11月12日(土) 2005 J1リーグ戦 第30節
広島 0 - 4 大分 (16:00/広島ビ/11,013人)
得点者:'21 マグノアウベス(大分)、'44 梅田高志(大分)、'59 トゥーリオ(大分)、'67 マグノアウベス(大分)
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「就任した時に目標とした数字は、達成できた」
試合後の会見で、今や『大分の救世主』との評価をほしいままにしているシャムスカ監督は、こう言って人懐っこい笑顔を見せた。
今日の勝利の結果、シャムスカ監督が8試合で積み重ねた勝ち点は19で、合計38ポイント。17位の東京Vとの差は12ポイントで、あと1ポイントを積み上げれば自動降格回避が決定。さらに16位の柏との差は7ポイントとなり、次節の結果次第では入れ替え戦の回避も確定し、正式にJ1残留が決まる。目標だったJ1残留を確実にしたシャムスカ監督は『7位を目指す』と目標の切り替えを口にし、また若き守護神・西川も「賞金圏内(7位以内)を狙いたい」と上位進出に向け、意気込みを見せた。シャムスカ監督就任前は17位に沈み、約4ヶ月間・11試合も勝利がなかった大分の、見事な逆転劇がもう少しで完成しようとしている。
この日の試合も、その大分の歩みに似た『逆転』のストーリーだった。「今季最高の試合の入り方」と佐藤寿人が言うように、広島の選手たちは立ち上がりからすばらしいプレイを展開していた。5分にガウボンが、9分に佐藤寿がともにフリーのシュートをミスしてゴールにこそならなかったものの、広島の連動性のある攻撃と精度の高い左右のクロスが炸裂し、大分はほとんどチャンスらしいチャンスもなかった。ただ、ここで広島がチャンスを決められなかったことによって、彼らに集中力が蘇る。さらにシャムスカ監督が中盤で自由にゲームをつくっていた森崎和に厳しいマークを指示すると、流れはゆっくりと大分へと動き出した。
21分。ジニーニョの縦パスをカットした深谷が、思いきって裏にパスを出す。その瞬間にスタートしたマグノ アウベスは、一気にジニーニョを振り切り、強烈な右足!シュートはポストにあたってネットの中に沈み込んだ。
この後、同点を狙ってしゃにむに広島が攻める。が、大分はGK西川を中心に粘り強い守備で相手のサイド攻撃を潰すと、前半終了間際にマグノ・アウベスがドリブルで相手を引きつけた上で、最後は梅田がすばらしいミドルシュートを叩き込んだ。チャンスの数もボール支配率も広島が上、しかし結果は2-0。広島にとっては狐につままれたような、しかし大分にとってはまさに狙い通りに、『流れの逆転』に成功した前半だった。
後半も、ボール支配は広島。しかし、大分は固いブロックをゴール前につくって広島の攻撃をしのぎきると、60分には相手ボールを強奪し、流れるようなパスワークによるハーフカウンターを決めて3点目。後は、大分サポーターのお祭りのような応援が広島ビッグアーチを支配し、広島サポーターにとってはただただ、屈辱的な時間がすぎるばかりとなった。
とにかく、大分のカウンターはすさまじい。ボールを奪った後、一気にゴールに向かってチーム全体が走り出す推進力と破壊力は、圧巻だ。また、守る時はチーム全体でしっかりと我慢し、ギリギリのところで跳ね返す。守るべきところ、攻めに出るところの意思統一がしっかりとできているから、これほどの鋭いカウンターが生み出せるし「8試合で失点3・完封試合5」という堅守が実現できるのだ。最後は、今日の4得点にもすべて絡んだマグノ アウベス頼みであることは否定できないが、「一人で試合に勝てるものではない」(マグノ・アウベス)のである。
一方の広島は、これでホームゲーム4連敗。しかも12失点という屈辱的な内容だ。その間、新潟戦や磐田戦のように、アウェイでは快勝しているゲームもある。「どうしてホームゲームで勝てないのか、その原因がわからない」と、この日J1通算350試合出場を果たした小村徳男も、首をひねる。
確かに内容は悪くなかった。とはいえ、この日の失点がすべてカウンターであったことからもわかるように、ボールの失い方のまずさとハーフカウンターへの対処の悪さは、広島がずっと抱えている課題。そして、リードを許してしまうと下を向いて元気がなくなってしまう悪癖も、敗因の一つだろう。
ただこの敗戦だけをとらえて今までやってきたことを見失ってはいけない。問題点は確かにあるが、そこだけをクローズアップして悲観主義にならないことだ。「チームとしてやるべきことは間違っていない」という森崎和幸の言葉を胸に、残り4試合へと向かいたい。
以上
2005.11.12 Reported by 中野和也
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