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【ユースに注目! -連載2- 】真のU-18日本一決定戦。クラブユースと高校が対戦する高円宮杯全日本ユース選手権に注目!(05.10.01)

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昨年の高円宮杯全日本ユースを制した広島ユース
◆「高円宮杯」のおもしろさ◆
毎週末、いろいろな大会が行われているクラブユース世代(この項で言うクラブユースとは、Jリーグの下部組織や地域のサッカークラブの高校生年代のチームのこと)。今行われている大会は? この先にはどんな試合があるの? と思われる方も多いはずだ。ここで簡単に整理してみたい。

「クラブユース3冠」という言い方がある。夏の「日本クラブユース選手権(U-18)」(今年はヴェルディユースが優勝)。現在行われている「高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権」。そしてこれらの大会と平行して予選リーグが行われ、12月にトーナメント方式で頂点を決める「Jユースサハラカップ Jリーグユース選手権」。この3つの大会を指す。
クラブユース所属の選手たちは、概ねこの3大会を目指して日々トレーニングをしている。高校のサッカー部が目指す大会に置き換えてみると、「日本クラブユース選手権」は全国高校総合体育大会(インターハイ)、「Jユースサハラカップ」は冬の高校選手権のようなもの。そして、この年代で唯一、高校のサッカー部とクラブユースが相見えるのが今年で16回目を迎える「高円宮杯全日本ユース選手権」なのだ。


クラブユース3冠の1冠目、今年の日本クラブユース選手権優勝はヴェルディユース
◆波乱含みだった今年の高円宮杯1次ラウンド◆
24チームが参加して、9月23日(金・祝)から10月10日(月・祝)まで行われるこの大会。
クラブユース、高校が参加する各地域の予選(北海道・東北・関東・北信越・東海・関西・中国・四国・九州のプリンスリーグ)から20チームとインターハイの上位2チーム、日本クラブユース選手権(U-18)の上位2チームで構成されている。
この大会の面白さはお互いに「高校には負けたくない」「クラブには負けない」とむき出しのライバル心が見られるところ。また全国大会だけに、日本代表では共に戦う選手たちが、ここでは対戦相手となる。手の内を知る相手との駆け引きもまた見ものなのだ。ちなみに昨年の決勝トーナメントには、高校から4チームとJリーグの下部組織4チームが勝ち上がり、前田俊介らトップチーム昇格組5人を擁したサンフレッチェ広島F.Cユースが優勝。これは、99年のジュビロ磐田ユース以来2度目のクラブユースの優勝となった。
さらに大会の楽しさを挙げるならば、応援のためにトップチームのサポーターがやってくるJリーグの下部組織・クラブユース vs 高校の応援部など、応援のコントラストも他の大会などでは見られない光景だ。

今大会は、参加24チームのうち高校が13チームに対しクラブユースは11チーム。ほぼ互角のスタートと言えるだろう。1次ラウンドは24チームを4チームずつ6グループに分けてリーグ戦が行われ、決勝ラウンドに進む16チームへと絞られる。関東第1代表かつ日本クラブユース選手権準優勝で今大会に出場してきた横浜F・マリノスユースの1次ラウンド2連敗や、名門・市立船橋高校が1-6の大差で滝川第二高校に敗れるなど、既に波乱含みの幕開けだった。

◆クラブユースvs高校 選手たちのライバル意識◆
「高校には負けたくないですね」
1次ラウンド初戦で横浜FMユースに4-2で勝利したあと、はっきりとそう口にしたのは広島ユースの柏木陽介。U-18日本代表候補にも名を連ねる中盤のテクニシャン。成長過程のために怪我の多さが気になるところではあるが「ボールの持ち方とか受け方が悪いってみんなに言われます」と欠点を把握しており、改善も可能だろう。ボールキープすることもさばくこともできる、この世代のオフェンシブハーフを代表する選手である。
そんな彼だからこそ、のしかかるプレッシャーは大きい。
「みんな何回もトイレに行ったりして緊張した」。高円宮杯の初戦を迎えるにあたって、気合いは入り過ぎるほどだったという。昨年は「クラブユース3冠」のうち「日本クラブユース選手権(U-18)」と「高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権」の2冠を達成し、「Jユースカップ」では準優勝。しかし、今年は日本クラブユース選手権ではまさかのグループリーグ敗退。この高円宮杯では、そのリベンジがかかる。初戦の勝利にホッと一息の表情だった。

「それは、プレッシャーありますよ」と、初戦勝利のあとで同じくホッとした笑顔で話したのが、柏木のチームメイト・広島ユースのキャプテン槙野智章(同じくU-18日本代表候補)。的確なコーチングと統率力で明るくチームを引っ張る存在の彼もやはり、緊張してこの大会を迎えたようだ。
「クラブユース選手権が終わった後は、とりあえず走り込みしました。監督から『お前らは弱い!』みたいな感じで言われて…」。この高円宮杯では負けるわけにいかない。「先輩達が残してくれたものもある。前田(俊介/現・広島トップチーム)くんとかと一緒にできたこと(それ自体が)がいちばんの財産ですね」目指すは頂点、それだけだ。

「高校は応援がすごいから、テンションも高い」と、高校勢との対戦の印象を話すのはヴェルディユースの弦巻建人(U-18日本代表候補)。柏木と同じくテクニシャンタイプのオフェンシブハーフ。4-4-2の左サイドハーフからFWまで、ヴェルディらしい器用さでこなす。そんな彼も「高校のチームは、ものすごくガツガツ来るけど負けたくない」。ヴェルディのトップチームに練習参加していた市立船橋高校・森野徹のプレーを眺めながら思いを新たにしていたようだ。

一方、高校勢も負けてはいない。
「なんかクラブハンターって呼ばれているみたい」と自分達のチームを語るのは1次ラウンド第2戦で市立船橋高校を6-1で破った滝川第二高校のエース森島康仁(U-18日本代表候補)。あどけなさの残る表情ながら186cm74kgのパワーは別格だ。黒田監督も「ドリブルなんかはまだまだだけど、足もとでもさばけるようになっている」と期待を寄せる。この試合ではハットトリックを達成し、こころなしか余裕の表情。「今年はガンバ、ジュビロ、ヴェルディに勝ってる」と、クラブユース組について聞かれると、やはりむき出しの負けん気を見せる。ちなみに、9月からはC大阪の特別指定選手にもなっており「滝川二高の一員でもあるけど、セレッソの一員でもある。恥ずかしいプレーはできない」と気を引き締めていた。

本人達にあらためて問いかけると、思いのほかクラブ対高校の図式を意識していることがうかがえる。
決勝ラウンド進出の16チームの顔ぶれは、高校が9チームに対しクラブユースは7チーム。いよいよ10/2(日)からトーナメント方式の決勝ラウンドが始まり、高校対クラブユースの戦いもいよいよ佳境へと向かう。徐々に熱くなるクラブ対高校の戦いを、是非ごらんあれ。

以上

2005.09.15 Reported by 了戒美子



●来季、Jクラブへの新加入が発表されているユース年代の選手たち
・F東京
FW 小澤竜己(青森山田高等学校)

・川崎F
GK 杉山力裕(静岡学園高)
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