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【J2:第5節 水戸 vs 柏 レポート】1位・柏と3位・水戸の上位対決は「内容は良くなかった」(小林亮)ながらも柔軟な試合運びを見せた柏が勝利。(06.03.25)

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3月25日(土) 2006 J2リーグ戦 第5節
水戸 0 - 1 柏 (14:04/笠松/3,576人)
得点者:'31 小林亮(柏)
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「失点までは完璧な試合だった」と水戸・前田監督は振り返る。序盤から柏がディエゴを中心に左サイドから攻撃を仕掛けるが、守備に強い右SB河野、右MF倉本が体を張ったディフェンスで食い止め、そこから鋭利なカウンターを繰り出していった。その象徴だったのが7分。最後尾から吉本が左サイド秦にロングフィード。秦が素早く中央の権東へ渡すと左サイドを猛スピードでオーバーラップしてきた大和田にスルーパス。完全に柏DFラインの裏を取った大和田がゴールネットを揺らしたが、惜しくもオフサイド。しかし、チーム全体での攻守の切り替えの早さが柏を上回り、その後も水戸がチャンスを築き上げていった。

 だが、柏が水戸の隙を突く。31分、右サイドからのスローインを受けた谷澤が見事なトラップからペナルティエリア内に切り込む。なんとか時崎がブロックしたものの、こぼれたボールに走り込んだ小林亮が豪快に右足を振りぬき、ゴールに突き刺した。

 痛恨の失点を喫した水戸であったが、まだ59分も残っており、これまで通りの試合展開が続けば大きなチャンスがあったはず。しかし、そこから試合運びの巧拙の差がくっきりと表れることに。特に柏の試合巧者ぶりに水戸は翻弄されることとなった。

 柏は前半を1点リードで終えると、後半開始から「ディエゴと鈴木の位置を替え」(石崎監督)、鈴木がトップ下の位置で持ち前の運動量を披露。前半はまったく拾えなかったセカンドボールを柏が拾えるようになると水戸の勢いは自然としぼんでいった。さらに「前からプレスをどんどんかけていこう」(石崎監督)ということが前提の柏のサッカーだが、「90分間続けることはできない」(小林亮)ゆえに「相手ペースの時にだいぶ臨機応変にできるようになってきた」と小林亮が話すように、前線からのプレスを基本としながら劣勢になったとみると全員が自陣に戻り、時にはペナルティエリア内に6人が入って守るシーンも見られた。「後半はボールを回させられた。柏の意識は徹底されていた」と時崎も柏の戦い方に脱帽した。

 そうした柔軟なサッカーを見せる柏に対して、水戸は策がなさすぎた。後半7分に高橋を左サイドに投入して攻撃的に出ようとしたが、「左から攻めようという意識を全員で理解しないと」と時崎の言葉が表すように、その後も攻撃はロングボール頼み。セカンドボールさえも拾えなくなるとチャンスらしいチャンスもつくることができず、試合は終了した。

 1週間で3試合というハードな日程ゆえに両チームともに集中力を欠き、ミスが目立った試合だった。「試合内容は良くなかった」と小林亮もそれを認める。だが、「自分たちのリズムでない時にいかに勝ち点を取るかが大事」と石橋監督が話すように苦しい状況を打開する術を柏は持っていたからこそ得た勝ち点3と言ってよい。結果は1対0という最少得点差だったが、戦い方の『選択肢』に差を見せた柏にとっては完勝であり、「勝ち慣れていない若さ」(時崎)を露呈した水戸にとっては完敗であった。

 開幕から好調を維持してきた水戸だが、前節神戸戦に続き、降格組相手に連続して完封負け。3位だった順位も6位に落とした。ここで踏ん張ることができるかに今季のチーム力が試される。1週間後の横浜FC戦に向け、時崎は「絶対に3連敗はできない」と唇を噛み締め、スタジアムを後にしていった。


以上

2006.03.25 Reported by 佐藤拓也
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