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【J2:第5節 仙台 vs 愛媛 レポート】3失点はしたが『初めての状況』で愛媛は善戦。仙台はまだ成長の伸びしろがあるはず。(06.03.25)

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3月25日(土) 2006 J2リーグ戦 第5節
仙台 3 - 1 愛媛 (14:04/ユアスタ/12,812人)
得点者:'38 ロペス(仙台)、'45 ボルジェス(仙台)、'48 高萩洋次郎(愛媛)、'71 千葉直樹(仙台)
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 戦前の予想通り、守備はセーフティーファースト、中盤以降がしっかりと引いて、深い陣形で守る愛媛。

 そんな愛媛を、仙台はここ数節同様に攻めあぐねた。出場停止明けのチアゴ ネーヴィスは随所で効果的な動きを見せるものの、チーム全体として決定的な形をほとんど生み出せない仙台。今日から右SBに回った菅井が、左サイドからのセンタリングにファーサイドから飛び込んでいくなど、目新しい攻撃もいくつかはあったが、愛媛は返す刀で、その菅井の裏にしきりにロングボールを入れ、走りこませた濱岡の切れ味鋭いサイド突破からリズムを作っていく。仙台もその攻撃に対して、千葉がカバーリングで対応しているため、決定的なピンチを招くことは無かったが、それでも濱岡のセンタリングが『あわや』の場面を演出していたことは確か。愛媛が狙い通りの展開に持ち込んでいた事実は、前半のシュート数(仙台の3に対し、愛媛は6)にも表れている。

 しかし、先制点は仙台だった。今日が仙台移籍後初出場だった熊林が、落ち着いた球さばきからリズムを仙台に引き戻しつつあった38分、左サイドでの細かなパス交換の後に梁が倒される。そのFK、梁自らが蹴り入れたボールは、ニアポスト側、ゴールラインから少し距離のあった位置にいたロペスの頭へピタリとあった。2次元(平面)では井上のマンマークに遭い、今日も苦しんでいたロペスだが、長身という3次元(高さ)の武器を活かして結果を出した。流れの中では崩されていない愛媛にとっては悔しい失点。

 だが本当に悔しい、そしてやってはいけない失点は、後半の開始直後に発生した。
ハーフタイムに望月監督が「試合への入り方に気を使おう」と言って選手を送り出したにもかかわらず、まだホイッスルから1分も経過していない45分、最終ラインにいた菅井からペナルティーアークのボルジェスにロングパスが入った。愛媛のDF陣は2人いたにも関わらず、連携のミスからボルジェスに簡単に間を抜かれる。GK羽田があわてて飛び出すも、冷静なボルジェスはゴール右に流し込んでゲット。ここまで4試合、1点差という最小得失点差での緊張感あるゲームを続けてきた愛媛にとって、未知の領域とも言える2点のビハインドが課せられる。

 ところが愛媛は、主将でもある羽田の言葉を借りれば「折れなかった」。2失点のダメージが広がる前の48分に、スローインからのボールを仙台のペナルティエリア内で粘り強くつないで、最後は高萩が蹴り込み再び1点差とすると、その後も攻撃のリズムを掴み始めた仙台に臆することなく、サイド攻撃を敢行。互角ともいえる勝負を繰り広げた。

 結果的に、チアゴ ネーヴィスのFKの跳ね返りを右サイドで拾った千葉が、センタリングと見せかけてファーのサイドネットにループ気味に決めた、71分のスーパーゴール(本人は狙いではないというが、ボールの弾道が美しかったことに変わりは無いのであえてこう表現)が、愛媛にとってはとどめの一撃となった。だがその後も、前がかりになった裏を突かれて招いたチアゴ ネーヴィスとロペスの決定機を、羽田が必死のセービングで防いだり、直後に愛媛も2度の決定機を掴む(これはポストとシュートのミート失敗によってゴールならず)など、愛媛はJFL時代には無かったであろうこの『超アウェイ』の状況でしっかりと戦い抜いた。

 ・・・愛媛を褒め称える文章が多くなってしまったが、守備とカウンターをベースにした規律だったサッカーと、各々のファイティングスピリットが愛媛にはある。今後対戦するチームは、決して昇格チームだと侮らないほうがよい。

 一方で、勝利した仙台にとっては、勝ち点3をあげてほっと一息つけたことは嬉しいとして、今日の試合は判断に困る一戦である気がする。

 前半にこんな場面があった。カウンターで左サイドをチアゴ ネーヴィスが持ち上がり、ゴール前にはロペスとボルジェス。この2人を警戒し、愛媛はDFラインの4人だけでなく、中盤の二人もラインに吸収、6人でゴール前をとにかく固めていた。自ずと、2列目から後を追った梁や熊林はフリー。

 しかしチアゴ ネーヴィスは、それを待たずにゴール前にセンタリング、愛媛の守備に簡単に跳ね返されてしまった。

 後半、愛媛がビハインドを負い、前半ほどの厳しいマンマークをつけられなくなったことで、ロペスとボルジェスは開幕戦のような動きを若干取り戻し、結果として仙台の攻めのリズムは向上したが、イーブンな状態での攻撃パターンや連携には、まだまだ改善点があるように思える。

 それを次節、昨年のJ1降格チームである神戸とのアウェーゲームでどう乗り越えるか。この1週間の成長が楽しみである。

以上

2006.03.25 Reported by 佐々木聡
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