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【日本代表 vs インド代表:プレビュー】「真のポリバレント」とは何か…。ピッチ状態の悪さなど悪条件を跳ね除け、確実な前進を示したいオシムジャパン(06.10.11)

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●AFCアジアカップ2007予選大会 グループA
10月11日21:10キックオフ(日本時間)/インド・バンガロール
日本代表 対 インド代表
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 8月のトリニダード・トバゴ戦(東京・国立)から始まったオシムジャパンの新たなる挑戦。「攻守の切り替えの速さ」「考えながら走るサッカー」など選手たちの意識改革は確実に進んでいるが、依然として重くのしかかっているのが「得点力不足」という課題だ。9月のサウジアラビア戦(ジェッダ)以降、ここ最近の3試合はわずか1点。それもイエメン戦(サヌア)の終了間際にパワープレーから我那覇和樹(川崎F)が奪ったゴールだけだ。その突破口を今日11日のインド戦でまずは見出したい。

 2月の対戦では6−0で勝利しているインドだが、自陣に引いてゴール前を固めてくる相手ゆえ、日本は苦戦を強いられるだろう。ピッチ状態は悪く、キックオフも17時40分(日本時間21時10分)という不慣れな時間帯だ。こうした条件面は9月のイエメン戦(サヌア)によく似ている。イエメン戦での日本はチームの基本であるパス回しにこだわりすぎ、相手にボールを奪われるシーンが目立った。今回は長いパスやサイドチェンジを織り交ぜるなど、より臨機応変な戦い方が求められる。指揮官が求める「真のポリバレント(柔軟性)」をここで示したい。

 すでに2007年アジアカップ出場権を獲得している日本。今回のインド戦は「消化試合」という位置づけになる。が、サウジアラビアとのグループ首位争いはまだ残っている。発足したばかりのオシムジャパンにとっても思い切ったトライのできる貴重な機会。これを生かさない手はない。

 決戦の地・バンガロールはデカン高原南西部にある人口約610万人の大都市。標高920mの高地ゆえ、この時期の最高気温は26〜27度。湿度も低く、非常に過ごしやすい。選手たちにもいいコンディションといえる。
 しかし残念なのが芝の状態。練習場のバンガロール・フットボール・スタジアムもボコボコでぬかるんでいた。オシム監督も「改善を望む」と公言したが、1日や2日でどうにかなるものでもない。しかも前日練習を試合会場のスリカンテラワ・スタジアムでは行えなかった。本番のピッチを経験していない選手たちには不安もつきまとう。とにかく状況に合ったサッカーを選択することが重要だ。

 そんな中、オシム監督は入念にインドを分析し、対策を採った。10日16時からの前日練習も4色のビブスに分かれた4対2+フリーマンから始まり、ハーフコートでの3対2→6対5+GK、7対7+GK、そして11対11という形で進めていった。
 特に目を引いたのが3対2→6対5+GKという練習だった。これはまず選手たちはハーフウェーラインのサイド付近の狭いエリアで3対2を実施。攻撃側がサイドを突破したら、中央に残っていた攻撃側のボランチ1人とFW2人、彼らに対峙する守備側のDF2人とGKが合流。最終的に6対5+GKの形になって1点を競うというものだ。オシム監督は「サイドからの崩し」を徹底させようと、この練習を取り入れたのだ。
「インドはサイドが空く、サイドチェンジをうまく使っていきたい」と遠藤保仁(G大阪)もコメントしている。だからこそ、外で数的優位を作ってゴール前へ攻め込む必要があるのだ。得点力不足解消に向け、この攻撃パターンを1つの手がかりにしたい。

 ラストの紅白戦では、GK川口能活(磐田)、DF水本裕貴、阿部勇樹(ともに千葉)、今野泰幸(FC東京)、右サイド・山岸智(千葉)、左サイド・三都主アレサンドロ(浦和)、ボランチ・鈴木啓太(浦和)、遠藤、トップ下・長谷部誠(浦和)、FW巻誠一郎(千葉)、播戸竜二(G大阪)という顔ぶれが先発組に入った。最後の最後までメンバーを決めないオシム監督だけに、全員がスタメンかどうかは微妙だが、それでも播戸と長谷部がピッチに立つ可能性は高い。

 27歳にしてガーナ戦で代表初キャップを踏んだ播戸はインド入りしてからも絶好調。鋭い動き出しからシュートを2度3度と放った。頭を6針縫う重傷に見舞われても闘争心を失うことは決してなかった。大人しい選手の多いオシムジャパンにあって、彼のようなアグレッシブな存在は貴重である。この男が決定力不足解消の切り札になれるのか。彼を生かすような攻撃の連動性も求められる。

 長谷部は中盤でのドリブル突破、ミドルシュート、そして2列目からの飛び出しが評価されたのだろう。2月のインド戦でも先発出場。あの時は自らの得点になるはずのシュートが巻に当たるという不運に見舞われている。「前回は自分の得点にならなかったんで、今回こそゴールを決めたい」と本人も意気込んでいるだけに、ブレイクに期待したい。

 インド戦でのアウェーゲームといえば、2004年9月のドイツワールドカップ予選を思い出す。あの時は欧州でプレーする高原直泰(フランクフルト)らが出場したが、インド守備陣の粘り強い守りにあって、なかなか前を振り向かせてもらえなかった。相手のしつこい守備を甘く見ていたら痛い目にあう。攻撃陣にはひと工夫、ふた工夫が必要だ。守備陣にしても不用意なミスは許されない。この日の紅白戦でもスタメン組はサブ組にセットプレーから1点を奪われている。本番ではそんなミスを冒さないこと。それがいい内容での勝利につながる。

 このところ足踏みしている感のあるオシムジャパン。今回こそは確固たる前進を実感できるゲームを見せてほしい。

以上

2006.10.11 Reported by 元川悦子
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