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【ワールドカップイヤー特別企画】オーストラリア代表 トニー・ポポヴィッチ選手インタビュー(06.05.29)

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F組は自分にとって完璧なグループ。この組を突破して優勝したいよ!


■トニー・ポポヴィッチ(オーストラリア代表/クリスタルパレス DF)

 6月12日、日本代表が1次リーグ突破をかけてドイツワールドカップ初戦で挑む相手・オーストラリアに、日本サッカーのことを知り尽くした男がいる。トニー・ポポヴィッチ、32歳。193cm、88?の恵まれた体躯を持つ大型DFだ。彼が97年から2001年にかけてサンフレッチェ広島でプレーしていたことをご記憶の方も多いだろう。世代交代の進む広島にあって、彼の高さと強さはたびたびチームを救っていた。今はイングランド・チャンピオンシップ(2部リーグ)のクリスタルパレスでプレー。オーストラリア代表の一員として日本に立ち向かうことになる。そんな彼に日本時代のことからオーストラリア代表についてまで幅広く聞いた。


トニー・ポポヴィッチ選手
Q:オーストラリア代表にとっては32年ぶりのワールドカップになります。国民の期待も大きいでしょうね。
「プレーオフに勝った時、国中が信じられないくらいの大騒ぎになった。僕らが快進撃を見せればみんな狂喜乱舞するだろうね。僕自身はラッキーなことに今まで年代別代表でプレーしてきたけど、ワールドカップだけは違う次元のもの。本当に大会も近づいてきたよね。僕ら代表選手はいつも連絡を取っているけど、みんなスタートが待ちきれないよ」

Q:オーストラリアが入ったF組の印象はどうでしょう?
「僕自身にとって完璧なグループなんだ。ブラジルは世界王者だし、日本は長いことプレーしていて沢山のいい思い出がある国。そしてクロアチアは自分のルーツ。僕の両親はクロアチア移民なんだ。2位以内になって決勝トーナメントへ行きたいんだ。ま、僕らの最大の目標は優勝だけどね(笑)」

Q:1次リーグ突破のためには初戦の日本戦が重要になりますね。あなたは5年間サンフレッチェ広島でプレーしていて、日本サッカーのことは熟知していると思いますが。
「そうだね。僕が最初に日本へ行ったのは97年だった。5年の間には日本サッカーの大きな変化を目の当たりにしたよ。行ったばかりの頃は、海外クラブでのプレー経験を持つのがジェノアにいたカズ(三浦知良=横浜FC)くらい。中田(英寿=ボルトン)もこれから欧州へ行こうとしていた。だけど今は多くの選手が欧州にいる。小野(伸二=浦和)もそうだし、ストライカーの高橋(正しくは高原直泰=ハンブルガーSV)もいる。ああ、高原だっけ? 間違えたよ(苦笑)。それに中村(俊輔=セルティック)もいる。そんな状況を見ても、日本サッカーの進歩が分かるし、世界での高く評価されているよね」

Q:なるほど、さすがは日本通ですね。
「いやいや、それほどでもないよ(笑)。とはいっても、サンフレッチェのことと、サンフレッチェ代のチームメートのことは気になるよね。今、こっち(英国)では『Jリーグウイークリー』という番組があるんだけど、それは毎週見ているよ。みんながどうしているかちゃんと知ってるんだ。日本代表戦は最近、見ていないけどね。
 でも日本にはエクセレントな選手が揃っているから、F組突破を狙ってくるのは当然だと思う。僕らにとっても初戦は非常に重要な一戦だ。これまでの年代別大会や代表戦では日本に負けることが多かったし、今回も拮抗したゲームになると思うけど、勝つのはこっちさ。スコアは2−1くらいかな」

Q:誰がゴールを奪うのですか?
「1点目は自分だよ。僕はいつも自分がボールする夢を見ているんだ(笑)。2点目は誰でもいい。勝てたらそれでハッピーなんだ」

Q:その自信の源になっているのが、名将・ヒディングの存在なんですね?
「確かにヒディングの存在は大きい。彼は世界で最も優れた監督の1人だし、大舞台も知っている。オランダや韓国での経験もある。こうした経験は金では買えないからね。戦術的にもさまざまな戦い方を知っているし、独特の考えもある。大会までの4〜6週間をまたヒディングと一緒に過ごせるのはうれしいことだよね」

Q:94年アメリカ大会から3度続けてプレーオフで敗れていたわけですからね。それだけ勝てなかったオーストラリアが本大会進出を果たせた要因は何でしょう?
「いろんな小さなことの積み重ねだよ。一例を挙げると、今回は第2戦をホームで戦えた。2002年の時はアウェーだったから、その違いもある。監督がヒディングだったことも大きいね。新しい選手を抜擢して僕らをフレッシュな気持ちで戦わせたからね。4年前にウルグアイとのプレーオフで敗れたことから多くを学んだのもプラスだった。多くのメンバーがあの敗戦の場にいたし、それを糧にすることができたんだからね」、

Q:プレーオフを振り返ってみると、どんな感じでしたか?
「もう信じられない、想像を絶するような経験だった。ウルグアイで0−1で負けた時は苦しかった。でもシドニーに戻ればチャンスがあると信じてたし、8万人のサポーターも支持してくれた。チーム状態もフィットしていたよね。中5日の戦いだったけど、僕らの方がウルグアイより環境にうまく適応したんだ。ヒディングも自信をつけてくれたしね」

Q:第2戦であなたは途中でベンチに下がっていますが?
「誰だって交代は嫌だよ。でもヒディングは警告をもらった自分を途中で下げ、すぐにキューウェル(リバプール)を入れた。誰だって交代は嫌だけど、自分が2枚目のイエローをもらって退場したら、チームは危機的な状況に陥る。それを冷静に予測し、ベストな判断を下せる。だからヒディングは『名将』といわれるんだよ」

Q:そんな話を聞くと、ますます手ごわそうですね。F組の勝ち上がりを予想すると?
「まず初戦・日本戦は勝ち点3を取りたいね。2戦目のブラジル戦はポイントが1つでも取れればボーナスみたいなものだと思う。そして3戦目のクロアチア戦は運命が自分たちの手に委ねられる状況になっていてほしい。そんな形が理想だね。そうすれば僕らはラクに戦える。1次リーグは難しいけど、とにかく勝ちたいよ」

Q:オーストラリアにとって特別な大会になりそうですが。
「ああ。今回の僕らは間違いなく強い。個々のレベルでは過酷なゲームを欧州で積み重ねている。プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、UEFAカップといった大舞台の経験を備えているんだ。でも自分たちはこれまでW杯に出ていないし、世界の大きな舞台ではまだ何も証明してない。ドイツでオーストラリアが強豪国であることをしっかりと見せつけたいと思うよ」

Q:オーストラリアで警戒すべき選手は?
「多すぎて言い切れないよ。ブレシアーノ(パルマ)もキューウェルもビドゥカ(ミドルスブラ)もいる。この3人のアタッキングプレーヤーはみんなが知ってる選手かもしれないね」

Q:それではオーストラリアの強味は何ですか?
「一番はチームの絆。信頼感も一体感も強いんだ。オーストラリアのスポーツはどれもそうだけど、1つのチームとして戦う。このチームスピリットと絆は決して失われることがないんだ。集団としての意識、団結力、コンビネーションを持って勝負するんだ」

Q:こういった組織力の高さは日本と共通していますね。
「そうだね。だからこのゲームが興味深いだと思う」

Q:最後に日本のファンにメッセージをどうぞ。
「日本語はちょっと分かるけど…。ガンバリマス! (ここから英語で)日本のファンのみなさん。日本戦を見て楽しんでほしいですし、日本代表が上までいけることも祈っています。でも初戦ではあなたたちが負けることを祈ってます(笑)。初戦以外はベストな結果を祈ります。僕の友人である日本の人たちにドイツで再び会いたいですね。自分は日本が大好きだし、いつかまた日本に戻るかもしれない。神のみぞ知るといったところでしょうね」


トニー・ポポヴィッチ選手プロフィール------------------------
1973年7月4日、オーストラリア生まれ。クロアチア移民の両親を持つが、本人はオーストラリア国籍を取得し、年代別代表でもプレーした。97年には来日し、広島で5年間にわたってプレー。恵まれた体格を生かしたディフェンスで相手を寄せ付けず、しばしば自分もゴールを奪っていた。性格的にも素晴らしく、広島には今もなお彼のファンが数多くいる。今回のオーストラリア代表では3バックの左DFとしてプレーすることになりそうだ。
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取材・文/元川悦子
通訳・協力/岡部恭英(エバートンFC
写真/Office La Strada

取材日:2006年4月
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