Q:J1昇格おめでとうございます。J1に昇格したことで、今季から運営環境が変わるということはありますか? 海野社長:「主要株主四者(山梨県、甲府市、韮崎市、山日YBSグループ)は資本金だけで、運営費は出さない方針です。変わるのは、広告料収入、入場料収入が増えるという変化ですね。山梨県にはプロサッカーチームは1つだけなので、J1に昇格して露出効果が少し大きくなれば、大手企業のスポンサー獲得も期待できると思います」
海野社長:「私が社長に就任した当時(01年度)の予算が約1.8億円。05年度が約6.3億円で、J2では中位よりやや下の予算規模でした。06年度はJリーグからの分配金、スポンサー料、入場料収入も増えるので、最低でも10億円の予算を目標としています」 Q:増えた約4億円はどこに使うことになりますか? 海野社長:「選手の人件費と、若干の補強ですね。移籍金に大金を使うことは出来ません。ほかには、現場スタッフ、フロントスタッフの増員と運営経費の増加などです」 Q:甲府の経営方針は常に黒字を出すことですから、多くの選手の給料を大幅にアップすることは難しいということですね。 海野社長:「まずは黒字ありき。収入に見合った運営、経営が甲府の信条です。赤字を出したら補填してくれる企業はない。甲府は黒字を出すしかないんですよ。Jリーグのクラブのことではないですが、第3セクターの会社などでは、困っても誰かがお金を出して穴埋めしてくれると思っている責任者が少なくない。また、その責任者も2〜3年で異動するから、前任者のやったこと以上をしようとしない。でも我々は成績も大事ですが、まずは黒字です」 Q:甲府はプロクラブとして自立運営ができているということですね。しかし、J1に昇格しても運営費はJ1平均の29億円には遥かに届かない。高額を払って選手を獲得することも難しいと思いますが? 海野社長:「それで万一J2へ降格したとしても、またJ1を目指してやればいいんです。 昨年の開幕前、J2だった甲府がJ1だった柏に勝てると思った人はいないでしょう? でも勝てた。だから簡単には落ちないんですよ。選手も自信を持っています」 Q:「万一降格しても…」という発言は、なかなか出来ないことだと思います。海野社長がストレートに言われたので驚きました。 海野社長:「サポーターも甲府の置かれた現状を理解してくれると思います。強いチームを作ることも大事だけれど、まずは無理な経営はしないことが大切。ただ、1桁(6.3億円)の運営費でもJ1に昇格することができた。素晴らしいコーチ陣がいたからJ1に行くことが出来たと思っています」
海野社長:「もし『10億円出す』というスポンサーが出てきたら悩みますね。でもお金が入っても、山梨県内のスポンサーが離れていくことが怖い。地域密着でクラブを盛り上げて運営していくという基本方針は変えたくないです」 Q:昨年の甲府は第2クール中盤から昇格に手が届く位置で戦ってきましたが、海野社長はなかなかJ1昇格という言葉を使いませんでした。天皇杯4回戦の千葉戦(11月9日、延長の末に2-3で敗戦)でようやく『J1を目指そう』と話されたようですが、その時期まで『J1』という言葉を使わなかった理由は何ですか? 海野社長:「まだまだ、やることがいっぱいありましたから。私が社長に就任してから『倒産の回避』『単年度黒字を出す』『最下位からの脱出』の順に目標を立てて、達成してきました。しかし、まだ『環境面の充実』『スタジアムの問題(J1仕様)』『専用グラウンドとクラブハウスの建設』という課題がありました。私としてはこれらの課題をクリアしてからJ1へと思っていたので、2〜3年予定より早いんですよね。でも、大木監督には『社長、昇格のチャンスはそう来ないですよ』と言われていましたよ(笑)」 Q:昨年の開幕前、大木監督とどのような話をされましたか? 海野社長:「大木監督から『目標はどうしましょう?』と聞かれて、『債務超過を脱していない状況で、J1という言葉は口が避けても言えない』と話しました。大木監督は『わかりました。私は勝ち点70、20勝を目標にします』と言いました」 Q:大木監督からJ1昇格という話は出なかったのですか? 海野社長:「私はJ1を目指すのは2、3年先のことと考えていたので、冗談で『3位になってJ1・J2入れ替え戦で負ければ、注目が集まって勢いが出る』と話しました。でも、大木監督は最初から今季は昇格のチャンスがあると考えていたと思います。選手には『J1に上がったときの喜びをイメージしろ』とトレーニングのときに話していたようですから。そして、現実にした。すごい監督ですね」 Q:予算規模の小さい甲府が、今季J1でどんな戦いをするのか注目されると思います。どんなアピールをしたいですか? 海野社長:「大企業の支援がなくてもこれだけ出来るんだ、ということをアピールしたいですね。Jリーグを目指しているクラブ関係者に勇気を与え、模範となりたいです。我々と同じような環境で運営するクラブが各県に最低1チーム誕生し、J1、J2、J3までできて、深みのあるJリーグになればいいと思います」 Q:サポーターに対して、甲府はどんなクラブでありたいですか? 海野社長:「後半ロスタイムに3点を取って逆転した第42節の札幌戦、J2の3位を決めた第44節の京都戦、柏に連勝したJ1・J2入れ替え戦などは、日常生活では絶対にありえない感動があったと思います。2週間に1回のホームゲームでは、喜びや感動を感じてもらいたい。そして、サポーターの皆さんにとってホームゲームが日常生活の潤いに繋がれば幸せです」 ◆ヴァンフォーレ甲府:クラブ存亡の危機から5年でJ1へ(1)は【こちら】 ◆ヴァンフォーレ甲府:クラブ存亡の危機から5年でJ1へ(2)は【こちら】 Interview by 松尾 潤
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