10月7日(土) 2006 J1リーグ戦 第26節
甲府 1 - 0 広島 (18:05/小瀬/10,222人)
得点者:'87 バレー(甲府)
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勝点を34に伸ばし11位に順位を上げた甲府は、1桁順位も見えてきた。対して、広島は下位3チームとの勝点差を広げることが出来ず、背中を掴まれる恐怖に完全な別れを告げることはでまだできない。
満月輝く小瀬スポーツ公園陸上競技場。甲府の選手・スタジアムの雰囲気には「J1探検中」という看板が段々似合わなくなってきた。前節でG大阪に勝ったからでも、今節迎えた広島が甲府より順位が下だからではなく、積み重ねてきた結果という自信が「甲府」のイメージを変えつつあるように感じる。
キックオフからしばらくすると、広島が予想以上に守備に人数をかけて来ることがわかった。甲府の3トップに対して、3バックとウィングハーフ、もしくはボランチで守る広島。両ウィングハーフが下がって5バック状態になる時間も少なくはなかった。
また、広島は自陣内でも、サイドの高いエリアではプレッシャーを掛けてこない。前線にウェズレイと佐藤を残して、残る8人のフィールドプレーヤーはしっかり引いて守りに入る。この守備に甲府は立ち上がりこそリズムを掴んだが、徐々に攻めあぐねる。広島の守備のバランサーである戸田の質の高いプレーがその理由のひとつだった。だが、甲府にはシュートチャンスがないわけではなく、あるのに決定的なシュートにならなかったり、決めきれなかったりで、攻めあぐねる印象が強くなる。失点する心配は、ウェズレイと佐藤にカウンターのボールが入ったときだけしか感じなかった。これまでの甲府なら中盤を支配しながらも、カウンターで失点して崩れる心配をするのだが、今節は「やられるならカウンター」と思いながらも、そう心配しないで見ることが出来た前半だった。
メンバー交代なしで始まった後半も前半と同じ流れで始まった。人数をかけて守る広島を、甲府がポゼッションでこじ開けようとする。そのなかで山崎が運動量とタイミングを活かしてくさびに入り、20分と28分にシュートチャンスを演出する。チャンスをもらった茂原と石原のシュートは外れてしまうが、引いた相手を崩す動きを見せた山崎のプレーは評価できるものだった。31分にはゴールの隅に当って外れるシュートを放つなど、フィジカル的なハンディをカバーするプレーが光った。ただ、ちょっとした運に恵まれずにシュートが決まらず、ファールももらえない。「ゴールは段々近づいていると思う」と前向きなだけに、近いうちにゴール量産という結果に繋がることを期待したい。
今節、藤田とビジュがコンディションが間に合わずメンバーから外れた甲府。大西と津田が先発のピッチに立ったが、「今の甲府は誰が入っても活躍できる」と茂原が言うようにプレーに遜色はなかった。なかでも、津田はなかなかチャンスをもらえなかったが、ウェズレイと佐藤に対して注意力と読みのバランスが取れたディフェンスを見せた。たとえ、裏を取られてもアプローチを掛けてGK・阿部のセービングを助けるなど大木監督が高い評価するだけのプレーを見せた。このように内容では広島を凌駕していた甲府だが、ゴールという歓喜を手に出来ないまま時間に追われていく。しかし、引き分けの覚悟をし始めた終了間際にコーナキックからゴールが決まる。林が頭で落としたボールをバレーが拾って、2タッチ目で広島のゴールに蹴り込んだ。「1点取ったからって油断するなよ」と記者席近くに座る子供がすぐに叫んだが、何度も悔しい思いをしてきた甲府の選手もそれは分かっていた。リードしてからの数分間もサッカーの質を変えることなくプレーして勝点3を積み上げた。
「甲府は選手に子供が生まれた週は負けないんですよ」
長女が生まれたばかりの阿部が幸せな顔をして話した。ホームで負けない甲府には、「記者会見台の敷物を青にしてから負けない」、「広報が変わってから負けない」などいくつかのジンクスがあるが、甲府は明らかに強くなっている。
対して、広島はペトロビッチ監督が残した自信に溢れたコメントが内容に比例しているようには思えなかった。「甲府に運が傾いた」という趣旨のコメントを残したが、運を惹きつける魅力があったのは甲府で、広島には素晴らしい選手はいても、それを融合させることは出来ていなかったように感じた。
以上
2006.10.08 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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