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【J1:第24節 広島 vs 浦和 レポート】勝利を得たのは「赤の軍団」。紫の戦士たちは、自ら仕掛けた勝負手を活かしきれずに、膝を屈した。(05.09.18)

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9月18日(日) 2005 J1リーグ戦 第24節
広島 3 - 4 浦和 (15:04/広島ビ/26,083人)
得点者:'32 永井雄一郎(浦和)、'43 佐藤寿人(広島)、'44 ポンテ(浦和)、'49 佐藤寿人(広島)、'62 オウンゴ−ル(浦和)、'70 ネネ(浦和)、'72 佐藤寿人(広島)
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 死闘だった。最後は両チーム、ノーガードの打ち合いとなった。そして、傷つき、フラフラになりながらも、勝利を得たのは「赤の軍団」。紫の戦士たちは、自ら仕掛けた勝負手を活かしきれずに、膝を屈した。

 広島の小野剛監督は、負けたら優勝戦線から脱落しかねない、というこの浦和戦で、大きな勝負に出た。システムを3バックに変え、本来ボランチの森崎和幸を、公式戦では経験したことのないリベロの位置に下げたのだ。もちろん、そこには事情がある。今季、守備の安定に大きく寄与していたDF・小村徳男が出場停止。かわりに経験の乏しい西河翔吾を起用するも、広島のラインを司っていた小村の代役は、荷が重い。また、右サイドの駒野友一がここ数試合ディフェンス面で不安定だったこともあり、彼を攻撃に力を注がせる意味でも3バックへの変更は必然だった。
 
 しかし、そこでまさか、ボランチの森崎和を最終ラインに加えて統率させようと発想するとは。確かに今年彼は1ボランチを任され、ディフェンス力も向上し、リーダーシップも身につけてきた。練習でも機能していた。だからこそ、小野監督は森崎和を最終ラインの統率者に指名し、パス能力の高い彼に攻撃の起点としてゲームをつくらせたい、と考えたのだ。
 
 これぞまさに、勝負師の采配。成功すれば絶賛され、失敗すれば批判は免れない。それを覚悟の上で、小野監督は勝負に出た。しかし、小野監督は結果として、この大勝負に敗れた。広島の3バックは、田中達也の飛び出しに引き裂かれ、ズタズタになってしまった。確かに、田中のプレイはすばらしかったが、むしろ広島の3バック=西河・森崎和・ジニーニョの意思疎通が足りず、バラバラになっていたことが要因。引いたFWに対して誰がマークにつくのか、サイドに開かれた時にFWをどうつかまえておくのか、それがあいまいになってしまった。前半に失った2点は、意思疎通を欠き機能不全に陥った結果、失うべくして失ったものだ。
 
 また、小野監督が狙った最終ラインからのゲーム構築についても、3バックの両ストッパーがあがっていったため、本来攻撃に参加するべき森崎和がディフェンスに追われるという状況に陥った。そのため、くさびのパスはほとんど入らず、FWは孤立する。ここでも「機能不全」が起こっていた。

 後半、小野監督はトップ下に抜擢したルーキー桑田に代えて李を投入し、トップ下に茂原岳人をあげ、森崎和を本来のボランチに戻して4-4-2に変更した。これにより、リズムは変わった。リベロの位置で窮屈そうだった森崎和が自由に動き、相手の攻撃を前でディフェンスすることで、広島が攻守の切り替えを早くできるようになった。そして交代で入った李のクロスが佐藤寿人の同点ゴールを導いた。そこから広島がペースを握り、何度も浦和ゴールに迫った。が、62分。かさにかかって攻め込んでいた広島に落とし穴が待っていた。李が「自分の責任」と唇をかんだ横パスのミス。ここでボールをカットした山田から、右サイドに開いた永井に展開。クロス。何でもないようなボールに見えた。しかし、後ろに田中達が迫ってきていたのを感じていた森崎和は、ライナー性のそのクロスに身体をかがめて胸で落とし、逆方向にCKで逃げようとした。が、そのボールが転がった先は、ネットの中だった。
 
 がっくりと崩れる森崎和。しかし、本当に勝負の分岐点となったのは、このオウンゴールではなく、その8分後に叩き込まれたネネのゴールだった。この日の浦和ディフェンスは不安定で、1点差なら広島にも十分チャンスはあった。しかし、ここでこの試合初めて、2点差をつけられてしまったことで、広島の勝利が大きく遠のいてしまったのだ。それでも広島はその直後、佐藤寿人がハットトリックとなる3点目を突き刺して再び1点差とし、その後は前田俊介と茂木弘人という「3本の矢」を揃えて、しゃにむに浦和ゴールを狙った。しかし、優勝に向けて気持ちを高めてきた浦和は、必死に身体を張って守りきった。87分、前田が放った決定的シュートを都築がはじき出した時、勝利は浦和の懐にグイッと引き寄せられたのだ。
 
 優勝という高みに昇るためのサバイバル合戦。闘莉王やベットなど、両チームにケガによる退場者が出てしまうなど、まさに心身を切り刻んだ死闘は、大勝負に出た広島が浦和にいなされる形で決着がついた。しかし、これでシーズンが終わりになったわけではない。勝ったからずっとポジティブに動くわけでもなく、負けたからネガティブに転落するとは限らない。この死闘から互いに何を感じ、何を学んだか。その答えは、シーズン終了後に出てくるはずだ。

以上

2005.09.18 Reported by 中野和也
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