12月3日(土) 2005 J1リーグ戦 第34節
千葉 2 - 1 名古屋 (14:04/フクアリ/17,003人)
得点者:'81 鴨川奨(名古屋)、'89 坂本將貴(千葉)、'89 阿部勇樹(千葉)
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坂本將貴の逆転ゴールが決まったのは、5分と表示された後半のロスタイムが2分を過ぎたときだった。あまりにも劇的な展開に、筆者のように思わず涙ぐんだ千葉サポーターは少なくなかったのではないだろうか。どんなことがあっても最後まであきらめず、勝利を追い求める。その姿勢が呼び込んだ勝利は、確かに今シーズンの千葉の成長を示すものだった。だが、その一方で未熟な点を露呈したプレーがあったのも確かだ。
1トップの布陣だった前節のG大阪と違い、名古屋は2トップの布陣だが、オシム監督は「ボールを動かせる選手を使いたかった」ことから前節とまったく同じスタメンを採用。DF結城耕造ではなくMF阿部勇樹がFW鴨川奨のマークにつき、DF斎藤大輔がFW豊田陽平、ボランチの位置に入ったMF坂本將貴がMF中村直志をマークする形だった。それは「何がなんでも点を取って勝つ」というオシム監督の意思表示にほかならなかった。
その指示に応えるかのように、千葉の選手は時には名古屋の前線からの厳しいプレスに苦しんだが、サイドを使った攻撃を展開して主導権を握った。だが、ペナルティエリア近くまで攻め込んでも、選手によってはここぞという場面ですらパスを回して、思い切ったシュートを打たない姿が目についた。前半の千葉のシュート数が名古屋の6本に対して5本と下回っていたことも、シュートに消極的だったことを証明しているといえるだろう。
「負けても5位で変わらないのだから、もっとリスクを冒して攻めようとした」(坂本)後半は、千葉がさらに攻勢に出る。だが、63分のDFストヤノフのシュートは、負傷したGK楢崎正剛に代わって52分から出場したGK川島永嗣が好セーブ。66分にはMF水野晃樹のクロスボールからFWハースがシュートを決めたかに見えたが、オフサイドでノーゴール。その後も攻め続けた千葉だったが、決定力を欠いて『1点』が遠かった。
千葉が攻勢に出た背後を突く形で何度か得点チャンスを作っていた名古屋。81分、ロングパスに追いついた豊田のシュートを千葉のGK櫛野亮が弾き、そのこぼれ球に反応したのが鴨川だった。「豊田がGKとぶつかるような、いい動きをしてくれて、僕は得意なヘッドで押し込むだけだった」という鴨川のヘディングシュートが決まり、名古屋が先制する。
反撃を仕掛けてもフィニッシュの場面で精度を欠いた千葉。だが、88分、水野のロングスローをヘディングシュートしようとした斎藤が名古屋の中村に倒された形になり、PKを得る。このPKを阿部が冷静に決めて同点。さらに、そのわずか1分後、阿部、ハースとパスをつないで、坂本の逆転ゴールが生まれた。
昨シーズンのリーグ最終節、試合後のセレモニーで阿部は涙目で「来年はひとつでもいいからタイトルを獲りたい」と語った。そして今シーズン、千葉はナビスコカップ優勝で初のタイトル獲得を達成し、リーグ戦は最終節まで優勝争いを演じた。その最終節でロスタイムに2点を奪う大逆転勝利を獲得したのは、チームが成長したからこそだが、いまはあえて苦言を呈したい。次々と攻め上がった選手がゴールを狙うプレーをしてこそ千葉だ。前半のようにシュートを打たずにパスを回す攻撃はもう見たくない。今シーズンは結果的に2位以下の4チームが同勝ち点になり、得失点差で千葉は4位。来シーズン、あのとき、あそこで『1点』を取っておけば……と悔やむようなことになってほしくないからだ。
一方の名古屋はPKによる失点で集中を切らせ、結果的に逆転負けを喫して14位のままで終わった。楢崎とMF山口慶が負傷交代するアクシデントがありながら、最後まで千葉に仕掛けた激しいプレスと、サイドを起点とした攻撃は来シーズンにつながるはずだ。
以上
2005.12.03 Reported by 赤沼圭子
J’s GOALニュース
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