★第85回全国高校サッカー選手権大会 特設サイト »
----------
●第一試合
中京大中京(愛知) 0-0(PK 2-4) 広島皆実(広島)
12/31(土)12:10 キックオフ/6,056人/駒場
----------
試合前の円陣が興味深い。広島皆実は選手たちが外側に向く格好で輪をつくり、精神を集中させる。その後、通常どおり内側を向いて肩を組み、声を掛け合い、試合に臨むのだ。この「儀式」も、メンタルの強さを支える要因かもしれない。前後半をスコアレスで終えたのち、PK戦を制したのは広島皆実のほうだった。
「相手は一人ひとりのスピードが速く、技術も高かった」と広島皆実主将の竹林慎悟は脱帽している。だが同時に、「食ってやろうという気持ちで臨んだ」と、注目度の高い中京大中京に対し、広島の雄は闘争心を燃やしていた。センターバックの林正泰を中心に高い集中力で守りきると、カウンターを仕掛け、左サイドから反撃を目論む。また狭い局面でもショートパスを繋ぎ、ゴールを目指した。
一方の中京は、フランス2部リーグ・グルノーブル移籍の決まっている伊藤翔の鋭い動き出しと巧みなボールコントロールで、立ち上がりから相手ゴール前を脅かした。ボールを奪うと、1トップの伊藤に素早く送り、押し上げる。弟の伊藤了、1年生の相場達朗という両FWのスピードも速い。くわえて両サイドバックを絡めたダイナミックな展開力は、目を引いた。
周囲が色めき立つなか、渡仏を控えたストライカーの見せ場は20分に訪れる。右サイドを抜け出すと、切り替えして左足を振り抜いた。しかし揺らしたのはサイドネットだった。「もっと力を抜いて打てればよかった」と、伊藤翔は試合後に漏らしている。その2分後にも左サイドからのクロスをダイレクトボレーで狙ったが、わずかにクロスバーを越えた。
伊藤翔を中心にワイドに展開する中京、高い位置でプレスを仕掛け素早い好守の切り替えを見せる広島皆実の構図は、後半にも引き継がれた。広島皆実は速さに長けるFW猿澤亮らが積極的にゴールを狙う。2列目からの飛び出しによる際どいシュートもあった。だが、いずれもゴールには届かない。前半終了間際のファウルによって、ひとり少ない戦いを強いられた中京もまた、運動量を落とさず数的不利を感じさせないプレーで応戦する。3トップだけでなく、DF大岩一貴やMF熊澤佳祐らも強烈なシュートを放った。だがロスタイムに入ってもなお攻め立てたものの、均衡は破れず、PK戦で涙を呑んだ。
「非常に悔しい。1、2年生には、もっと上にいけるよう頑張ってほしい。僕自身も、今日の悔しさをバネに、つぎのステージでもゴールを追求していきたい」伊藤翔は試合後、悔しさを噛み殺し、前を向いた。絶対的なエースはこれで抜けるが、弟の了をはじめ残された後輩たちの来年に期待したい。
一方の広島皆実は拮抗した戦いを制し、2回戦に駒を進めた。「県大会から守備陣が高い集中力で守り抜いてくれている。つぎはお返しに点を取りたい」竹林は攻撃陣の奮起を誓った。次戦、広島皆実はメンタルの強さをもって、強豪・大津に挑む。
●第二試合
高志(新潟) 0-5 大津(熊本)
12/31(土)14:10 キックオフ/4,114人/駒場
得点者:5' 深草恭兵(大津)、44' 四本佑太朗(大津)、66' 深草恭兵(大津)、75' 末吉達也(大津)、77' 福山尚希(大津)
----------
最後までスコアが動かなかった第1試合とは打って変わり、第2試合は早々にゴールネットが揺れた。5分、ゴール前の混戦から大津・深草恭兵がこぼれ球を冷静に押し込む。「緊張が解れない間に入れられてしまった」と高志・成海監督も悔やむ先制弾だった。
しかし早々とビハインドを背負った高志イレブンは、その後も続く大津の攻勢を凌ぐ。攻撃に転じると、FW鈴木誠を中心に左サイドからの打開を図った。対する大津も、「選手権前に少人数で守るトレーニングを積んできた」と宮坂翔が振り返ったように、宮坂と倉田健生の両センターバックを軸に相手のカウンターを許さない。また高い位置からのプレスも効いていた。結局、得点は動かぬまま、1−0で後半に突入する。
高志としては早い段階で追いつきたい後半、しかし先に得点を奪ったのは大津だった。44分、素早い切り替えからゴール前を襲い、四本佑太朗が右足を振り抜く。「2点目が痛かった」高志の主将・大山浩史が肩を落とした追加点で、県大会6試合46ゴールという大津の多彩な攻撃力が堰を切った。大半の時間帯を高志陣内で攻め立てた。相手のラインが下がったこともあり、DFの前のスペースをことごとく制す。66分に深草がドリブルで右サイドを抜け出し、落ち着いてこの日2点目となるゴールを沈めると、さらに75分には末吉達也が、その2分後には福山尚希がネットを揺らした。
「1年生が中心だったこともあり、個々の技術、また経験においても相手とは違っていた」敗れた高志・成海監督は振り返った。だが残ったものは、敗戦という結果だけではない。
「選手権に出場しなければ、この雰囲気は味わえなかった。いい勉強をさせてもらったと思います。この涙を来年に活かしたい」
高志の初出場の思い出は悔し涙に終わった。だが出場した延べ13人中8名が1、2年生という若きチームにとって、今日の敗戦はきっと今後の成長の大きな糧となるだろう。
一方、計23本のシュートを放ち、前評判どおりの強度を見せた大津・平岡監督は次戦を見据え、「敵は敵にあらず」と語る。
「5得点はたまたま。つぎに進んだことについては、選手たちを褒めてあげたい。選手たちを信じて、つぎもいいゲームをしたいと思います」
エースの深草が2ゴールを挙げ、宮坂ら3度目の出場となる選手たちのモチベーションも高い。全国制覇に向け、持ち前の多彩な攻撃力を見せつけて、大津は好発進を遂げた。集中力の高い堅固な守備を誇る広島皆実との3回戦に、好ゲームの予感が膨らむ。
以上
2006.12.31 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
一覧へ【第85回高校サッカー:1回戦 駒場会場レポート】伊藤翔を擁する中京大中京は1回戦で散る。大津は前評判どおりの攻撃力を見せつけ5得点の好発進(06.12.31)













