10月15日（土） 2005 J2リーグ戦 第36節
仙台 1 - 0 甲府　（14:04／仙台／12,616人）
得点者：'22 バロン（仙台）
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　バレーは欠場したが、右から石原、須藤、長谷川を並べた脅威の３トップを、仙台はどう押さえて逆襲に出るか。そこが大きなカギだった今日の試合、仙台はいきなり対策を試されることとなった。

　甲府は右サイド、仙台で言えば左を、立ち上がりから急襲する。石原が仕掛け、後方からはもはやSBと呼べない動きの杉山が駆け上がり、仙台の左サイドが引くと、中央から右に流れてきた藤田がフリーでセンタリングを上げてくる。

　だが、ゴールライン付近まで崩されたとしても、この日約２ヶ月ぶりの出場となった仙台の左SB磯崎が、水際でしっかり食らいつき、センタリングを入れさせない。時間が経てば立つほど、彼は試合前に語っていた「DF本来の守備の強さ」で相手の攻勢を跳ね返し、ピッチ上で貴重な存在となった。さらに磯崎は、前半14分の警告で次節出場停止が決まった辺りから何かが吹っ切れたわけではながろうが、前への積極性が表れ始める。18分にはそれが実を結びかけ、ピッチ中央付近で、出足良く相手パスをカットした磯崎は、右のバロンへスルーパス。そこから財前、シュウェンクを経由する間に、磯崎は自らゴール前へ駆け上がり、最後はシュウェンクの落としに飛び込んでいく。

　結局このシーンではタイミングがワンテンポずれたため、磯崎はシュートまで持ち込めなかったが、仙台にとっては良い「ヒント」となる場面だった。というのも、甲府はシステム上MFが少ない上、ボランチの一角に入っていた那須が、高さを買われてか「バロン番」を求められており、自ずと中盤はかなり緩い状態となっていた。故に仙台が中盤でボールをインターセプトしても、すぐさまプレスをかけることができなかったのだ。

　流れを掴んだ仙台に、この試合最初のゴールが。磯崎のミドルシュートをGK阿部がワンハンドで弾き、一度はピンチを逃れた甲府。しかしそこで得たCKで仙台は、シルビーニョのキックをバロンが頭で合わせて先制点を奪う。悪い流れを押し返した後の、貴重なゴールだった。さらにその後も前半は、仙台がカウンターから好機を得る流れが続く。

　ところが後半、甲府の選手交代によって、流れは再び変わる。大木監督は石原を左に移し、右には大西を完全なウイングの位置に張らせると、彼の活躍で押し込んだ右サイドに、前半とは比べ物にならない頻度で、藤田と杉山を飛び込ませた。磯崎は自陣に張り付くこととなり、守備の負担が激増した梁は、疲労を増大させる。

　この「左サイド問題」は、千葉を投入し、中央から流れる藤田に目を光らせるという都並監督の采配によって何とか収まったが、今度は左サイドに配置された石原が猛威を振るう。独特の間合いのドリブルに仙台の守備陣は次々とかわされ、危険な場面が何度も。高桑の美技連発でかろうじて難を逃れる状況に仙台は陥った。

　さらに悪いことは続く。菅井が足をつるなど限界に達したことで、仙台は彼に代えて清水と投入。千葉の１ボランチに、左に梁、右に清水という組み合わせへと変化させるがこれが裏目に。ゲームになかなか乗り切れない清水は右サイドの状況を好転させられなかったばかりか、左サイドではすでに疲労が限界点に達していた梁が広範囲をカバーする結果となり、35分以降、仙台は完全に防戦一方となった。

　だがそれでも、甲府にゴールは生まれなかった。試合終盤にこだました、祈りにも似た仙台スタジアムの声援がボールの軌道を変えたのかもしれないが、後半だけでも10分、17分、35分、41分、44分、45分、48分という度重なる決定機をものにできないなど、最後まで決定力不足が甲府には災いした。

　４分という長いロスタイムが過ぎ、甲府の最後のFKがゴール前から跳ね返されたところで長い笛。入れ替え戦枠を巡る直接対決第1ラウンドは、仙台が本当に苦しみながらも粘り勝ち、重たい勝ち点３を手にして終了した。

以上

2005.10.15 Reported by 佐々木 聡