12月7日(水) 2005 J1・J2入れ替え戦 第1戦
甲府 2 - 1 柏 (19:04/小瀬/12,372人)
得点者:'11 レイナウド(柏)、'25 倉貫一毅(甲府)、'48 バレー(甲府)
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シーズンを通して内容にこだわり続け、第4クールで精神面の成長も感じさせた甲府。J1相手でも戦えるチームであることは、天皇杯4回戦の千葉戦でも明らかだった。しかし、J1リーグでの千葉(4位)と柏(16位)の順位差を、そのままこの試合の予想に当てはめることは出来ない。サッカーのスタイルも違うし、J2に落ちたくないという気持ちがプレーに影響するからだ。
確信を持てないままキックオフを迎えた午後7時4分。不安はすぐに消え去った。立ち上がりから甲府のサッカーが出来ていた。柏に対して「しっかり守ってカウンター」という先入観を持っていたが、「しっかり守って」ではなく、攻め込まれるから「引くしかない」のが現状なのかもしれない。だから、11分にフリーキックからレイナウドに決められた先制点もそれほど大きなショックではなかったし、スタンドの観客にも落胆はなかった。
何度もゴールチャンスがあった甲府が、それを結果に結びつけたのは25分。アライールが右サイドから入れたクロスが基点となった。左カーブのかかったクロスは、柏のGK南の守備範囲を逸れて、ゴール左のバレーに。バレーが頭で折り返したボールは、倉貫が突進して方向を変えるように触ってゴールラインを越えた。そして、京都戦の翌日(12月4日)に生まれた長男のためのゆりかごパフォーマンスを見せる。これには、大一番でも選手がサッカーを楽しんでいることを感じた。その後はお互いにチャンスをミスで潰し合ったが、柏の前線と守備陣の距離は遠くなり、守ってカウンターではなく、攻め込まれてのカウンターという形が顕著に出るようになる。
後半の開始と共に甲府が押し込み、48分にクリアボールを倉貫が拾い、バレーに4試合ぶりのゴールが生まれた。2−1と甲府がリードをしてからは、柏の前に出る積極性が当然高まってくる。なかでも、レイナウドの能力の高さは甲府も掴みきれていないものだった。ディフェンダーが振り切られてGK阿部と1対1でシュートを打たれる場面もあり、J1チームの底力を感じさせられた。しかし、シュートを打たれた阿部は「(ディフェンダーが)抜かれても追いかけてプレッシャーをかけていたし、シュートを打たれる瞬間に足を出してくれたから、コースは見切れていた」と振り返る。外から見ればただのピンチだが、ピッチ上の選手は冷静に対処していた。だが、レイナウドのドリブルやロングボール主体の攻撃に、センターバックのアライールの足が攣るなど、守備陣への負荷は小さくなかった。
しかし、アライールに代わって入った津田ら守備陣は、激しく挑んで来るレイナウド、矢野ら柏の攻撃陣を跳ね返し続けた。気がつけば、甲府の守備的な選手全員が開幕時はレギュラーではなかった選手たち。ボランチの奈須、4バックの青葉、秋本、津田、山本のうち、津田はベンチに入りをしていたが、残る4人はベンチにも入ることが出来ていなかった。成長した選手にチャンスを与えるという大木監督の方針がここに表れていた。選手のモチベーションを維持し、成長させてきた甲府の強みだ。逆に柏は、交代でベンチに下がる選手と早野監督が握手をすることがなかった。
リーグ戦最終節の京都戦同様に、終盤に甲府は最大のピンチに立たされる。バックパスを阿部が手で処理したという判定で、ゴールエリア内の間接フリーキックとなった。全員がゴールに入って壁を作る甲府。しかし、柏の判断は甲府を助けた。「あそこでボールを大きく動かしてから蹴られれば、コースや角度が変わるから嫌だったけど、(柏は)少し動かしただけで蹴ってきたので、止められると思った、(阿部)」。ラグビーのモールのようになった攻防は、最後に阿部がボールを確保して凌ぐことができた。4分間のロスタイムの30秒を過ぎたときに、停電というアクシデントがあったが、再開後は落ち着いて時間を使った甲府。そして、2−1で第1戦を勝利し、J1昇格に王手をかけた。
試合後、甲府の選手は「まだ半分しか終わっていない」、「2試合で勝たないと意味がない」というコメントを残した。最近は、大木監督と同じコメントを選手が言うようになり、監督が戒めなくても、選手自身が一喜一憂せずに自分自身をコントロールしている。この辺りは10日に行われる第2戦に向けて非常に頼もしい。しかし、「柏には勝てる」という気持ちが、心の隙に繋がれば第2戦はどうなるか分からない。第1戦では、何かが大きく動いた。しかし、まだ何も手にしていない。10日も同じ気持ちで戦うことが出来れば栄光の時間がやってくる。
以上
2005.12.8 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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