGK曽ケ端、DF(右から)青木、岩政、大岩、新井場、ボランチ・小笠原、フェルナンド、2列目・深井、増田、FW本山、アレックス・ミネイロ。鈴木隆行は出場停止だ。対する神戸は3−6−1。GK徳重、DF金古、マルティン、北本、ボランチ・佐伯、遠藤、右サイド・朴、左サイド・田中、2列目・イヴォ、ホルヴィ、1トップ・平瀬という面々である。
どうしても勝たなければならない鹿島は頭から積極的に攻めに出た。下がり目の位置に入った小笠原が巧みにボールをコントロールし、本山やアレックス・ミネイロにつなぐ。本山は左右に動きながら前線の起点になった。深井も得意のドリブルでしばしばチャンスを作る。「今日一番ひたむきに頑張っていたのは深井だ」と指揮官も太鼓判を押すほど、彼のキレは際立っていた。
しかし序盤は神戸の人数をかけた堅守に阻まれる。神戸は金古、北本が本山、アレックス・ミネイロをマーク。さらに朴と田中が深井と増田をケアするマンツーマンに近い形で来たため、鹿島はなかなかゴール前を崩し切ることができなかった。
前半の鹿島は、22分にアレックス・ミネイロがフリーになった場面を皮切りに、29分の本山のボレーシュート、38分の増田の思い切りのいいミドルなど決定機を次々と演出。2〜3点は入ってもおかしくない内容だった。だが、45分間はスコアレスのまま終了。ここ3試合勝利から遠ざかっている彼らだけに、何となく嫌な雰囲気を感じたことだろう。
この不穏な空気を完全に払拭したのが、後半開始早々の先制点だった。中盤に下がった本山から左を走る深井へパスが渡り、彼はドリブルで突進。精度の高いクロスを上げた。その瞬間、ゴール前にアレックス・ミネイロは飛び込み、左足で1点を奪ったのだ。
美しい崩しから貴重なゴールが生まれ、このところ沈みがちだった彼らは勢いを取り戻す。迎えた後半16分、本山からのボールを受けた深井が金古と交代したばかりの河本をドリブルでかわし左足でゴール。待望の2点目が入った。これでほぼ試合の行方は決まったが、鹿島の怒涛の攻めは止まらない。24分には右サイドを崩した本山からのマイナスのクロスに、途中交代した野沢拓也が飛び込みスルー。完全にGK徳重をひきつけたところに深井がフリーで飛び込み、3点目をゲットする。さらに終了間際の44分には、左に開いたアレックス・ミネイロの中央への折り返しに野沢が反応。ダメ押しとなる4点目を奪い、神戸をしっかりと叩きのめした。
敗れた神戸は記録上ではシュート6本だったが、決定機らしい決定機はほとんどなし。個人技術・戦術に勝る鹿島相手ということで、パベルジェハーク監督は「スペースを埋めながらしっかり守ってカウンターを狙う」というゲームプランで挑んだ。だが、相手の猛攻の前に最終ラインと両サイドがズルズル下がり、前線との距離が開いてパスがつながらなくなった。古巣へのリベンジを期していた平瀬も「1トップに入っても2列目に人がいない状況じゃ鹿島には勝てない。やり方を変えないといけない」と悔しそうに言うしかなかった。最下位脱出の糸口を見出したかった彼らだが、チーム状態は依然として厳しいといわざるを得ない。
逆に鹿島はトニーニョ・セレーゾ監督の采配が的中した格好になった。指揮官が期待を込めて送り出した深井と増田が予想以上に機能。「自分と誓志が先手を取って高い位置でボールを奪うように指示された」と話す深井が体を張ってボールを追いかけ、攻撃面でも特徴の速さとドリブルを披露したのも大きかった。結果的に2得点。「とにかく今日はもとさん(本山)に感謝です」と笑顔を見せた彼は、改めて指揮官の信頼を勝ち得た。
ボランチに下がった小笠原も持ち前の戦術眼とパスセンスを披露。数多くの決定機を演出し、新ポジションでも十分やっていける手ごたえを感じさせた。本山も深井とのポジションチェンジを繰り返しつつ、相手を突き放す創造性を発揮した。そして名良橋晃に代わって右サイドバックを努めた青木も相手に危ない場面を作らせなかった。8月のJ1再開後、無失点試合が1つもなかった鹿島だが、相手を零封したことでようやく守備陣も本来の自信を取り戻すだろう。
24日は首位の座を奪われたG大阪との直接対決。この完勝で、気分よく敵地での一大決戦に挑めそうだ。
以上
2005.09.17 Reported by 元川悦子
J’s GOALニュース
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