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●第一試合
久留米(東京A)1-2 作陽(岡山)
12/31(土)12:10 キックオフ/6,536人/駒沢
得点者:18' 桑元 剛(作陽)、32' 桜内 渚(作陽)、45' 新宅 龍(久留米)
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作陽のスタメンには不動と思われたワントップの村井、トップ下の宮澤の名前がなかった。攻撃の主力である2人を欠いた作陽の野村監督はDF登録だった桜内をワントップに据えて、システムも本来の4−5−1から4−1―4−1に変更した。ボランチを2枚にする4−4−2と迷ったが、最終的には前者で決断した。4−4−2の久留米とのマッチアップでは、ゲーム自体の印象はやや落ち着かないものだったが、双方の特徴を出すことは出来ていたように感じる。作陽は、サイドチェンジを効果的に使う点とセットプレーのバリエーションの多さと正確さだ。一方、久留米は野村、新宅のツートップに菅原が絡んで攻撃を組み立てる。チームとして3人目の動きを出してボールを繋げるところが、技術と戦術の高さを表していた。
どちらに転がっておかしくない立ち上がりの鍔迫り合いで、作陽が先にゴールを決めて主導権を握ろうとする。18分にCKのこぼれ球を桑元が右足で決める。作陽は3人目の動きをあまり見せることは出来なかったが、一人と一人の関係ではパスの正確性とフィジカルの強さを活かして確実にボールを繋ぐ。このボールを奪えないと久留米はなかなか効果的なカウンターを繰り出せない。たま、久留米のボールへのアプローチの甘さにも原因があるのかもしれない。作陽は32分には小室→桜内と繋いで追加点を上げて前半を終える。
お互いに、中盤やディフェンスラインでミスをし合って助け合っている側面もあった前半。そのなかで、久留米は技術を活かしてシュートチャンスは作るものの、最後の場面では防がれてしまう。ストレスの溜まる展開だったが、後半開始5分に野村が右サイドで粘り、新宅にセンタリングを上げて1点を返す。久留米のホットラインが全国の舞台で強豪相手にしっかりと仕事をした結果のゴールだった。その後、作陽は自陣でのリスクを減らしながら戦ってくるのだが、急造 FWの桜内がいい仕事をする。ディフェンスラインからのロングボールをしっかりと自分の所で収めてくれるのだ。このボールが収まらなければ、久留米の連続攻撃を受けるところだが、桜内のところでボールが収まることでディフェンスラインを上げることが出来た。
●第二試合
東海大三(長野)2-3 一条(奈良)
12/31(土)14:10 キックオフ/6,845人/駒沢
得点者:20' 山本顕司(一条)、39' 平林達也(東海大三)、67' 竹本有輝(一条)、69' 池上文也(東海大三)、78' 奥村 僚(一条)
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試合は2−1のまま作陽が逃げ逃げ切りに成功する。都立高校の統廃合のために今年度で名前が消える「久留米」。彼らが1日でも長く久留米の名前でプレーしたかったことは、試合後の嗚咽に十分過ぎるくらい表れていた。都立高校という条件で、激戦の東京代表の座を掴んだことは評価したいし、サッカーはこれからも続くという言葉も送りたい。
昨年度の野洲高校の優勝は高校サッカーの世界に大きな影響を与えているが、一条もその影響を受けていると思われるサッカーを志向しているように感じた。相手のペナルティエリア内で、マルセイユルーレットを多用する一条のFWや、ドリブルでどんどん仕掛ける姿勢にそれを感じる。前田監督も「個人の力はあるが、我侭(笑)」と話す。対する東海大三は、走力と前への圧力を武器に一条のディフェンスラインの蹂躙を図る。落ち着かない展開の中で、一条は東海大三の前への圧力に手を焼いており、18分にはGKがかわされて打たれたシュートをゴール前1メートルもない場所でディフェンダーがクリアするシーンもあった。
しかし、2分後に奥村が右サイドで粘って上げたセンタリングを山本が右足で決めて先制する。しかし、一条はその後も技術力の高さを活かしてポゼッションをするものの、シュートまで行く場面は少なく東海大三の攻撃に手を焼いている現状に大きな変化はなかった。そして、ロスタイムに東海大三の平林に決められて同点に追い付かれて前半を終える。
後半は一条のドリブル突破やポゼッションの技術が東海大三のディフェンスラインに対してボディブローのように効いてくる。ディフェンスラインが徐々にラインを上げることができなくなってくるのだ。そうなると攻撃を跳ね返しても、そのボールを味方に繋げることが出来なくなるし、セカンドボールを拾える回数も減ってくる。前への圧力という武器は失っていないが、徐々に厳しい状況に追い込まれて行く印象を持った。しかし、東海大三の攻撃力はヤワではなかった。後半25分にはカウンターから2回連続で決定的なシュートチャンスを作る。
しかし、ここで決めきれないところが課題。その決め切れなかったボールは自らへのカウンターとなって、一条の竹本に決められて2−1と再び突き放される。が、カウンターの応酬となったこの時間帯はゴールが解放されたように点が入る。今度は2分後に東海大三の池上が久保田のアシストを受けてゴールを決めて2−2と再び同点になる。そして、9分後に今度は一条の奥村が中央からゴール前に飛び出して、GKと1対1の場面を作り、決勝ゴールを決める。「ワンプレーを積み重ねる一条魂」と前田監督が自負する姿勢を貫いて手にした勝利だ。
PK戦突入を直前に回避して勝利した一条は高い技術力は見せた。しかし、ポゼッションした割にシュート数は少なかったし、シュートの確実性も低かった。まだ技術の高さを強さに結びつけることは出来ていない。一条のサッカーには成熟の余地がまだまだあるが、どう成熟させていくのか期待して見守りたい。
以上
2006.12.31 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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