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【J2:第32節 横浜FC vs 水戸 レポート】水戸は上位相手に善戦するも、経験の差が勝負を分けた。横浜FCは意味ある勝ち点3で、2位をキープ。(06.08.07)

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8月6日(日) 2006 J2リーグ戦 第32節
横浜FC 3 - 2 水戸 (19:04/三ツ沢/4,258人)
得点者:'17 アウグスト(横浜FC)、'28 早川知伸(横浜FC)、'51 椎原拓也(水戸)、'54 アンデルソン(水戸)、'89 城彰二(横浜FC)
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毎節バックスタンド正面に掲げられている横断幕。 毎回毎回、対戦相手やその時のチーム状況に見合ったオリジナリティ溢れるメッセージで選手達を鼓舞するだけでなく、スタジアムに訪れるファンを楽しませている。
水戸との対戦となった今節、「忘れはしない 6・2笠松 屈辱は倍返し!」のメッセージがピッチを見守っていた。そう、思い返せば第2クール。開幕戦での黒星以降、横浜FCが昇格へ向けた快進撃を見せていた。そのチームの15戦負けナシという記録をストップさせたのが水戸だった。それだけに、このメッセージには「あの時の仮を返したい」というサポーターの強い想いもこもっていた。 チームにとっては、絶対に取りこぼしの出来ない一戦でもある。

試合は静かにスタート。水戸は幾度か続いた横浜FCのミスを逃すことなく突いてくる。そこからの展開も、今までの強く水戸の印象としてあったロングボールなどではなく、ボールを繋ぎながらの攻撃を見せる。一方、前半12分横浜FCに訪れたチャンス。左に居る城へのロングボールから右への展開。ゴールを割ることは出来なかったものの、ここから横浜FCペースに。訪れたチャンスから5分後、アレモンのFK。相手DFに当たってこぼれたボールをアウグストが拾い、FK直後にペナルティエリアに走りこんだアレモンへボールを落とすと、そこからアウグストがワンツーで抜け出しドリブルシュート。見事な先制弾となった。また、28分にもFKからの追加点。アウグストのFKにゴール前で早川が左足で合わすもポストを叩く。しかしその跳ね返りを早川自身がしっかり拾いゴール右すみに決め水戸を突き放し、横浜FCペースで試合を折り返した。

「後半は攻撃的にいこうというところで、突破が出来る眞行寺を右にして、相手の左サイドを徹底して突いていこうと思っていた。」という前田監督の采配はズバリ的中。後半早々、水戸は右サイドから起点を作り始める。後半が始まってわずか6分後、その眞行寺からのアーリークロスを西野→椎原で1点を返すと、その3分後には スローインからの展開をまたもや眞行寺が起点となってあれよあれよという間に相手を崩しアンデルソンの見事な同点弾。このあっという間の出来事に、湘南戦・愛媛戦が頭をよぎる。横浜FCは、2点追いつかれたショックを引きずるように、なかなか立て直すことが出来ず、時間だけが過ぎていく。「うちは後半の方が良く走るでしょう?オシム監督ではないが、『走らないやつは使わない』と言っているのが浸透してきたのかな(前田監督)」という水戸は、後半になっても足が止まることなく、逆に後半よく走りチャンスを作る。「スピードがある選手が欲しかった(高木監督)」横浜FCは吉武を、そして疲れが見えた山口に代えて秋葉を入れ鄭をボランチに上げ打開を図り、残り10分を切った頃からようやくチャンスを作り始める。

ロスタイムは3分。手元の時計では既に後半48分30秒を回っていた。「同点狙いならキープすれば良かった(前田監督)」という、ハーフウェイライン付近での水戸のボール。秋田から権東へのボールを、後ろから虎視眈々と狙っていたアウグストが奪うと、そのままドリブルで、ファーで待つ城へ。左サイドを滝澤がフリーで上がっているのを横目に、そのまま少ないタッチでシュートするかと思われたが、そこはさすがベテラン。焦ることなく、城が落ち着いてキープし右足を振りぬくと、その見事な勝ち越し弾にスタンドのファンは総立ちになって喜んだ。水戸の選手は一瞬のスキを突かれ勝ち点1を目の前で手放してしまうこととなり、ゴールの瞬間、天を仰ぎ悔しさを見せた。

試合後、「なんだかドーハの悲劇を見ているような、そんな感じがした」と話した前田監督だったが、2点のビハインドから追いき試合を振り出しに戻し戦えたことは、確実にチームとしての手応えを感じている様子。「こういう展開での試合の運び方を知らなかったな・・・と。経験の差が出たのだと思う。僕らだってそうでしたが、何百試合をこなしてわかる試合運びや経験というものがある。そういうプレーヤーがうちのチームにはいないだけ。ただ、選手は本当にがむしゃらに点を取ろうとやってくれた」と、悔しい敗戦ながらも、選手達を称える監督の柔らかな表情がとても印象的だった。

一方、2点のビハインドを追いつかれ、少し恥ずかしい試合を披露してしまった横浜FC。「サッカーの神様に助けられた」と話す高木監督。「勝ち点3を取ることが出来たことをよしとして、この流れを次にもっていかないようにしなくては」と表情を引き締めた。 「何度も同じことをと繰り返してしまっている。勝っている時の戦い方を徹底していかなくては。今日の収穫、それは勝ったことだけ。(内田)」「勝ったことは良いが、内容的には不満(城)」と、スタジアムを後にする選手の表情は厳しかった。

この日の試合のキーワードとして監督や選手から口々に聞かれた「経験」の二文字。チームを支える大黒柱の勝ち越し弾もその「経験」により生まれたものだったと言ってもいいのかもしれない。
城は得点のシーンをこう振り返った。「普通だったら あの場面、ボールもらったらそのままファーストタッチで打っているけどね。実際、1回打とうと思った。歳をとったからああいうシュートが出来るようになったのかもしれないですね」そして、「せっかく今この順位に居るので、昇格のチャンスは逃したくない。このチームにはもう長くいるし、横浜FCをJ1に昇格させたいという気持ちは誰よりも強い。こういう気持ちが、ああいう最後(得点シーン)に繋がったのかもしれないですしね」と続けた。

その強く熱い気持ちが、そして彼の豊富な経験が、このチームを大きく動かしているのだと強く感じた夜だった。

以上

2006.08.07 Reported by 浅野 有香
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