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■暁星(東京B) 0-2 滝川第二(兵庫)
12/30(金)13:10 キックオフ/15,247人/国立
得点者:55' 多田高行(滝川第二)、75' 多田高行(滝川第二)
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約10対3。ゴール裏のカメラマンの数が前評判に正比例していたかどうかは分からないが、滝川第二のゴールシーンを捉えようとするカメラマンの数が圧倒的に多かった。対する暁星は、立ち上がりから早いプレスで主導権争いを挑んでいった。しかし、「力の差は否めない」と林監督が話したように、滝川第二がポゼッションでの優位を勝ち取るのに15分もかからなかった。その状況で、暁星はボールに喰らいついてゴール前で跳ね返すのだが、奪ったボールを繋げない。滝川第二がワンタッチパスをゴール前でも繋いでくるので、それに喰らいついてクリアするのが精一杯という印象だった。繋げないから、折角奪ったボールを再び奪い返される。ディフェンスラインの選手はずっと守っている感覚のなかで頑張り続けたに違いない。そのなかでも、暁星は攻撃力のあるところは見せた。それが17分に右サイドでのFKに繋がった。MF・川島が蹴ったボールはGK・清水が手のひらにのせるようにコースを変えてCKに逃げたが、こういうチャンスに決めることが出来れば慌てさせることが出来たかもしれない。しかし、前半はお互いにノーゴール。滝川第二のシュートが8本なのに対して、暁星は2本。暁星にとっては悪くない前半だったと言ってもいいだろう。
後半の滝川第二はポゼッションのリズムを少し変えて「緩急」を強調した。その流れの中で、「急」がゴールに繋がる。55分にDF・鳥濱が入れた浮球にFW・多田が飛び込んで先制点を挙げる。20分後には途中出場のFW・山本(拓)のクロスに多田がジャンピングボレーで合わせて2−0。1点差なら分からなかったゲームだったが、この追加点は重い1点となった。FW・橘をケガで欠き、多田は体調不良、MF・大塚はケガを背負った状態と、コンディションは良くなかった。しかし、先発したFW・前田は素晴らしいプレーを見せたし、大塚は攻撃だけでなく、守備でもチームに貢献できるところを見せた。2ゴールの多田は、コンディションはまだまだだが、整えば2回戦から素晴らしいキレを見せてくれるだろう。開幕ゲームの勝者のみが許される中2日で迎える2回戦。滝川第二はオープニングゲームを戦ったことを優位に持っていく権利を手にした。一方、暁星はFW・風間にもっと仕事をさせたかったが、ディフェンスラインが高い位置を保てないために前線で孤立する時間が長かった。しかし、MF・小嶋、川島、MF・寺島、FW・宮崎らがポゼッションして、そこから風間に繋ごうとするプレーは十分に恐さがあった。GKの動きを見て、落ち着いてシュートを打てるという能力があれば、少ないチャンスでも点を取れる可能性はあった。風間や川島は2年生だけに、この試合で掴んだ自信と課題を来年に繋げて欲しい。
「コーチングスタッフが細かく指示をしなくても、ピッチで円陣を組んだときに金崎らがリーダーシップをとってどんな戦い方をするか話し合っている」(滝川第二・小森コーチ)。
滝川第二の素晴らしい点は、選手が自分たちで考えて判断できることだ。前半に緩急が少ないと感じて、自分たちの判断で緩急をつけた後半がそうだ。なかなか前に出てこない相手ディフェンスラインをどう崩すのかという課題を、パス回しを少しゆったりとし、縦に早いパスを通すという戦術の微調整で解決してみせた。黒田監督が指示したのではなく、自分たちで感じて判断した。そのベースには、ハイプレッシャー下でのポゼッショントレーニングで培った技術と判断がある。戦術を教え込む指導をしていれば、選手の判断を奪ってしまうこともあったかもしれないが、自分で考えて判断する余地をたっぷり残した指導だからこその果実。その過程では我慢が必要だっただろうし、思ったような実がならなかったこともあるだろうが、最後の果実は黒田監督の予想を超えた味になっているはず。監督として3回も4回も全国タイトルを手にすることは出来なかったが、最後のチームは集大成に相応しいサッカーを既に全日本ユースで具現化している。水も人の心も低いところに流れるものだが、自分たちで考えて判断が出来る選手たちは、自信を慢心に変えてしまうことなく右肩上がりで戦っていけそうな雰囲気がある。トーナメントの中で、何回戦がターニングポイントになるのかわからないが、再び牙を剥いてチャレンジャーになれれば神戸の希望の薔薇は咲き続けることが出来るはずだ。
以上
2006.12.30 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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