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【日本代表 vs トリニダード・トバゴ代表レポート】2−0の快勝も、走力不足を再認識させられた初戦。オシム監督の要求は果てしなく高い。(06.08.10)

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●KIRIN WORLD CHALLENGE キリンチャレンジカップ2006
8月9日(水)19:20/国立/47,482人
日本代表 2−0 トリニダード・トバゴ代表

得点者:17' 三都主アレサンドロ、22' 三都主アレサンドロ
★映像は【こちら】
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「勝っても監督は満足していない?オシム監督はワールドカップで優勝しないと満足しないんじゃないですか」。山瀬功治(横浜FM)のこの発言は実に的を射ている。日本代表の新指揮官は初戦を2−0で快勝しても決して満足感は表さなかった。「3日間でこれほどできると思わなかった水準までコンビネーションプレーもできた」と試合内容を前向きに評しながらも、「90分間走れない選手がいた」と辛らつなコメントを吐いたのだ。

ワールドカップのような大会になれば、中3〜5日の間にリーグ戦の連戦を強いられる。決勝トーナメントに進めば延長戦もある。過密日程だからといって、少しでもパフォーマンスを落とすようでは、世界で勝つことはできない。

だからこそ、オシム監督はこう強調するのだ。「筋骨隆々でも長身揃いでもない日本人はどうしても1対1で不利になる。それゆえ、相手よりどれだけ走れるかという部分で勝負しなければならない」と。

そういう意味で、この「キリンチャレンジカップ2006」トリニダード・トバゴ戦を振り返ってみると、合格点を与えられないと言われても仕方ない面はある。前半は中盤が流動的に動いて相手にプレスをかけ、ボールを奪ったら素早い切り替えで前線を突くというスピーディーなサッカーができていたのに、後半になって明らかに足が止まってしまったからだ。交代選手たちも流れを変えるまでには至らなかった。

オシム監督にしてみれば、ちょうど1週間前の2日、古巣の千葉がA3チャンピオンに輝いた蔚山現代相手に見せつけたような、後半になってより運動量と機動力が一気に向上するゲームを目の当たりにしたかった違いない。「走力の重要性」を改めて再認識させられるオシムジャパンの初陣だった。

とはいえ、この新生ジャパンには3日の準備時間しか与えられなかった。初日は平成国際大学とのゲームだから、まともな練習は2日だけ。それも先発11人を決めて戦術確認をするような形ではなく、状況判断力を養うような実戦的メニューばかりだった。

スタメン発表もトリニダード・トバゴ戦のウォーミングアップ後。今まさに試合が始まろうという時である。キャプテン・川口能活(磐田)に至っては「コーチの大熊さんがくしゃくしゃのキャプテンマークを持って自分のところに来て、『今日はお前だから』と手渡した」というからビックリだ。それもまたオシム流の選手掌握術なのだろう。

先発11人のうち、田中マルクス闘莉王、坪井慶介、長谷部誠、鈴木啓太、三都主アレサンドロ、田中達也の6人が浦和レッズ所属組。1年半前まで浦和にいた山瀬を含めれば、7人が同じグループということになる。
「短期間でチームを完成に近づける最も簡単な方法は、一定のグループの塊を同じJリーグのチームから選んでしまうことだった」と指揮官は説明している。準備不足を補うために、あえてこの構成にしたのだろう。

この采配は一応の成功を収めた。前半の日本代表は3日間のトレーニングで指揮官が強調していた「考えながら走る」ことを選手たちが実践しようとした。攻守の切り替えも速く、スピードがあって運動量も豊富だった。三都主の17分の先制点も代表デビューを飾った我那覇和樹(川崎F)が体を張って奪ったFKを直接沈めたもの。この5分後の2点目は、鈴木からボールを受けた駒野が40mの長いパスを前線に送り、これに呼応した三都主が相手GKの位置をよく見ながらループ気味に打って生まれたゴールだった。「オシム監督のサッカーはみんなでカバーしあい、自分でも考えなければいけない。もちろん走らなくてもいけない。そういう意味でこの2点目はよかった」と三都主本人も喜んでいた。

前半45分だけ見れば、準備不足の状況でよくここまで戦ったということになる。2−0の結果も満足できるものだったはずだ。が、「私にとって気がかりだったのは、試合時間が90分だったということ」と指揮官が言うように、後半になって日本の展開がガラリと変わってしまった。ここ数日のハードな練習や疲労が災いしたのだろうが、ワールドカップドイツ大会の状態とは程遠いコンディションのトリニダード・トバゴ相手だっただけに、もっと相手を凌駕するような内容がほしかった。長谷部や三都主らは足が止まり、坪井にしてもワールドカップドイツ大会のオーストラリア戦と同じ時間帯に負傷退場してしまった。が、オシムジャパンでは苦しい時も最後まで走り抜けるような選手でなければ生き残れない。プレーしている本人がその厳しさを一番切実に感じたことだろう。

最後にペースダウンしてしまう残念な展開ではあったが、課題がハッキリしたことは大いなる収穫といえる。「何が悪いのか分析して直していくことが大事」とオシム監督も試合前に話していた。チームの方向づけがなされ、選手たちも何をすべきか明確になったはず。「考えながら走るサッカー」を具現化するためには、走力を高めること。それがまず第一歩なのだ。

オシムジャパンは1週間後にイエメン戦(新潟)を戦う。この試合は2007年アジアカップ1次予選。つまり公式戦だ。それだけに内容と結果の両方が求められる。今回招集できなかった千葉やG大阪の選手も入ってチームの入れ替えも起きるだろう。今回のトリニダード・トバゴ戦は基礎の徹底であり、次のゲームが新生ジャパンの本格的なチーム作りのスタートとなる。「走れる日本」へ飛躍するために、彼らを厳しい目で見守りたい。

以上

2006.08.10 Reported by 元川悦子
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