7月19日(水) 2006 J1リーグ戦 第13節
鹿島 2 - 4 川崎F (19:04/カシマ/7,427人)
得点者:'23 ジュニーニョ(川崎F)、'31 アレックスミネイロ(鹿島)、'57 アレックスミネイロ(鹿島)、'59 谷口博之(川崎F)、'67 谷口博之(川崎F)、'76 鄭大世(川崎F)
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「フェルナンドのような経験豊富な選手を欠くのは大きなダメージだった」とアウトゥオリ監督も肩を落とした。まさにそうだろう。前半41分、攻守の要・フェルナンドが2枚目の警告を受けて退場を強いられたのが、この日の鹿島の「まさか」の始まりだった。後半に入ってから一時は逆転に成功したものの、相手のカウンター攻撃の術中にはまり、最終ラインと前線が間延びしてしまう。そこを川崎Fに突かれ、結果として4失点を喫したのだ。これで5月3日の大分戦から3連敗。J1再開ダッシュに失敗したのと同時に、順位を6位に落としてしまった。タイトル奪回を狙う鹿島はいきなりの苦境に立たされた。
2006年ドイツワールドカップのため中断していたJ1が19日から再開された。この大会で惨敗した日本サッカー界にとって、Jリーグの底上げは重要。そういう意味でも今後の戦いが注目される。鹿島対川崎F戦は第13節屈指の好カード。季節外れの肌寒い風が吹きつけたカシマサッカースタジアムだったが、選手たちは新たな意気込みを持って試合に挑んだ。
鹿島・アウトゥオリ監督は中断期間に獲得した新外国籍選手のファビオ・サントスをいきなり先発起用してきた。この日のスタメンはGK曽ケ端、DF内田、岩政、大岩、新井場、ボランチ・青木、フェルナンド、2列目・小笠原、ファビオ・サントス、FWに柳沢とアレックス・ミネイロという顔ぶれ。中断前は大分、浦和に連敗して終わっているだけに、幸先のいい勝利がほしいところ。
一方の川崎Fも中断期間に退団したマルクスに代わって加入したマギヌンがJデビューを飾った。先発はGK相澤、DF箕輪、米山、伊藤、右サイド・森、左サイド・マルコン、ボランチ・中村、谷口、トップ下・マギヌン、FW我那覇、ジュニーニョだ。
主導権を握りたい鹿島は序盤から飛ばし気味に行った。小笠原を軸にボールを回し、両サイドも果敢に攻撃参加する。前半14分には小笠原からダイレクトパスが3本つながりアレックス・ミネイロがシュートを放つ。これは相手GKが弾くが、柳沢が少し早く詰めすぎて1点にはならなかった。それでもここまでは完全な鹿島ペースだった。
ところが23分、新井場がペナルティエリアに突進してきた谷口を押し、PKを与えてしまう。これをジュニーニョが決め、ここまで何もできなかった川崎Fが1点をリードする。鹿島にしてみれば信じがたい展開だったが、それでも冷静さは失わなかった。そして31分には小笠原のクロスをDFと柳沢が競り、そのこぼれ球を拾ったアレックス・ミネイロが遠目の位置からゴール。すぐさま試合を振り出しに戻した。
しかし勝負の明暗を分けたのはこの10分後。フェルナンドがジュニーニョを倒して2枚目の警告を受けた場面だ。前半のうちに10人での戦いを強いられた鹿島。選手たちからも険しい表情が見て取れた。
「10人でも間延びしないように戦おう」とハーフタイムに確認してのぞんだ57分。鹿島は若い内田が思い切りのいいドリブル突破でPKを奪う。これをアレックス・ミネイロが確実に決めて、逆転に成功した。
この1点リードを守るべく、しっかりとした守備システムが維持できればよかったのだが、今季の鹿島はそれができない。59分に北京五輪代表有力候補といわれる谷口のミドルシュートが豪快に突き刺さると、ここから一気に集中が崩れた。そして67分にはセットプレーから再び谷口がヘディングシュートで試合を決める3点目をゲットする。この逆転弾で川崎F攻撃陣は完全に火がついた。
「リスタートがらみの失点が多く、完全に守りが崩れたわけじゃない」と青木は気丈に振舞ったが、3点を失った彼らに逆境を跳ね返す力は残っていなかった。アウトゥオリ監督は75分に本山と中後の2人を同時に投入して建て直しを図ろうとしたが、4点目を失ったのはその直後。川崎Fの控えFW鄭のゴールが見事に決まったのだ。
90分が終わってみれば2−4。鹿島は5月7日の浦和戦に続く2試合連続4失点でリーグ戦3連敗という最悪の結果を余儀なくされた。悪天候の中、スタジアムに詰めかけたサポーターからもブーイングが起きる。首位・川崎Fとの勝ち点差は8に開き、かつての常勝軍団は厳しい夏を迎えることになった。
ただ「昨シーズンのこともあるし、勝ち点8くらいの差では何が起きるか分からない。7月は残り3試合あるし、全部勝てばまだ巻き返せる」と新井場は気を取り直していた。確かにこの日も攻撃のリズムは悪くなかった。守備さえ安定化させられれば、今後の戦いを好転させることは可能だ。次は中2日で松本へ移動しF東京に挑むという過密日程だが、その過酷さは両者ともに同じ。次戦が今後を左右する重要なゲームになりそうだ。
川崎Fの方はアウェーで初めて鹿島を撃破。「この勝利はクラブにも自分にも大きい」と関塚監督も満面の笑みを浮かべた。序盤は耐えつつ流れを見ながら攻撃に厚みを加えるといった臨機応変な戦いもできるようになってきた。新加入のマギヌンが手ごたえを感じさせたのも大きい。「川崎Fが首位なのは偶然と言われたくない」と中村もプライドを口にする。次から浦和、G大阪と上位対決が続くが、これを乗り切れば明るい未来が開けるはず。川崎Fの戦いぶりから目が離せない。
以上
2006.07.20 Reported by 元川悦子
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第13節 鹿島 vs 川崎F レポート】フェルナンドの退場が響き、J1再開ダッシュに失敗。まさかの3連敗で順位を落とした鹿島。(06.07.20)
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