9月30日(金) 2005 J2リーグ戦 第34節
湘南 1 - 2 福岡 (19:04/平塚/3,521人)
得点者:'49 梅田直哉(湘南)、'72 グラウシオ(福岡)、'73 古賀誠史(福岡)
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1分間の攻防が勝敗を分けた。72分、1点をリードされている福岡がコーナーキックのチャンスを掴む。古賀誠史の蹴ったボールに反応した中村北斗のヘディングシュートは、湘南GK小林弘記の手を掠め、ファーサイドポストに一度は嫌われた。だが逆サイドに詰めていた途中出場の岡山一成がゴールを狙い、さらにふたたび阻まれたボールを、最後はグラウシオが押し込んだ。
同点とされ、湘南は仕切りなおして追加点を目指し攻め込むが、直後に訪れたゴールシーンはまたしても福岡のものだった。湘南が前傾になった矢先、自陣でボールを奪うと、グラウシオから太田恵介へと素早くシンプルに繋ぎ、手薄となった相手ゴール前に古賀がひとりドリブルで持ち込む。ペナルティエリア付近で放ったシュートは一旦は追い縋るDFの足に当たるが、ふたたび古賀の足がボールを捉え、結果的にループ気味の弧を描いたシュートが小林の頭上を越えゴールに吸い込まれた。同点弾の1分後、73分のことである。
ともにスコアレスに終った前半は、一方が攻め一方が守るという綱引きを45分間繰り返した。湘南は、シーズン当初から座っていたボランチの位置にこの日戻った佐藤悠介を経由し、ゴーランや冨山達行ら右サイドが活性化する。湘南に来て右サイドに初めて入ったゴーランはドリブルで自ら持ち込み、また鈴木良和の出場停止によって第8節水戸戦以来のスタメンを手にした冨山も、持ち味であるクロス、とくにFWを動かすクロスを蹴り込みチャンスを演出した。また2トップに楔を打ち、落とし、中盤が押し上げるという本来のスタイルも展開した。
対する福岡は、組織をコンパクトに保ち、中盤あるいはボランチと最終ラインのあいだで湘南の攻撃の芽を摘む。そしてショートパスを繋ぎ、また相手ゴール前でもパスを回して時間をつくり、ボランチや両サイドバックの押し上げとともに攻撃の手数を増やしていく。マイボールになったときのビルドアップは速い。公式戦では二度目だという中村のボランチ起用も効いた。ともに組む山形恭平とのバランスをとりながら、ときにドリブルで深く抉り、チャンスを演出した。
福岡はその中村からグラウシオへのクロスや、クリアボールからのグラウシオの突破、湘南は冨山から柿本倫明へのクロスや、2トップのそれぞれのシュートなど、互いに決定機は訪れたが、コンパクトに保つ一進一退の攻防に白黒はつかず、勝負は後半に委ねられる。ただ決定機の裏でリスキーなミスが両チームともにあったことも、加えておかねばならない。福岡は最終ラインでのパスミス、湘南も最終ラインでマークの受け渡しのミスが生じ、肝を冷やす場面があった。
後半に入り、早々に主導権を握ったのは湘南である。49分、加藤望のコーナーキックを吉野智行がヘッドで流し、詰めた梅田がヘディングシュートを突き刺した。しかし、福岡も攻め手がなかったわけではない。パスを繋ぎFWにあててから押し上げる人数は、序盤から湘南のそれを上回った。豊富な選択肢は、福岡のダイナミズムでもある。とくに先制を許してからは岡山、太田と長身FWを相次いで投入し、前線のパワープレーを明らかにし、ゴールを目指した。同点弾と逆転弾は、その両FWが演出したものである。
僅か1分のあいだに同点、そして逆転を許した湘南は、加藤と佐藤、そして左サイドバックの村山祐介が連動し福岡ゴールに襲い掛かる。中村をはじめ鋭い攻めを繰り出す福岡の攻撃も、小林が好セーブを続け追加点を許さない。がしかし、それ以上得点は動かず、1−2のまま笛の音を聴いた。
内容に大きな差があったわけではない。「先制されたことで負け試合になってもおかしくない展開だった」と松田監督も振り返ったように、一瞬の出来事が明暗を分ける。ただ湘南のシュート数7本に対し、福岡が19本放っているという数字は、付記しておかねばなるまい。なかなかチャンスをものにできなかった反面、シュートを重ねた姿勢が、90分の1に凝縮されたともいえるからだ。
最終クール、福岡は幸先のよいスタートを切った。勝利を重ね、自らの手で昇格を手繰り寄せる。一方、湘南の試行錯誤は続く。まずは第28節鳥栖戦から遠のいている白星を掴むため、内容をゴールに結びたい。
以上
2005.10.01 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
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