●第85回天皇杯準決勝
12月29日(木)15:04キックオフ/国立/31,441人
大宮 2-4 浦和
得点:23' マリッチ(浦和)、24' 片岡洋介(大宮)、62' 長谷部誠(浦和)、89' 冨田大介(大宮)、95' 山田暢久(浦和)、102' 長谷部誠(浦和)
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今季5回目となった因縁の埼玉ダービー。前半からお互いのよさを消しあった両者だったが、最後の決め手は「個の力」だった。長くジーコジャパンでプレーした山田が勝負を決定づける3点目をもぎとり、来年1月の日本代表候補合宿に初めて招集された長谷部がダメ押しとなる4点目を奪うなど、高い個人能力を持つ選手たちの活躍が光った浦和が、25年ぶりの天皇杯ファイナリストの座を勝ち取った。
2005年最後の公式戦となる天皇杯準決勝・大宮アルディージャ対浦和レッズ戦が29日、15時から東京・国立競技場で行われた。快晴に恵まれた東京だが、キックオフ時の気温は7.3度。非常に肌寒い中のゲームとなった。それでもゴール裏に陣取った多くの浦和サポーターら、3万1441人が熱心に試合を見守った。
今年4度の対戦で1勝3敗と分が悪い大宮。しかも守備の柱であるトニーニョ、攻撃のキーマン・藤本を欠いており、台所事情は苦しい。それでも先週末24日の準々決勝で優勝候補筆頭といわれた鹿島アントラーズを撃破。J1初参戦のチームに新たな自信が生まれつつある。この日はキャプテン奥野が復帰。新人の片岡とセンターバックのコンビを組んだ。冨田は本来の左サイドバックに戻り、藤本のポジションには横山聡が入った。対する浦和も、準々決勝・川崎フロンターレ戦と同じ3−4−2−1。正GK都築が戻った以外はスタメンも変更なしだ。
浦和がボールを支配し、大宮が手堅く守ってカウンターを狙う形が予想されたこの試合。序盤はどちらもスローペースだった。初の決勝進出に燃える大宮は速さのある桜井にボールをつなごうと試みるが、その桜井がいきなり右ひざを負傷。12分でベンチに下がってしまう。代わって若林が入ったが、森田との長身FWコンビは公式戦でほとんど一緒にプレーしたことがない。「どういうサッカーをすればいいのか、ハッキリしなくなってしまった」と久永が言うように、チーム全体が戸惑った。
そんなスキを浦和は確実に突く。前半23分だった。ポンテの左CKからマリッチがタイミングよく飛び込んで頭であわせ、先制点を奪ったのだ。マリッチのマークについた片岡は完全に振り切られる有様。「力のなさを痛感した」と本人も悔しがった。大宮の最終ラインと中盤のコンパクトな守りを崩せていなかった浦和にとっては大きな得点だった。
大宮にしてみれば、警戒していたパターンでの痛い失点。しかも大宮は藤本と桜井という攻撃のキーマンを欠き、攻撃の形が思うように作れない。それだけにこの1点があまりに重いと思われた。が、意外にもすぐさま同点弾が生まれる。26分、久永の突破から得たFKからのボールを、片岡が約25mの距離をものともせずに強引に蹴った。このれがポストに当たってそのままゴール。GK都築も反応できなかった。まさかの強烈弾に片岡本人もびっくりだった。
前半はその後膠着状態へ。浦和はボールも人も動かず、持ち味である機動力を発揮できない。大宮は完成度の高い組織的守備で応戦するものの、攻めにつなげられない。どちらかといえば大宮ペースだったが、ともに追加点を奪えないまま試合を折り返した。
迎えた後半、浦和は消極的だった45分間とは別のチームのようなアグレッシブさを見せる。5分にはポンテのスルーパスを受けた山田がゴール前でフリーになり、2分後には三都主が決定的シュートを放つなど、浦和らしい貪欲さが戻ってきた。これを懸命に守っていた大宮だが、ついに2点目を失ってしまう。17分、左の三都主がDFとの1対1から折り返したボールをファーサイドで受けた長谷部が倒れこみながらシュート。これがループ気味になり、GK荒谷の頭上を越えてゴールに吸い込まれた。
堅守が売り物のチームが2度もリードを許すなど、大宮・三浦監督も想像していなかっただろう。指揮官は1点を追いかけるためにマーカスと金澤を交代。横山と島田も代えて、前線にハイボールを放り込む形を多用する策に打って出る。浦和も大宮のリスクを冒した攻撃を想定し、最終ラインを下げて対応したが、強すぎる守備意識が結果的にミスを招くことになる。
後半終了間際、ロングボールをゴール前の森田が頭でうまく競り、こぼれたボールを冨田がヘディングシュート。大宮に劇的な2点目が転がり込んだ。これで試合は延長戦へ。勝利を確信していた浦和の選手たちは多大なる精神的ショックを受けたという。
勢いに乗りたかった大宮だが、延長戦では残念ながら体力が底をついていた。「特に中盤が消耗して、後半の終わりごろから足が止まった」と久永も言うように、延長に入ると彼らは「あと一歩」が出なくなった。逆にフレッシュさを取り戻した浦和に押され、ほとんどボールを持てない。J1の先輩はここで畳み掛ける。延長前半5分、長谷部のパスを受けた山田が角度のないところから流し込み、勝ち越しの3点目を挙げた。日ごろはあまり感情を表に出さないキャプテンは、看板を乗り越えサポーターに向かってガッツポーズ。今度こそ勝ちを確信した。さらにダメを押したのが長谷部。この7分後、中盤からのドリブルで50mを独走。2人のDFを抜き去り、GK荒谷をあざ笑うかのように右足を振り抜いた。
スコアは2-4。もはや大宮の選手たちにこれをひっくり返すエネルギーは残っていなかった。最後までボールを追い、攻撃を組み立てようという意欲と健闘ぶりは賞賛に値したが、流れには逆らえなかった。結局、今季ラストタイトル奪取に燃える浦和が勝利。25年ぶりのファイナル進出を決めた。
ミスの多さ、リズムを作れない時間の長さなど、内容的には不満も多かった浦和。それでも勝ちきれるのが今の強さなのだろう。特に際立っていたのが長谷部だ。「代表に入った以上は注目されるし、恥ずかしいプレーはできない」と本人も言う通りの高い技術、想像力と献身的な動きを前面に押し出した。彼の活躍はブッフバルト監督も心強いはずだ。2006年ワールドカップ・イヤー最初のタイトルへの挑戦はいよいよ最終局面を迎える。
以上
2005.12.29 Reported by 元川悦子
J’s GOALニュース
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