今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第37節 福岡 vs 鳥栖 レポート】今季最後の九州ダービーは、福岡が力で圧倒。鳥栖を下してJ1昇格へ向け、大きな一歩を踏み出す(05.10.23)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
10月23日(日) 2005 J2リーグ戦 第37節
福岡 4 - 1 鳥栖 (13:04/博多球/20,201人)
得点者:'9 千代反田充(福岡)、'18 グラウシオ(福岡)、'20 グラウシオ(福岡)、'24 鈴木孝明(鳥栖)、'65 千代反田充(福岡)
----------

「こんなに入ってくれるとは思わなかった。この雰囲気に選手全員がモチベーションを高めて試合に臨むことが出来た。(J1昇格は)まだ決まったわけじゃない。決まるまで、このまま流れを大切にしたい。これからもサポーターの皆さんに喜んでもらえるよう頑張ります」。チームのJリーグ史上4回目となる20,000人を超えるサポーターに囲まれる中、千代反田がヒーローインタビューに答えた。フロント、地元企業とメディア、そしてサポーターが作り出した最高の舞台で、福岡は九州ダービーを制するとともにJ1昇格へ向けて確かな一歩を踏み出した。

 大観衆に押されて福岡がキックオフと同時に前に出る。要となるのはボランチのホベルト。中盤を所狭しと走り回り、相手のチャンスの芽を潰し、そして攻撃の起点になってボールをさばく。シンプルでリズム感のあるパス回しは、いつもの福岡のサッカーだ。
 しかし、鳥栖も一歩も引かない。素早い出足で高い位置からプレッシャーをかけ、奪ったボールを素早く前線へ預けると、新居と鈴木がDFラインの裏を狙う。こちらもいつものサッカーでチャンスを狙う。
 最初の決定機は7分、鳥栖に訪れた。スルーパスを受けて抜け出した新居が右足を一閃。だが、ボールはポストの左を通過する。そして、その2分後、福岡に待望の先制点が生まれる。FKのチャンスに古賀の左足から放たれたボールが、きれいな弧を描いてゴール前へ。そこへ千代反田が走りこんだ。「質の高いボールを蹴ってくれた。あとは合わせるだけだった」(千代反田)。千代反田が頭で合わせたボールがゴールネットを大きく揺らした。

 その後も試合は一進一退の展開。しかし、福岡は得意の形から鳥栖を突き放す。18分、山形辰徳からの縦パスを受けて古賀が左サイドを突破。そのクロスに合わせて鳥栖のマークを振り切ってフリーになったグラウシオがゴール前へ走り込む。これまでに何度もゴールネットをゆすってきた福岡の得点パターン。そして、この日も、いつものようにグラウシオのシュートがゴールマウスを捕らえた。
 これで意気消沈した鳥栖に、更にグラウシオが追い討ちをかける。20分、高橋のトラップミスしたボールを奪うと、そのままゴール前へ。GKとの1対1から落ち着き払って3点目を奪った。

 ここからは福岡のペース。24分にCKから鳥栖・鈴木に頭で合わされて1点を失ったものの、試合の主導権は渡さず。ほぼ一方的に試合を支配し、65分にはCKから千代反田が駄目押しのヘディングシュートを決めて鳥栖に引導を渡した。過去3戦とも紙一重の戦いを繰り広げた九州ダービーだったが、最後の一戦は気迫に勝る福岡が鳥栖を力でねじ伏せて勝利を手に入れた。

 この試合で両チームの間に顕著に現れたのは、ボールを奪ってからの切り替えの早さの差と、相手のミスを見逃さない鋭い嗅覚の差だった。鳥栖が危険なエリアでミスを犯すと、福岡の選手は、まるでスイッチが切り替わったかのような鋭い動きでボールに襲い掛かり、一気にスピードを上げて鳥栖陣内に攻め込んだ。ゴールにつながった4つのプレーは、まさにこの典型的なパターン。そして、その他にも何度もチャンスを作り出した。
 そんな福岡の攻撃を可能にしたのは、ホベルトとグラウシオ、そして古賀の活躍だ。いたるところに顔を出すホベルトが攻守にわたって起点となり、ボールを受けるグラウシオは高い技術で前線に攻撃のポイントを作った。そして、この日も自由自在に動き回る古賀は面白いように左サイドを切り裂いた。この3人のレベルの高いプレーに触発されるように、他の選手たちもはつらつとボールを追い、それがぶ厚い攻撃と堅固な守備を作り出す要因となった。

 最高の舞台で、最高の結果を手にした福岡は、2位以上確定まであと勝ち点11と迫った。しかし、チームはこれまでの姿勢を崩さない。「ひとつのゲームを消化して、相手がどうあろうが、自分たちが勝ち点3をとったという印象しかない」とは福岡・松田監督。「今日勝てたのは大きいが、(3位以下のチームに関係なく)自分たちが勝っていくという気持ちがあるので、それを続けていくだけ」と千代反田も話す。しかし、J1昇格というゴールが、また一歩近づいたことは間違いない。
 さて敗れた鳥栖は、残念ながら地力の差を見せ付けられる形となった。福岡にも、ミスはあったのだが、奪ってから素早く押し上げることが出来ず、結局、新居にめがけてアバウトなボールを放り込むことしか出来なかった。
 現状では事実上2位以内に入るのは難しいが、チームにはJ1・J2入れ替え戦の権利を得る3位になる可能性がまだ残されている。今日の敗戦を引きずることなく、目の前に一戦に全てをぶつける戦い方を継続させられればチャンスは十分にある。立ち上がりに見せたアグレッシブさこそが鳥栖の持ち味。けが人が多く、チーム事情は苦しいが、今まで同様、総力戦で試合に臨むことを期待したい。


以上

2005.10.23 Reported by 中倉一志
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着