9月24日(土) 2005 J2リーグ戦 第33節
仙台 2 - 0 湘南 (14:00/仙台/14,521人)
得点者:'18 バロン(仙台)、'82 シュウェンク(仙台)
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キックオフ直後、仙台の右サイドバック中田が、スルスルと高い位置へ。今思えば、これが今日のゲームにおける仙台のプラン、そして90分における内容を示す伏線だった。
立ち上がりから仙台は積極的に出た。ひょっとすれば後半に向けて体力を温存していたのかもしれないが、湘南の中盤がいつものポジションの概念を度外視したかのようなポジションチェンジとダイレクトパスを繰り返す攻めを見せない。それどころか、引き気味のポジショニングで仙台に対し「受け」の体勢を取ったことも手伝って、仙台はしばしの間、湘南のFWを除く選手たちをゴール前に押し込んでしまった。
そして先制点はあっけない形で生まれる。センタリングのこぼれ球をペナルティエリア内左サイドにいた中田がキープし、さらに左にいた財前へ。エリア内で1対1という状況に、財前が仕掛けない訳はなく、マークしていた湘南・鈴木良和のファールを誘い、しっかりPKを獲得。これをバロンが蹴りこんだ。バロンはこれで3試合連続ゴールだ。
その後も仙台の攻勢は続く。圧巻だったのは、両サイドバックの位置取り。今週、彼らの積極的な攻撃参加を意図したトレーニングを行ったとは聞いていたが、これほどのものだとは…。右の中田だけでなく、ここ数節、どちらかといえば中田に比べ攻撃面で押さえ気味だった村上までもが、それも2人同時にハーフウェーラインを大きく越える。かといって守備をおろそかにしていたかといえば、決してそういうことはない。例えば湘南の左サイドMF佐藤悠介にボールが入った時は、しっかりと仙台の右、中田と大柴で挟み込むといったようにキーマンへのマークは外さない。時折放り込まれる長いボールにも、木谷と根引の両センターバックがきっちり対応し、起点を作らせることはなかった。前半、湘南のシュートは1本。実はそのシーンの他に「実質2バック」の状態から危険なカウンターを食らった場面も1度あったのだが、ラインの裏でパスを受けかけたカシアーノに対して高桑がエリア外へ果敢な飛び出しでシュートすら許さない。
もちろん、90分全てがこのように、仙台にとって上手く運んだ訳はない。後半開始から10分ほどは、中盤が「いつもの動き」を見せ始めた湘南が仙台ゴールに迫り、7分と12分には共に加藤が決定機を掴む。だがここでも高桑が好セーブを見せ凌ぐと、仙台はベンチも早い動き。13分に財前を退かせシルビーニョを中盤前めに、そして財前に代わって入った千葉をボランチに投入すると、ついさっきまで火の車となっていた中盤が一気に沈静化。さらにその6分後に、前節で流れを変える貴重な働きを見せた梁を、満を持して投入。
これ以降、結論から言うと、流れの面ではほぼ仙台が圧倒する展開となった。前半から続けて深く相手陣地に侵入している両サイドバックが、ついには自ら絶好の位置でのフィニッシュを試み始めたりするなど、ただでさえ前がかりになっている湘南を脅かし続ける。
もっとも、シルビーニョの完璧なスルーパスや湘南守備陣のミスを活かせず(この日はゴール至近の危険すぎる位置でGKも含めた湘南守備陣がボールをこぼす場面が数えるだけでも5度あった。クリアの場面における集中力の欠如は湘南にとって緊急課題に映る)、なかなか追加点を奪えないうちは、まだ最少得点差であることに変わりなく、ゲームの行方がどう傾くのかわからなかったし、湘南も梅田の個人技やこぼれ球からの積極的なシュートで応戦していた。しかし、ここにまたも高桑や木谷といった仙台守備陣が立ちはだかる。仙台にとって安堵の時は後半37分。カウンターからシルビーニョの長いスルーパス。それを右45度で受けたシュウェンクが、自ら角度のなくなるゴールライン方向へ流れながら、右足でファーサイドを狙い済ましたシュート、これが決まり2−0。
直後の41分、クリアを拾った湘南・永里のゴール正面からのミドルシュート。これが仙台DF根引の足に当たり角度が変わるが、素早く反応した高桑がワンハンドで掻き出したボールは、左のポストに当たりゴールマウスから逸れていく。これで、勝負あった。
湘南は90分を通した内容では圧倒されたが、とはいえ自慢の中盤が機能している時間はペースを掴む地力は持っている。その意味で第4クールはゲームの入り方(と、集中したクリア)が大きな課題となるだろう。
対して仙台は、大袈裟かもしれないが、チームとして新たな可能性を見せ付けたゲームだった気がする。強気で相手に襲い掛かりながらも、バランスは失わない。今日見せたサッカーは、勝ち点3を取り続けなければならない仙台が、自ずとたどり着いた答えなのかもしれない。何より、魅力という面でもポイントは高い。第4クール、仙台は戦う術を見いだした。
山形が負けた、札幌も負けた。そしてナイトマッチで甲府は勝ち点3を目前で取り損ねた。5位に付けた仙台(勝ち点47)と3位・山形(勝ち点50)の勝ち点差は3。今の仙台ならば(この勢いのまま第4クールを走り抜けられれば)、差はないに等しい。
この日の試合、気温は長袖でも肌寒い19.8度。空気は冷たく、そして戦いは熱く。それがJ2、さぁクライマックスの第4クールである。
以上
2005.09.24 Reported by 佐々木聡
J’s GOALニュース
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