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【日本代表 vs イエメン代表:レポート】フィニッシュの甘さ、ミスの多さ、連携不足…。イエメン戦辛勝も中東遠征でオシムジャパンが突きつけられたテーマは多い。(06.09.07)

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●AFCアジアカップ2007予選大会 グループA
9月6日21:20キックオフ(日本時間)/イエメン・サナア
日本代表 1-0 イエメン代表
■得点者:89+分 我那覇和樹(日本代表)

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 途中出場の我那覇和樹(川崎F)が右足を懸命に伸ばして1点をもぎ取った瞬間、それまで頭を抱え、時には両手を前に突き出し叫んでいたオシム監督がピッチに飛び出し、派手なガッツポーズを見せた。「トリニダード・トバゴ戦から4試合、ゴールを挙げるまで私が心の中でどれだけ苦しんだことか・・・」とオシム監督は試合後、率直に安堵感を口にした。

しかし裏を返せば、それだけ日本の得点力に問題があるということ。イエメン戦でも前半から巻誠一郎(千葉)が2度の決定機を外し、後半にも遠藤保仁(G大阪)がゴール前でのフリーの状態でシュートをふかす場面があった。「日本人にはシュートを含めスキルの問題がある」と指揮官はズバリ指摘している。このフィニッシュの課題をはじめ、ミスの多さ、連携不足など山積するテーマの克服にはまだまだ時間がかかりそうだ。

 苦杯を喫したサウジアラビア戦から3日。日本代表はイエメンの首都・サヌアのアリ・モーセン・スタジアムで2007年アジアカップ予選・第4戦に挑んだ。中2日の過密日程に、ハードな練習による疲労、ボコボコのピッチ、標高2300mの高地と3重苦、4重苦の中、新生ジャパンは負けられない一戦に臨んだ。

 指揮官は前回の反省を踏まえ、駒野友一(広島)に代わって羽生直剛(千葉)を先発に抜擢。左サイドバックに三都主アレサンドロ(浦和)を置き、羽生を左MFに据えた。基本布陣は4−4−2だが、攻撃陣の動きを見つつ3−5ー2へと柔軟に変化する形だ。

 新潟でのホームゲームよりイエメンが積極的に仕掛けてくると見られたこの試合。しかし、蓋を開けてみると展開自体は前回の対戦と似通っていた。圧倒的にボールを支配する日本に対し、イエメンは自陣に深く引いてカウンターを狙う。日本は中央をこじ開けるため、事前練習でも確認していたサイド攻撃への意識を見せるが、ピッチ状態の悪さもあって思うようにならない。効果的なボール回しも影を潜め、内容的に乏しい序盤だった。

 それでも前半は決定機が2度あった。最初は32分。田中達也(浦和)がペナルティエリア右側のライン上をえぐって中に折り返したところに飛び込んだ巻が頭で合わせる。だがフリーのシュートは枠の上。得点には至らない。2度目は37分。田中達也のスルーパスに再び巻が反応。右足シュートを打つが、相手DFにブロックされる。この展開はまさにサウジアラビア戦の再現のようだった。

 オシム監督は後半開始と同時に田中達也を下げて佐藤寿人(広島)を投入。局面打開を図るが、イエメンの分厚い守りは揺るがない。「危険な位置まで入り込めない。その一歩手前でボールを奪われたり、クリアされたりする。どうしたら崩せるのかずっと考えながらやっていたけど・・・」と鈴木啓太(浦和)が言うように、選手たちは決め手のなさにもがき苦しんだ。

 こうなると集中力が途切れるのか、プレーが散漫になりミスが頻発。連携もバラバラになり、選手たちは棒立ちになる。次第にリズムがイエメンに行きかけ、慌てることも。オシム監督が理想とする「考えながら走るサッカー」には程遠い後半だった。

 日本に残された道は我那覇を投入してパワープレーに出ることだけだった。この策はズバリ的中する。後半ロスタイム、坪井慶介(浦和)のクロスボールを巻が頭で落とし、ゴール前にこぼれたところに我那覇が飛び込んで右足で懸命にプッシュしたのだ。これでチームは最悪の状況を逃れたが、やはり不満の残る試合だったことは間違いない。

「一番大事な勝ち点3を取ったことは最低限の成果だけど、こんなんじゃダメ。プレーの正確性だったり、選手たちの意思統一だったり、まだまだ足りない部分が多い」と鈴木も厳しい表情で強調する。今のオシムジャパンの攻撃は鈴木−三都主−田中達也、あるいは阿部勇樹(千葉)−巻−羽生と同じクラブ同士の連携に頼っている状態。さらに上のレベルまで連動するようにならなければ、ガチガチに引いて守る相手は崩しきれない。今はまだチームを立ち上げたばかりで時間が足りないが、できるだけ早くチームの意思統一を図ることが今後に向けて重要だ。

 パス回しにばかりこだわるジーコジャパン時代の悪い癖も抜け切れていない。イエメン戦の終盤に代表初キャップを飾った梅崎司(大分)が面白い発言をしていた。「オシムさんはパスパスというけど、アタッキングエリアではもっと仕掛けていい。個の力があればパス回しもより有効になる」。素早いパス回しも大事だが、今回のように悪いピッチではどうしてもミスが出る。梅崎の言うように個人で仕掛けていく意識をもっと強めてもいいはずだ。状況に最も合ったサッカーが今の日本はまだできていない。何が一番効果的なのかをきちんと見極められるインテリジェンスを、この先もっと身に着ける必要もあるだろう。

 これに加えてフィニッシュの問題も重くのしかかっている。けれども指揮官はあくまで前向きだった。「今のチームはこれまでよりテンポの速いプレーができるようになった。チャンスの数も昔のチームより増えた」と。そして若い選手たちの頑張りと献身的な走りに最大級の賛辞を送ったのだ。

 イエメン戦だけを見れば進歩してないように見えるかもしれないが、オシムジャパンは今、生みの苦しみを味わっている状態。必ず前進している部分はあるはずだ。今回の中東遠征で出た収穫と課題を選手1人1人がしっかりと受け止めることが、さらなる飛躍につながる。

以上

2006.09.07 Reported by 元川悦子
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