★6/26練習後の日本代表選手コメント
24日から千葉県内で行われている日本代表候補合宿も3日目。26日は当初、2部練習が予定されていたが、選手たちの疲労度などを考慮したオシム監督が夜19時からの1回練習にとどめた。トレーニング時間は1時間20分程度だったが、珍しかったのは、開始早々に守備陣8人が別になってポジショニングとビルドアップの確認を行ったこと。これには中澤佑二(横浜FM)、今野泰幸、伊野波雅彦(F東京)、阿部勇樹、坪井慶介(ともに浦和)、加地亮、橋本英郎(ともにG大阪)、駒野友一(広島)の8人が参加し、GKも2人加わる形を取った。
実はこの日の練習前、FW、MF、DFとポジションごとに30分〜1時間程度のミーティングが実施されたという。いずれも1次リーグ同組のカタールとUAEのビデオを見ながらオシム監督が注意点を話すというものだった。DF陣に対しては「こちらが攻めている際のポジショニングと、相手FWに個人技があって嫌な位置に入ってくることを主に確認した。カタールもUAEも前線に攻撃的な選手が多い。選手1人1人が意識しないといけないという話があった」と駒野は説明していた。そのポイントをピッチ上で徹底するためのポジション別練習だったようだ。
これまでオシム監督は練習時間以外に選手と積極的にコミュニケーションを取ることはしなかった。ミーティングさえもコーチに任せることが多かった。しかし新チーム発足後最初のビッグトーナメントが2週間後に迫った今回は意気込みが違うようだ。「他の国より日本は準備期間が少ないし、限られた時間でしっかりした意識を持ってやらないといけないと感じた」と佐藤寿人(広島)は神妙な面持ちで話し、中村俊輔(セルティック)も「オシム監督のサッカー観が聞けてよかった」と新たな試みを歓迎した。
アジアカップのような大会で勝つにはチームとしての一体感や結束が不可欠。こういった試みを通じて、彼らには少しずつまとまりが生まれ始めているようだ。
どんよりとした曇り空の中、行われた26日のトレーニングも、盛りだくさんの内容だった。前述の通り、まず守備陣は4対4を実施。その間、攻撃陣は3〜4人がワンタッチでボールをつなぎながらシュートまで持っていく形を確認していた。続いて全員が集まってハーフコートでの4対2+GKへ。これを発展させた4対4+GK、7対5+GKへと進んで行き、最後のオールコートでのゲーム形式の戦術確認が仕上げとなった。複数色のビブスが入り混じり、より高度な状況判断を迫られる中、選手たちはしっかりとボールをつないでフィニッシュまで行かなければならない。1年近い積み上げの結果、ゴールに至る過程はかなりスムーズになってきた。が、大熊清コーチが「ラストパスの精度に気をつけろ」と大声で叫んだ通り、フィニッシュに至る一歩前がまだ不正確な印象が残った。
もう1つ心配されるのは、シュートそのものがあまり入らなかったこと。国際経験豊富な高原や中村は正確なシュートを何度か打っていたが、それ以外で周囲の度肝を抜いたのは、羽生直剛(千葉)や本田圭佑(名古屋)、鈴木啓太(浦和)の豪快なミドルシュートくらい。「チャンスがあれば僕ら守備的なMFも前へ行かなければいけない。リスクが30%、チャンスが70%なら行くべき。中盤からの正確なシュートも世界で戦う大きなポイントになる」と鈴木自身、ゴールへの意欲を強めていた。
彼らの前進は明るい材料なのだが、やはり確固たる点取屋が出てこないとアジアカップのようなビッグタイトルは獲れない。過去2大会を振り返ってみると、2000年レバノン大会は高原と西澤明訓(現清水)という2人のストライカーが最後まで得点王争いを繰り広げ、それぞれ5ゴールをマークした。2004年中国大会は傑出したストライカーは不在だったものの、玉田圭司(現名古屋)と中澤が3得点ずつを奪い、中村俊輔も大事なところで2点を挙げている。取るべき人が取るべきところでゴールしたからこそ、日本は2連覇を果たしたのだ。
今回もチームを牽引する点取屋の出現が待ち望まれる。最も大きな期待を背負う高原は「自分らしさを出せれば必ずチームに貢献できると思っている」と力強いコメントを口にした。確かに彼はオフ明けとは思えないパワフルなシュートやポストプレーを見せている。高原が軸となるのは間違いないだろう。オシムジャパン発足時からの柱だった巻誠一郎(千葉)、何かのきっかけで大化けするかもしれない播戸竜二(G大阪)も動きにキレを感じさせるし、前田遼一(磐田)もジョーカーになる可能性を秘めている。
一体誰が頭角を現すのか。そのヒントになるのが明日行われる流通経済大とのテストマッチだろう。このゲームは選手を30人から23人に絞る上での重要な指標にもなる。すでに合宿を離脱した田中マルクス闘莉王(浦和)と水本裕貴(千葉)の動向にもよるが、いずれにしても数人の絞り込みはやむをえないのだ。サバイバルとチーム完成度の向上。二律背反のテーマを抱えた練習試合の行方が今から気になる。
以上
2007.06.26 Reported by 元川悦子
【スケジュール(7月7日〜7月29日)AFCアジアカップ2007】
7月09日(月) 17:20 vsカタール代表(My Dinh National Stadium)/Vissel koube
7月13日(金) 20:35 vsUAE代表(My Dinh National Stadium/VIE)
7月16日(月) 17:20 vsベトナム代表(My Dinh National Stadium/VIE)
7月21日(土) 準々決勝
7月25日(水) 準決勝
7月28日(土) 19:35 3位決定戦(Gelora Seiwijaya /IDN)
7月29日(日) 19:35 決勝(Gelora Bung Karno Stadium/VIE)
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