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【ワールドカップイヤー特別企画】オーストラリア代表ブレッド・エマートン選手インタビュー(06.05.09)

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過去に戦った日本はいつも強かった。でも今度は僕らが勝つ!



■ブレッド・エマートン(オーストラリア代表/ブラックバーン・MF)

 6月12日の日本代表vsオーストラリア代表戦まで30日あまり。初戦の相手・オーストラリアは決勝トーナメント進出を狙うジーコジャパンの前に立ちはだかろうとしている。その一翼を担うのが右のスペシャリストであるブレッド・エマートン(ブラックバーン)だ。ユース代表、五輪代表の頃にはたびたび日本と対峙し、フェイエノールト時代には小野伸二(浦和)とともにプレー。01−02UEFAカップ優勝も経験した選手である。ある意味、日本サッカーを熟知する男にドイツワールドカップ初戦について聞いた。


ブレッド・エマートン選手
Q:オーストラリアにとっては1974年西ドイツ大会以来、32年ぶりのワールドカップ出場ということで、今は国全体が大変な盛り上がりだと思います。その舞台に立とうとしているエマートンさんご自身の心境はどんな感じですか?
「僕にとってもワールドカップは本当に小さい頃からの夢でした。もうすぐ大舞台で実際に戦えるんですよね。その喜びを一番うまく表現するとしたら『ドリーム・カム・トゥルー(夢が叶った)』。そんな感じでしょうね。今は本大会が始まるのが楽しみで仕方ないんですよ。きっと自分だけじゃなくてチームメートもそうだと思います。オーストラリアという国全体にとっても特別な機会になるでしょうね。プレーオフでウルグアイに勝った時、国中が信じられないくらいの大騒ぎになったんですから。本番になれば物凄いことになるんじゃないかな」

Q:長く遠かった本大会ですが、今度のドイツ大会では日本、ブラジル、クロアチアとF組を戦うことになりました。
「どこもいいチームですよね。ブラジルは間違いなく世界最強チームの1つだし、日本とクロアチアも決して悪くない。全てのチームに決勝トーナメント進出の可能性があると思いますよ」

Q:フェイエノールト時代に小野伸二(浦和)選手と2年間一緒にプレーし、彼のことを熟知しているエマートンさんですが、あなたから見て日本人選手や日本のサッカーの印象はどんな感じでしょう?
「そうですね。全ての選手を熟知しているわけではないけど、僕はアジアのサッカーレベルがここ何年かですごく向上しているのをよく知っています。オーストラリアは今年からAFCに入りましたしね。それに日本とは自分がユース代表や五輪代表の頃に何度も試合をしたこともある。彼らはいつも強くて、僕らはなかなか勝てなかったという印象がありますね」

Q:最近の日本代表のゲームは見たことがありますか?
「いや、見てませんね。でも僕は本番前なったら、かなり沢山のビデオを見ると思いますよ」

Q:日本との初戦は大会を占う重要なゲームになると思いますが、どんな戦いになると予想していますか?
「もちろんオーストラリアが勝ちますよ! スコアまではちょっと分からないけどね…。まあ、タフなゲームになることは間違いないでしょう。僕としては日本とオーストラリアの両方が突破できるといいんですけど(笑)」

Q:初戦の勝敗を分けるポイントはどこにあると考えますか?
「その質問に答えるのは難しいですね。両チームのフォーメーションにもよりますし、どうやってゲームの準備をするかにもよりますから…」

Q:オーストラリアが誇る高さとフィジカルの強さは日本にとって脅威になりそうですが
「確かに僕らはフィジカルの強さや高さを有効に使わければいけないですよね。日本戦でその特徴を前面に押し出す必要があるなら、なおさらですよね。でもみなさんが思う以上にオーストラリアのサッカーは技術レベルが上がってきているんです。今は肉弾戦のような戦い方も避けるようにしていますしね。それに監督のヒディングもフィジカル的な要素の強い試合を決して好まない。『きちんと組み立てて展開するサッカー』を僕らに求めているんですよ」

Q:2001年コンフェデレーションズカップ(日韓共催)で日本と戦ったオーストラリアを見てもそのスタイルの変化はよく分かります。それに加えて世界的名将であるヒディング監督の影響は大きいんでしょうね。彼は一体、どんな変化をチームにもたらしたのですか?
「ヒディングが来てからプレーオフまで3〜4ヶ月しか時間がなかったのに、彼は全ての選手に自信を植えつけてくれたんです。『自分たちはワールドカップに出られるんだ』と信じる気持ちを持たせてくれました。練習にしても試合もアイディア豊富で有意義でしたしね」

Q:ヒディング監督と他の指揮官との違いは何でしょう? カリスマ性ですか?
「そうですね。確かに彼にはカリスマ性がありますね。選手に自信を持たせるのがうまいし、勝負に勝つためのすばらしいアイディアを沢山持ってますね。彼が教えてくれたことを僕らがピッチ上で実践する。その小さな積み重ねがチームの本大会出場につながったんだと思います」

Q:94年アメリカ大会ではアルゼンチン、98年フランス大会ではイラン、2002年日韓共催大会ではウルグアイと3度続けてプレーオフで敗れてきたオーストラリアが本大会出場権を勝ち取れたのも、ヒディング監督によるメンタルコントロールによる部分が大きかったというわけですね。
「確かにそうでしょうね」

Q:このチームでエマートンさんは右のスペシャリストであるわけですが、ヒディング監督からはどんな役割を与えられているのですか? フェイエノールト時代のあなたを何度か見たことがあるのですが、かなり積極的に上がっていましたよね。今のオーストラリア代表では守備のバランスを重視しているようにも見えますが?
「いや、そんなことはないですよ。オーストラリア代表でもフェイエノールトの頃も役割は似てますから。日本の方にはフェイエ時代の僕が印象的なんでしょうね。当時のフェイエは伸二もいたし、非常に強いチームだった。自分が前へ出るチャンスも多かったのは確かに間違いないですけど。今度のドイツワールドカップでももっと積極的に前へ出て勝負したいと思っています。そういう場面がより多くくるといいんですが」

Q:なるほど、わかりました。ズバリ、チームの目標は?
「決勝トーナメントまで進むことです。そこまでいければ成功だろうし、客観的に見れば偉業ともいえるはずだから。1次リーグさえ突破すれば、その後は何が起きるか分からない。それがまた楽しみですよね」

Q:では日本のサッカーファンに一言いただけますか?
「OK。僕は日本代表チームと戦うのを楽しみにしています。もちろん自分たちが勝ちたいです。でも日本がベストを尽くすことも祈っていますよ」

Q:そしてもう1つ。親友である小野選手にメッセージをどうぞ。
「伸二、キミとまたドイツで会えるのはうれしいことだね。オランダ時代は一緒に食事したりお茶を飲んだり音楽を聴いたり…沢山のいい思い出があるよ。今は日本に戻っているようだけど、再びヨーロッパでプレーすることになれば素晴らしいよ。キミはすごく才能ある選手だから、対戦する選手はどこも警戒してくると思う。僕も日本戦の時は試合中、ずっと追いかけ回すからね! 気をつけろよ!(笑)」

ブレッド・エマートン選手プロフィール------------------------
1979年2月22日、オーストラリア・パンクスタウン生まれ。185cm、85?。シドニーFCでプロのキャリアをスタートさせ、フェイエノールトを経て現在はイングランド・プレミアリーグ1部のブラックバーンに所属。3−5−2の右アウトサイドもしくは4−4−2の右サイドバックをこなす選手。スピードあるオーバーラップに加え、決定力の高さがウリ。
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取材・文/元川悦子
通訳・協力/岡部恭英(エバートンFC
写真/Office La Strada

取材日:2006年4月
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