Jリーグは「Jリーグ百年構想」の活動として、全国の学校の校庭・園庭の芝生化を全面的に応援している。その一環として「Jリーグ百年構想サッカー教室」を開催。芝生の校庭を持つ学校でJリーグがサッカー教室などを行うこと通じて「芝生のグラウンドの拡大」を推進していこうと、2004年から始まった。このサッカー教室も今回で5回目を迎える。
その舞台となったのは、東京都・中野区立若宮小学校。中野区での校庭の芝生化はここ若宮小学校がはじめて。青々としたきれいな芝生の上で「芝生開き」を行う予定にしていたものの、この日は朝からあいにくのお天気。体育館に約300人の全校児童、教員、そして来賓が集まり、雨に濡れた芝生を眺めながら、午前9時からの式典が始まった。
式典では、若宮小学校の中澤保夫校長が「3月に苗を植えてから、雑草を取ったり芝刈りをしたり、皆が大事に育ててくれたおかげで、立派な芝生が出来ました。これからは、この芝生の上で、心と身体を大いに鍛えてください」と挨拶。児童代表は「教室から芝生の成長を見ていました。本当に全面緑になるんだなぁと不思議でした。ふわふわの芝生は絨毯みたいで気持ちよかったです。はじめてやる芝生の上での運動会が楽しみです」と喜びの言葉を述べた。
およそ1時間行われた第1部の式典に続き、「みんなで遊ぼうFC東京&Jリーグ百年構想」と題し第2部がスタート。当初はFC東京の普及部コーチ陣8人が芝生の上で子供たちと共にボールを蹴って楽しむ予定だったが、朝から降り続く雨はこの時間になっても止むことなく、そのまま体育館の中で行われることに。全員参加型で行う予定だったものを、急遽デモンストレーション中心に切り替えて行われた。FC東京コーチ陣が見せる華麗なプレーの数々を、子供達は真剣な眼差しで見つめ、そのプレーひとつひとつに大きな歓声が飛んでいた。
この第2部にはFC東京の松尾直人選手も参加。突然目の前に現れたJリーガーに、子供たちは驚きの表情を隠せず、興奮は最高潮に。松尾選手には、子供たちから「リフティングは何回できますか?」「好きなサッカー選手は誰ですか?」「サッカーのどんなところが好きですか?」など、多くの質問が矢継ぎ早に飛び交い、たくさんの笑顔と笑い声に包まれたサッカー教室となった。
教室終了後、「芝生の上じゃなかったにもかかわらず、一生懸命に色々と吸収しようとする子供たちの姿はとても印象的だった」と奥原崇コーチが話せば、松尾選手は「自分が小学生の時では考えられなかったが、こういう芝生の校庭の学校が、少しずつでも増えていけば」と話した。教室の終わりに、子供たちがコーチ陣や松尾選手との別れを惜しみながら教室に戻る姿がとても印象的だった。
「子供たちに、芝を育てることを義務付けたくなかった」と話す若宮小学校・中澤校長。「苗を植えるのを生徒に少し手伝ってもらった(中澤校長)」ことにより、子供たち一人ひとりに「自分が苗を植えた芝」という認識が生まれ、それが生長していく芝生への興味に変わっていったのだという。「子供たちの中に、嫌々ながら芝生を育てている子はいません。皆、教室の窓から外を眺めては成長を気にしたり、雑草を取ったり、芝刈りをしたり、こちらが強制することなく、自らやってくれました」と、芝生の生長とともに、子供たちの成長もしっかりと感じている様子。「芝生の校庭が出来て、本当に良い事ばかりです」と目を細めた。
「この芝生を保っていくことも大切だが、だからといって子供たちに芝生の上ではこれをやっちゃいけない、あれもやっちゃいけない…という制限はかけたくない。メンテナンス用の芝生も他に育てているので、どこか悪くなったらそれで対応すればいい。芝生を大事に使うことにとらわれすぎず、芝生の上だからこそ、子供たちにはのびのびと楽しく遊んで欲しい」と、芝生を見つめながら話す中澤校長の眼差しはとても柔らかかった。
芝生の感触をしっかり踏みしめながら…とはいかなかったものの、スポーツを通じ、たくさんの交流と触れ合いに満ちた2時間はあっという間に過ぎ、参加者全員の笑顔に包まれながら終わった。
以上
2006.09.06 Reported by 浅野有香
J’s GOALニュース
一覧へ【Jリーグ百年構想サッカー教室 レポート】雨のために芝生の上では断念したものの、Jリーガーも訪れた体育館でのサッカー教室に子供たちは大喜び!(06.09.07)













