9月18日（日） 2005 J1リーグ戦 第24節
清水 2 - 1 新潟　（15:05／日本平／14,163人）
得点者：'33 マルキーニョス（清水）、'38 マルキーニョス（清水）、'77 ファビーニョ（新潟）
----------

　「素晴らしいプレーができている」と長谷川監督がハーフタイムに語った清水と、「シエスタ（昼寝）しているようだった」と試合後に反町監督が振り返った新潟。対照的な前半の出来が、そのまま試合結果にも表われた。

　残留争いに巻きこまれないためにもホーム2連勝が欠かせない清水は、立ち上がりから気合いの入ったプレーを見せる。ボールに対する出足で完全に新潟を上回り、局面局面の1対1でも厳しい当たりを見せてセカンドボールを支配。逆に新潟は全体的に動きが鈍く、立ち上がりから清水が勢いで完全に上回った。
　
　また清水は、前線でターゲット役となるチョ・ジェジンが出場停止から戻り、2列目の右に太田を起用したことで、縦のボールに対する強さも向上。「原点に帰ってファーストブレイク（速攻）を徹底した」（山西）という意識の下、素早く縦に送ったボールに対しては、チョがよく競り勝ち、セカンドボールをマルキーニョスや杉山、兵働、伊東らが拾ってサイドにつなぎ、攻撃が単発に終わらない。つなぐところはしっかりつなぐ、速く攻めるところは速く攻めるというバランスも良く、長谷川監督が言う通り、今季の中でも3本の指に入るような内容だった。さらに、新潟のビルドアップ中のミスも目立って清水のチャンスが増え、13分、22分のマルキーニョスのシュート、21分の太田のシュート、23分のマルキーニョスのクロスへのチョの飛び込み、28分のチョのボレーシュートなど、惜しい場面を何度も作った。

　ただし、この流れの中でゴールを決められなければ、逆に相手の流れに変わる危険もあったし、今年の清水はそういう試合が多かった。その意味では、33分に先制点が取れたことは、清水にとって非常に大きかった。決めたのは、躍動感あふれるプレーでチームを引っ張るマルキーニョス。左CKからのこぼれ球を頭で押し込むゴールだった。これでさらに勢いがついた清水は、その5分後にも杉山の右クロスから再びマルキーニョスが頭で決めて2点目をゲット。前半は、マルキーニョス1人で6本ものシュートを放った清水（チーム全体では清水11本、新潟4本）が、終始新潟を圧倒した。

　後半は、清水の杉山が体調不良で澤登と交代し、新潟は本間に変えて喜多を投入。予定外の交代で多少戸惑いが見られた清水と、菊地をDFラインからボランチに上げて中盤のつなぎを改善し、反町監督の檄でシエスタから目を覚ました新潟。これで勢いは逆転し、全体的に出足が良くなった新潟が、徐々に押し込んでいく流れとなる。だが、清水は最終ラインで何とか踏ん張り、徐々に落ち着きとバランスを取り戻して、しっかり守ってカウンター狙いという展開に持ちこんでいく。そんな中、決定機の数ではカウンターの清水のほうが上回ったが、32分には新潟がようやく一矢報いる。鈴木の左クロスをファーのエジミウソンが頭で折り返し、ファビーニョが決めるという形で、攻撃の要の3人によるきれいなゴールだった。

　これで流れが一気に新潟に傾くかと思われたが、清水の選手は予想以上に冷静だった。失点後はカウンターを狙うばかりではなく、つなげるところはしっかりポゼッションして新潟の勢いをいなし、リスクを抑えながら時間を使う。終盤は、新潟がDFの萩村を前に上げてパワープレーを仕掛けたが、それも清水が無難に守り抜き、結局2-1のままタイムアップ。
　
　新潟に対する初勝利と、待望のホーム2連勝を果たした清水は、チョとマルキーニョスの2トップが大きな可能性を見せ、チーム全体としてもベテランの伊東や斉藤に引っ張られて気持ちの入ったプレーが続き、手応えは十分。試合後、新潟の反町監督は、次のホームゲームでは「今日の清水のような」戦いをしたいと語ったが、当の清水にとっても、こうした戦いを続けられるかどうかが、残り10試合での最大の課題となるのではないだろうか。

以上

2005.09.18 Reported by 前島芳雄