8月26日(土) 2006 J2リーグ戦 第36節
湘南 2 - 1 草津 (19:04/平塚/6,528人)
得点者:'5 アジエル(湘南)、'58 吉本淳(草津)、'66 オウンゴ−ル(湘南)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
----------
「相手の隙を突いて点を取るのがサッカーだと、身に沁みた」試合後、湘南の中町公祐はこう語っている。そう、今節の両者の闘いは、互いの隙がそれぞれのゴールの引き金となったのだった。
立ち上がりから攻勢に出る湘南は、早々にPKのチャンスを得る。右サイドの中町が、駆け上がる須田興輔に落とす。須田がペナルティエリアに送ると、動き出し鋭い石原直樹が反応、相手のファウルを誘った。アジエルが落ち着いてこれを沈め、湘南が先制点をあげる。「気持ちの緩みが少しでも出たらやられてしまう。開始10分はとにかく前から行き、一点を取れと伝えていた」まだ5分を回ったばかりの得点は、湘南・菅野監督の思いを選手たちが見事に体現したゴールだった。
勢いづく湘南は、前半残り40分もゲームの大半を掌握する。佐藤悠介が中盤の底でさばき、左は尾亦弘友希、右では「最初から飛ばしていた」という中町が2トップ、あるい須田と絡みチャンスをつくりだす。アジエルも大谷圭志のマークをときにかわし、攻撃に絡んだ。しかしラストパスまで持ち込んでも、石原のオーバーヘッドはサイドネットを揺らし、横山聡が裏に抜け出した場面もGK高木貴弘が攻守で阻むなど、ポゼッションがゴールまで届かない。
一方の草津はプレッシャーの効果が上がらず、囲んでも容易にパスを許してしまう。また攻撃に転じても、ボランチに収まらないため司令塔の島田裕介になかなかボールが渡らない。結果、サイドバックの押し上げも足りず、中盤を省略するロングボールに終始する。サイドに流れて裏を狙う高田保則や吉本淳の動きは、後半の得点を暗示するものだったが、緩急、そして島田を活かす意味でも、ショートパスを織り交ぜたいところだった。
両者ともにハーフタイムの修正が問われる後半、試合は激しく動き出す。佐藤がペナルティ付近まで上がるなど、立ち上がりこそ湘南が押し込むが、5分を過ぎる頃には草津が次第にペースを掴んでいく。理由はプレッシャーを強めたこと、そして島田が自ら、前半よりも低い位置まで下がり、ボールをさばきだしたことにあった。自陣でボールを受けた司令塔は、左サイドバックの寺田武史のオーバーラップを促し、ときにワンツーを絡めて自らエンドライン際までドリブルを仕掛けていく。中盤が活性するとふたたび前にポジションをとり、左右に散らす。そして58分、同点のシーンは訪れた。
湘南がオフサイドに掛かった直後、ポジションが定まらぬうちに、草津は尾本敬が素早いリスタートを図る。前で受けた島田は手薄な相手ゴール前にスルーパスを通し、鋭く反応した吉本が右足で突き刺した。「一瞬の気の緩み。僕らのミスです」それまで攻撃のチャンスを演出していた中町は、思いがけぬ失点に肩を落とした。
振り出しに戻ったゲームは、さらに熱を帯びていく。ボールが回り始め勢いを増した草津は、攻撃の手を緩めない。しかし落とし穴は、前がかりになったあとの、またしても一瞬の隙にあった。66分、湘南は右サイドの中町が、ゴール前に走りこむ佐藤を目がけクロスを入れる。ボールはDFが先に触りヘディングで戻すも、同時に飛び出していた高木の頭上を越え、草津ゴールに転がっていった。その後、4分間のロスタイムを使い切るまで両者の激しい攻防は続いたが、リードしてもなお守勢に転じなかった湘南に軍配が上がったのである。
草津は前半のアンバランスが悔やまれる。逆に、たとえばオウンゴール直後、DFで回してチカを経由し、高田への楔から吉本が裏を突くといった一連の組み立ては、ゴールを予感させるに足るプレーだった。連動性を高めた後半のビルドアップに磨きをかけ、今後に繋げたい。島田の指摘した「ボールを受ける意識」が重要になってくるだろう。
一方、勝点3を手にした湘南だが、「今日は勝てた。しかし…」と、選手たちはみな一様に、勝利の喜びの裏側で反省の色を滲ませる。四国連戦の疲れもあっただろう。1週間のあいだにコンディションを戻し、頭もクリアにして次節の柏戦に挑みたい。苦しみながらも勝ち切ることのできる勢い、そして備わってきた強さは、激しさを増す昇格争いの渦中で凌ぎを削る首位チームとの勝負において、その真価が問われる。
以上
2006.08.27 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第36節 湘南 vs 草津 レポート】「一瞬の隙」の恐ろしさを垣間見た激しい攻防。粘り強い闘いで勝利を手にした湘南が9位に浮上。(06.08.27)













