●AFCアジアカップ2007予選大会 グループA
10月11日21:10キックオフ(日本時間)/インド・バンガロール
日本代表 3-0 インド代表
得点者:'23 播戸 竜二(日本代表)、'44 播戸 竜二(日本代表)、'82 中村 憲剛(日本代表)
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「9月のイエメン戦(サナア)の二の舞にならないためにも早い段階で得点を取りたい」と鈴木啓太(浦和)が試合前日に強調していたように、早い時間帯の得点を狙った日本代表。その思惑通りに播戸竜二(G大阪)が前半で2点を奪うなど、彼らはいい流れで試合を運んだ。ところが負傷者や照明灯の故障など度重なるアクシデントが起きると、急に自分たちのペースを失ってしまう。後半は焦って冷静さを失いミスを連発。鈴木ら一部の選手を除いて、オシム監督の求める「真のポリバレントなサッカー」はできなかった。インド相手に快勝はしたものの、若いチームの未熟さを感じさせるホロ苦い一戦となった…。
AFCアジアカップ2007予選大会・インド戦が11日17時40分(日本時刻21時10分)からバンガロールのカンテラーバ・スタジアムで行われた。デカン高原南西部にある標高920mの同都市だが、この日は30度近くまで気温が上昇した。ピッチ状態も懸念された通りに悪かった。川口能活(磐田)も「アップの時、コンクリートの上でやっているように感じた」と話すほど。選手たちには悪条件下での的確な判断が求められた。
オシム体制の下、今回が6試合目だが、最近3試合は1勝2敗と分が悪い。しかも得点はイエメン戦で我那覇和樹(川崎F)が挙げた1点のみ。今回こそは喉から手が出るほどゴールがほしかった。そこで指揮官は好調の播戸を先発起用。38度の発熱でダウンした遠藤保仁(G大阪)の代役にはA代表初先発の中村憲剛(川崎F)を抜擢した。基本布陣は3−5−2だったが、開始後すぐに4バックへ。最終ラインの水本裕貴(千葉)と今野泰幸(F東京)は相手2トップをマーク。阿部勇樹(千葉)がリベロ的に動き、三都主アレサンドロ(浦和)が左サイドバックに入る。中盤は鈴木と中村がコントロールし、山岸智(千葉)は左ウイング的な位置へ。2トップは巻誠一郎(千葉)と播戸だ。
播戸らAマッチ経験の少ない選手が多かったせいか、立ち上がりの日本は硬さが目立った。インドも指揮官が替わり、2月の対戦時よりボールを持てるチームになっていた。それでも日本は徐々に押し込むようになる。中盤をリードする鈴木と中村のコンビは初めてと思えないほど機能。特に鈴木は両サイドへの展開、パスの配球、前線への飛び出しなど攻撃の起点として奮闘した。
練習で繰り返した「一方のサイドに相手を寄せて逆を狙う」という攻撃にも果敢にトライしチャンスを作った。山岸と三都主も巧にポジションを変えながら相手をかく乱するなど、前半の日本はチーム全体が流動的に動き、連動性も大いに感じられた。
先制点が生まれたのは前半23分。左のやや後方にいた三都主がクロスをあげる。これに合わせニアサイドに走った巻誠一郎(千葉)がスルー。遅れてファーサイドに飛び出した播戸が確実に合わせ1点を奪った。4日のガーナ戦(横浜国際)では頭に6針縫うケガをしてまでもゴールへの闘争心を示していた男が、得点力不足解消に一役買って見せた。
ところが前半39分に照明灯の一部が故障。4分間の中断を余儀なくされる。が、2年前にコルカタで行われたワールドカップ予選でもっと長い停電を経験している川口らがチームを冷静さをもたらす。その効果か、再開直後に播戸が2点目を奪う。右CKの後、右サイドに残っていた三都主のクロスを呼応しニアサイドを走りこんでいた彼が、ダイビングヘッドを決めたのだ。
前半を終わって2−0。ここまでの戦いぶりはオシムジャパン発足後ベストといえるものだった。が、前半終了間際に水本が脳震盪を起こして退場。このアクシデントがリズムを狂わす。
指揮官が採った策は長谷部誠(浦和)をボランチに起用し、攻撃のキーマンだった鈴木をリべロに下げるというもの。これも「ポリバレント(柔軟性)」への1つの試みだった。しかし鈴木のいなくなった中盤はバランスを崩してしまう。長谷部自身は得意のドリブル突破から山岸の決定的シュートをお膳立てするなど、立ち上がりは悪くはなかった。けれども中村とともにズルズル下がり、相手にスペースを与えてしまう。追加点が入らないことで焦れ始めた若い選手たちは前がかりになりミスを連発。主導権を相手に握られた。
「急ぎすぎたり焦ったり…。簡単なことをやれば楽なのに難しいことをしようとして失敗する。それがいちばんの問題だったのかもしれない。代表でプレーするのが1回目や2回目という選手が多かったから、気持ちはよくわかる」とオシム監督は選手をかばったが、インド相手にこの戦い方はいただけない。
後半37分に中村が超ロングシュートで3点目を奪ったのはよかったが、それも相手を崩した得点ではない。終盤には再び照明の一部が故障。犬まで乱入するアクシデントも起きるなど、「何となく締まらない試合」という印象のまま試合は終わってしまう。「リードしている時の戦い方をもっと意思統一しないといけない。どんな時ももっと冷静に対処しなければダメ」と川口もおかんむりだった。
指揮官も不満を露にした。確かに稚拙な試合運びはチーム全体の問題だ。それでもこの日の前半に限って言えば、選手たちは悪条件下で最良のプレーを選択し、いい形を何度も作った。課題だった得点力不足も解消に向かった。播戸が結果を出し、鈴木が存在感を示すなど、選手個々を見てもいい面があった。そういう意味では「明確な前進」があったといっていいだろう。
試合をこなすごとに課題と収穫を得ているオシムジャパン。今回のインド戦も今後への成長の糧にしなければならない。オシム監督の目指すレベルはまだまだ遠い。
以上
2006.10.12 Reported by 元川悦子
J’s GOALニュース
一覧へ【日本代表 vs インド代表】播戸の2得点などで快勝し明確な前進を示すも、オシム監督は不満顔。「真のポリバレントなサッカー」はまだまだ遠い。(06.10.12)













