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【J2:第36節 柏 vs 愛媛 レポート】チームで連動し攻めてくる愛媛に、開幕時の初心に戻る熱い気持ちで勝利した柏が首位を守る。(06.08.27)

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8月26日(土) 2006 J2リーグ戦 第36節
柏 3 - 1 愛媛 (19:04/柏/8,881人)
得点者:'30 平山智規(柏)、'59 田中俊也(愛媛)、'83 ディエゴ(柏)、'87 ディエゴ(柏)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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ここ数試合、攻守共に中途半端になっていた。攻めている時のバランスの悪さも、監督が毎試合後の会見で指摘したまま間延びしていた。何となく勝ててきた試合も、悪い癖が集中して出て大量失点をしてしまう試合展開も経験した。第1クールで経験した3連敗を乗り切ってきたという自信も、気の緩みと疲労の蓄積で集中力や共通意識を少しずつ欠き、「第3クールの戦い方の難しさ(柏:GK南)」に気付かされた。ただ「運」も味方につけて柏は首位をキープしていた。

しかしこの日、14時キックオフのゲームで柏と勝点2差でピタリとついていた3位の横浜FCが勝利し、暫定で首位へ。「選手には特に(横浜FCなど他チームの)話はしなかった」と会見で石崎監督は質問に答えたが、首位を取り戻すには勝点3を取るしかない。そんな1歩も譲れない状況でキックオフを迎えた1戦だった。

前節の東京V戦の大敗(1-4)の試合後に石崎監督と選手とで行われたミーティングで確認しあった「もう一度、原点に戻って1からやっていこう」という意識。
第3クール終盤に入り、残すところ17節ともなった今節。初心を思い出しチームスローガンである『タフネス』さを心身ともに魅せていかねばと臨んだのは選手だけではなかった。スターティングイレブンの顔ぶれは、5ヶ月前の開幕戦メンバーと全く一緒。何よりも石崎監督からの強いメッセージが伝わってきた。

共に4−4−2の布陣でのスタートした両チーム。互いにボールが良く回っていた前半。先制したのはホームの柏だった。前半30分、4バック中央左に入っていたDF岡山からのロングボールを左サイドに入ったMF平山が受けると、素早いタイミングで右足でのミドルシュートを放ち、相手GK川本の手を超える鋭さでゴールを奪った。『全員で守り、プレスをかけて攻撃をする』というのが今季石崎監督が掲げたスタイルだが、この日は「2トップがキタジさん(北嶋)と達也(鈴木)だったので、より前からのプレスもかけれたと思う」と小林亮が語ったように、勢いに運動量も蘇ってきた。ハーフタイムにあがった見事な花火が、スタジアムからのメッセージとして後押しするかの様なパワーに包まれた雰囲気となった。

そんな流れに愛媛・望月監督が動いてきた。後半頭からFW田村に代わりチーム内得点王のFW田中を投入。そのFW田中が後半14分、左サイドから前線に出されたボールをGK南との1対1にも「周りをよく見て冷静に打てた」と自身が振り返る同点弾を決めた。その後はチーム自慢の組織的な守備に加えて、得意の連動で直向きに攻撃のペースを増やした。

攻撃のペースをあげてきた愛媛に対して、柏はハーフタイムに石崎監督が「大きな展開をしていこう」と指示をだしたにも関わらず、攻め込まれるシーンが増えてきた。そこで、FW李忠成と第32節以来の出場で気合の入ったDF石川を同時に投入し3−5−2へと変更。ボランチMF山根の横が「ぽっかり空いてしまうのを埋めたかった」という意図でMF大谷をボランチにあげる。そしてその後、後半31分にFWフランサを投入したことが、石崎采配の成功を決定付けたと言えよう。
後半38分と42分に、カウンターから2点の追加点を生んだのだ。FWフランサのポストからチーム得点王のMFディエゴの技ありゴール。柏サポーターが思わずスタンディングとなり歓声も大きくなった中で試合終了のホイッスル。3−1と勝点3をもぎ取り、4試合ぶりの日立台での『勝利ダンス』は最高潮な盛り上がり。クラブマスコットのレイ君は甚平姿で水鉄砲を、そして選手は一人一人全員がサポーターの作ったゲーフラを手にしての大合唱だった。

試合後の会見で「やはり1枚も2枚も柏は上手です(愛媛・望月監督)」。「(ここ数試合)試合に出れなかった選手が踏ん張ってくれた(柏・石崎監督」。と言う通り、柏が首位の意地、J1に戻らなければならない『タフネス』さを出せた1戦。と、同時に選手達は「いいプレスをかけれた時間帯もあったにはあったが、ピンチや相手チャンスもあった(FW北嶋)」、「ゴールは出来たが全然まだ。サイドを使えなかったし内容も良いとは言えない(MF平山)」と明確に反省し、「開幕の頃はもっと高い位置でボールを取って蹴れていたのに(FW北嶋)」と、課題も体感していた。

一方、引いて守る組織力の印象が強い愛媛にも、後半田中が同点弾を決めた前後から、柏に走り勝ち、攻め勝つ時間帯も多く見られていた。「少しづつ自分達のサッカーが出来る様になってきた(望月監督)」だけに、「勝ちたかったし、勝てる試合だったのに、悔しい(菅沼)」と悔しさをにじみ出していた。過去の柏との2戦から、この第3クールでの対戦までの間に、J2での攻め勝ち方に手応えを掴み出してきた愛媛の今後も楽しみだ。

『1クールで勝点25』を目標とする柏。「勝った試合の中で課題が見えてくることは、負けた試合で見えることより良いこと(MF平山)」と冷静に見つめ直すチームが今こそひとつになって「味方を信頼して勝っていくしかない(GK南)」負けることは許されない『タフネス』なサッカーでJ2を益々盛り上げ、引上げてくれるだろう。

以上

2006.08.27  Reported by 脇本カオル
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