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【KIRIN WORLD CHALLENGE キリンチャレンジカップ2006】オシム監督試合前日記者会見コメント(06.08.08)

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●キリンチャレンジカップ2006
8月9日(水)19:20/国立
日本代表 vs トリニダード・トバゴ代表
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●オシム監督(日本代表)
(日本協会広報の「質疑応答から始めますか?」という問いに対して)
「今日はコメントがあるから、この場にやってきました。明日の試合のこと以外、何を話せというのですか? サッカーが話題だと聞いてこの場にきました。(広報を指し)彼はマスコミ関係者のようです(笑)。では、まだ私の考えを知らないマスコミ関係者の質問を受けます」

Q:青山選手(清水)の追加招集で総勢19人となりました。非常に新しいメンバー中心になったわけですが、試合に当たって準備できる手ごたえはありますか?
「私の感じでは、19人ではなかったと思いますけど。19人でしたっけ? (「ケガ人を入れて19人です」と言う記者の答えに)彼らはプレーできるんですか? ケガをしている人はプレーできません。フィールドプレーヤーは15人、GKが2人。今野(F東京)は負傷していて帯同はしているが、それは彼のチームが日本にいなかった(プレシーズンマッチのため、韓国遠征中だった)からだ。青山については飛行機が無事に日本に到着することを祈っている。それを入れても18人ですね。青山は昨日の試合に出ているし、すぐにに使うわけにはいかないです。
トレーニング期間が3日しかないことに対しては特に申し上げることはないです。『3日しかないですが?』という質問をされては『そうなんです』と答えるしかない。質問の中にすでに答えが含まれている状況ですね」

Q:就任会見の時、古い井戸に水は残っているといってたが、結果的には新しい井戸を数多く掘っています。その理由は?
「考えは変わっていませんし、新しい井戸を掘ったつもりもありません。今回の選手はリーグ戦や他の大会で試された人ばかり。呼べないのはA3に出ている人、ヨーロッパにいる選手。松井はヨーロッパで唯一のレギュラーだけど、ワールドカップに呼ばれていなかった。彼を含めてチームを考えています。質問は何でしたっけ?(笑)」

Q:就任会見のコメントでは、メンバーが大幅に変化しないというふうに理解していましたが?
「私が就任する前、日本代表が最後に行った試合、つまりワールドカップのブラジル戦と同じメンバーで戦えば大きな変化ではないということですか? それなら私も楽です。誤解されているようだが、私は井戸を掘らないとは言っていません。古い井戸ではない選手も試してみたいと同じ会見で言ったことをお忘れではないですか?  自分自身の発言に縛られるのは嫌いです(苦笑)。ですからこういうメンバーになっています。こういう話を通して記者のみなさんといい関係を築いていると思っています。スタートとしてはまずまずではないでしょうか?」

Q:スタメンは考えていないと昨日、お話されていましたが、基本システムはどうなんでしょう?
「どういうシステムでプレーするかは誰が出るかで決まります。どうしてスタメンが誰かを聞かないのですか?  話がどうどうめぐりになってしまいます」

Q:ではスタメンを教えてください
「まだ私も分かりません。いちばん大事なのは向こうがどういう作戦で来るか。それによります。あらかじめスタメンを発表するのは相手に失礼に当たる。だいたいは決まっているけれど、相手へのリスペクトを示すためにもスタメンは発表しません。彼らは攻撃力に優れているから、こちらの守備をどうするかをまず考えています。あと攻撃の選手に誰を選んで、いかに相手を困らせてやろうかと考えています。これで答えになっていますか?」

Q:今後も相手によってシステムが変わることが考えられるのですか?
「システムそのものが変わるのかどうかより、チームとしてのインテリジェンス、賢い考えを築いていけるかどうか。これができれば相手に脅威を抱かせることができます。そういうことができるチームのインテリジェンスを作りたいです。
付け加えになりますが、日本がものすごく強いチームなら、ブラジル戦と同じメンバーとシステムでトリニダード・トバゴに横綱相撲ができるはず。しかしそうではない。それができれば世界チャンピオンになれる。真の世界チャンピオンならシステムを変更せずに自分たちのやりたいことをやればいいのです」

Q:チームのスタートとしてまず選手に何を教えたいのですか?
「私が日本に何か与えようという気持ちはありません。日本のほうが私より進歩しているのだから」

Q:昨日の試合に出ていて即座に使うつもりのない青山選手を招集した意味と期待は何でしょう?
「どうして今野を呼んだのか? という質問はしないのですか? 今野も同じですよね。ケガでプレーできなくても最後まで一緒にいるでしょう。青山は中国からの飛行機に乗るか、乗っている間かに招集されました。答えになっているかどうかわかりませんが、五輪世代の中から選手を呼べば、残りの選手たちに『俺たちにもチャンスチャンスがある』というメッセージを伝えることになります。そういう意味も含まれています。
今の訳はおかしくないですか? 私の話していることの半分しか訳してないのではないですか?(苦笑)」

Q:明日、何ができたら成功で、何ができなかったら失敗なのか? その価値基準を教えてください。
「勝つことはサッカーの目的で、それを目指すのは当然のこと。でも同時に内容の分析も大切です。しばしば勝つことと成功が同じように扱われるが、その結果として違った方向に進むこともあります。勝つとチームの中で直すべき点が見えなくなってしまう。逆に内容がよくて負けた場合などのほうが修正点を見つけやすいということもある。日本のみなさんに説明するのは簡単ではありませんが、敗北から最も学んでいるのは日本だと世界の人たちは考えています。ちょっと精神論に入ってしまいました(苦笑)。これは日本の経済などについての話ですよ。サッカーはもっと難しい。今、話したのは経済や社会の復興の話。サッカーについて言うなら、日本はそれらの上に立って学ぶべきことがたくさんあります。歴史、戦争、原爆…。その上で日本は先進国の仲間入りをした。サッカーでもどうして強国と肩を並べることができないのか。それを実現させることが私の願いです。その考えが気に入らなければごめんなさい」

Q:インテリジェンスのあるチームを作りたいとお話されましたが、選手の意識づけには時間がかかるのですか? それともちょっとしたきっかけで変わるのですか?
「短い時間では難しい。個人の知識とは違いますから。基礎は個人個人のインテリジェンスですが、サッカーは11対11のスポーツ。個人だけでなく集団的なインテリジェンスが必要です。もし1人だけインテリジェンスのない人間が混じっていたら、チーム全員が被害を被ることになる」

Q:明日のゲームは試合内容にこだわるということですか? それとA3組から明日になって追加招集する気持ちはありますか?
「サッカーは哲学の授業とは違います。今はサッカーについて話しています。インテリジェンスとはサッカーについてのもの。哲学の授業をこれからやろうとしているわけではありません。サッカーは単純なものですが、サッカーの試合は難しいものになりつつあります。選手にはプレーだけではなく、知性、立ち振る舞いとか要求レベルが高くなっています。勝つことにさまざまなことが含まれているのです。勝ってしまえばそういうことが見えない。敗北は最良の教師である。でも、だから負けたいんですとは私は言えない。サッカーは全てが可能です。明日には何を学べたか、学べないかという1つの結論が出る。それは私が考え出したことではなくて、一般的なこと。みなさんもそう考えていると理解していますが。この前のワールドカップは終わったが、そこから何を学んだかが大事なことなんです。
A3については、その質問は挑発です(苦笑)」

Q:キャプテンは誰かということに国民の関心が高いが、どうなんでしょう?
「どうして気になるのですか? 私もキャプテンは大事だと思っています。でもスポンサーの力やマスコミでキャプテンが選ばれるわけではない。スポンサーやマスコミに都合がいい人がキャプテンになることを希望していることは多いが、時にその見栄えのいいキャプテンは役に立たないこともあります。
今はこの人がキャプテンだろうという雰囲気が出てくることを期待しています。キャプテンは育てられるものではなく、持って生まれた特徴のある人。キャプテンとして生まれる、そういう人がキャプテンです。指導者に関してもそうで、指導者になるための学校はない。指導者に生まれつくこと、それが指導者なんです。今の訳でよかったですか(笑)? 生まれついた才能があるかどうか。ただし民主主義も尊重しようとは思っていますけど。
もう十分話はしましたけど、私はメディアのみなさんと意見のキャッチボールのできる雰囲気を作ろうと思っています。このチームは若いし、対戦相手もうまい。心配はグランド状態です。ありがとうございました」

以上
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