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【J1:第2節 鹿島 vs 横浜FM レポート】柳沢も不発。堅守の横浜守備陣に本来のポゼッションサッカーをさせてもらえず、完敗を喫した鹿島(06.03.12)

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3月11日(土) 2006 J1リーグ戦 第2節
鹿島 0 - 3 横浜FM (16:03/カシマ/22,454人)
得点者:'39 マグロン(横浜FM)、'79 マグロン(横浜FM)、'81 ドゥトラ(横浜FM)
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終わってみれば0−3。昨季達成できなかったタイトル獲りを狙う鹿島が、2006年ホーム開幕戦でまさかの完敗を喫した。5日の広島戦でハットトリックを達成した柳沢敦も横浜FMの中澤佑二、松田直樹、栗原勇蔵というJリーグ最強3バックの前に沈黙。小笠原満男、本山雅志ら日本代表に名を連ねる中盤も本来のポゼッションサッカーをさせてもらえず、逆にセットプレーから痛い失点を重ねた。2試合で6失点という鹿島らしくない展開になっているだけに、早急な建て直しが必要だ。
 
2006年J1第2節、鹿島対横浜FM戦が11日16時からカシマスタジアムで行われた。鹿嶋地方もこの日はうららかな天候となり、最高気温も15度まで上昇。柳沢の凱旋試合ということもあって2万2454人の観衆が集まった。
 
前節の広島戦で乱戦を制した鹿島・アウトゥオリ監督はこの日も日本人選手を主体としたメンバーを起用した。前節と入れ替わったのはFW。広島戦は深井正樹が先発したが、今回はアレックス・ミネイロが戻ってきた。彼と柳沢がコンビを組むのは初めて。彼らの動きには注目が集まった。対する横浜FMは4−1で快勝した京都戦と同じメンバー。腰痛で出場が危ぶまれた久保竜彦も問題なくピッチに立った。注目のドゥトラ、マグロン、マルケスの左のトライアングルも健在だ。

立ち上がりは鹿島が前へ前へと攻撃をしかけた。小笠原の速いタイミングにタテパスに柳沢が反応。持ち前の動き出しの速さを何度か見せた。が、これは横浜FMも研究済み。3バックが柳沢を徹底マークし、ペナルティエリア内で仕事をさせなかった。最初の10分間だけは鹿島が主導権を握ったかに見えたが、その後は横浜FMがじわじわとペースをつかむ。中盤でセカンドボールを拾い、左で攻撃を組み立てて右サイドへ展開。吉田孝行、あるいは最終ラインから上がってくる松田直樹へつないで相手を崩そうとする形が多かった。今年の横浜FMは守備陣の構成を変え、攻撃力のある松田を右に配置しているのだ。岡田武史監督は「左で攻めている時は右があく。そこが狙い目だったが、右サイドのサポートが遅れぎみだった」と不満げだった。

実際、横浜FMの先制点も右から崩す形ではなく、セットプレーだった。前半39分の右からのCK。奥大介のキックに反応したのが186cmの長身ボランチ・マグロン。彼のヘッドがゴールネットを揺らし、鹿島は与えてはいけない1点を献上してしまう。このまま前半が終了。アウトゥオリ監督は「自分たちのサッカーをしよう」と選手たちを送り出した。指揮官の指示通り、鹿島は後半頭からアグレッシブに攻めようとした。1つのターニングポイントになったのが後半2分、左CKから柳沢が放ったヘディングシュート。タイミング的にはドンピシャだったが、運悪くボールはGK榎本達也の正面へ。「入ってませんでしたか?」と本人も悔しさをにじませる最大の決定機だった。

これが入らなかったことで、ますます流れが横浜FMへ行ってしまう。鹿島は増田誓志と深井、本山と野沢拓也が一気に交代。前がかりになって攻めようとするが、こういう展開になった時の横浜FM守備陣は強い。ゴール前を固めて次々と鹿島の攻撃を跳ね返す。柳沢も持ち前のスピードを出し切れなくなった。

そして勝負を分けたのが後半34分のマグロンの直接FK。GK小澤英明が一瞬右に寄ったことで、反応が遅れてしまったのも痛かった。2点目が入った瞬間、鹿島の集中力が切れてしまう。結果として3分後にも追加点を奪われた。途中出場の田中隼磨の豪快なドリブル突破を新井場徹がおさえらず、クロスを入れられ、逆サイドにフリーで飛び込んだドゥトラにゴールを決められたのだ。

2試合で合計6失点。これは意外な結果だろう。かつての鹿島は「1点を取ったらしぶとく粘り強く守り切るチーム」だった。が、今はGK曽ケ端準の欠場などが響き、最終ラインの連携がやや悪いようだ。この日も完全に崩されたのは最後の1点だけだが、集中力を持続できないという課題を抱えている。増田と青木剛のボランチもセカンドボールが拾えない。これでは鹿島の華麗なボール回しも影を潜めてしまう。アウトゥオリ監督も「ボールを保持するという本体のサッカーができなかったことが課題」とハッキリ言った。いずれにせよ、守備の修正は急務のテーマといえる。

明るい材料があるとすれば、新人の内田篤人がドゥトラとのマッチアップを互角にこなしたこと。本人は「まだまだ寄せも甘いし、厳しくいけるところがある」と気を引き締めるが、若い選手とは思えないほどの的確な判断と1対1の強さを見せた。彼の成長は今後も楽しみだ。そして柳沢とアレックス・ミネイロの2トップも悪くはなかった。彼ら2人の息があってくれば、攻撃のバリエーションも増えるはず。小笠原ら2列目を含めた攻めには可能性が感じられた。Jリーグもまだ2試合が終わったばかり、これからいくらでも挽回は可能だ。

2連勝の横浜FMは非常にいいスタートを切った。今季は守備陣に安定感があり、外国人選手たちも期待通りの活躍をしている。久保はこの日は見せ場なく終わったが、いつブレイクしてもおかしくない選手だ。彼らの快進撃がどこまで続くかも興味深い。

以上

2006.03.12 Reported by 元川悦子
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