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【第86回天皇杯4回戦 大宮 vs YKK AP レポート】「これがJ1」という選手個々の技能が、同点に追いつかれた大宮を救った。若林のゴールで突き放し、大宮が競り勝つ。(06.11.05)

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第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦
11/5(日)13:00KICK OFF/2,074人/秋田陸
大宮 2-1 YKK AP
得点者:41' 橋本早十(大宮)、61' 岸田裕樹(YKK AP)、81' 若林学(大宮)
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YKK APが引き気味の守備陣系を敷いたこともあったのだろうが、試合は大宮が連続してチャンスを生み出す展開からスタートした。

3バックのYKK APは、どうしてもサイドのスペースをケアする必要があるが、大宮は立ち上がりからそこを突く。9分には駆け上がってきた右SB西村が折り返すと、中央のアリソンが合わせるがシュートは当たり損ない。15分にも同じくアリソンが、今度は左サイドでスルーパスを受け、抜け出しかけるが、こちらのシュートもゴール左に外れる。19分と20分には、それぞれ小林大悟と橋本が狙うが、アリソンの落としを受けた小林のボレーは大きく外れ、ゴール正面からの橋本の枠を突いた強烈なシュートも、YKK APのGK中川の正面に飛びゴールならず。

GK中川が「当たり」始めたことで勇気が出たのか、YKK APも25分前後からは、守備一辺倒ではなく素早いパス交換からチャンスを生み出し始めるものの、両チーム共にネットを揺らすことがなかなか出来なかった41分、YKK APにとっては思わぬ形で、大宮に先制点がもたらされる。

この時、最初にセットプレーのチャンスを得ていたのはYKK APの方だった。「流れの中で大宮から点を取るのは難しいと思っていたので、リーグでも好調だったセットプレーに賭けていた」(楚輪監督)YKK APは、大宮ゴール前に人数をかけ、同時にDFラインも、かなり高い位置で味方のセットプレーを見守っていた。

前半は深い守備陣形での守りを意図していたYKK APとしては、これはあくまで一時的な状態であるはずだっただろう。ところが試合の楚輪監督に言わせると、そこはさすがJ1のチーム、大宮はこのセットプレーを乗り切ると、YKK APの想定を上回る素早い切り換えを見せてカウンター、縦パス一本でアリソンがDFラインの裏を取る。たまらず3バックの中央、キャプテンの濱野は手をかけてアリソンを止めざるを得なかった。

このプレーで濱野には警告、しかしエリアの外であるためにPKという最悪の事態は防いだYKK AP。しかしそれでも助からなかったあたりは、さしずめ「別の意味でのJ1の怖さ」か。このプレーで得たゴール正面やや右寄り、距離20メートルのFK、大宮はボールの左に小林大悟、右に橋本が立つと、初めに動き出した橋本がそのままシュート。左足から放たれたボールは弧を描き、見事ゴール右上隅に突き刺さった。無失点で前半を乗り切るというYKK APの意図を打ち砕くゴールが決まり、前半は終了する。

後半は立ち上がりから、前半とは一転してYKK APが主導権を握った。前半の失点で失う物が無くなったYKK APは、原が左右のスペースに流れてチャンスを作れば、53分にはカウンターで決定的なチャンス。だがこれは最後、右の牛鼻から上がったセンタリングに対し、長谷川のダイビングヘッドが外れて逃してしまう。

しかし、前半は予想外の失点につながってしまった自らのセットプレーで、YKK APは今度こそチャンスをものにした。61分、左サイドで得たFKにおいて、YKK APは素早いリスタートを敢行、それまで鉄壁の強さを誇っていた大宮の最終ラインも、これには対応できず、裏を取ってGKと一対一となった途中出場の岸田がこの大決定機を得点へと結びつけた。試合は振り出しに。

ところが、セットプレーのチャンスはそうそう訪れるものでなく、さらに「奥の手」とも言える変化をつけたリスタートを使用するなど、YKK APがある意味手を使い果たしたのに対し、大宮にはもう一つ、強烈な武器がその手に残されていた。それがベンチに控えていた、長身FWの若林である。

同点とされた10分後の71分にピッチへと投入された若林は、サイドでのシンプルな崩しや突破から上がるセンタリングの全てに触れ、180?台が存在しないYKK APのDF陣にとっては明らかに脅威となっていたが、こればかりはYKK APにとってどうすることもできない。
そして81分、YKK APの抵抗を、ついに若林が打ち砕いた。右サイドでボールを受けたアリソンが、藤木との一対一を経て、ゴールラインぎりぎりからファーサイドへセンタリング。そこに入ってきた若林が渾身のヘディングシュートを放つと、左のポストに一度は命中したボールがGKの背中で跳ね返り、緩やかにネットを揺らす。これが決勝点となった。

前半の立ち上がりなどで良い崩しを見せたものの、三浦監督、そして選手が口を揃えるように、90分トータルで見ると、大宮にとっては決して誇れるゲームでなかったかもしれない。だが最終的にゴールをもたらしたものが、技術の高い直接FKと、驚異的な高さという身体能力だったことを思えば、抱える選手の質の高さを見せつけたという意味で、J1のクラブらしい天皇杯の勝ち方だったと言えるだろう。

大宮が見事、5回戦に進出。昨年、浦和に敗れて叶わなかった決勝進出に、また一歩近づいた格好である。

以上

2006.11.05 Reported by 佐々木聡
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