今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【ヤマザキナビスコカップ 甲府 vs 川崎F レポート】“こぼれ球の美学”に目覚めた須藤。七夕の夜、大ちゃん祭りで一歩前進した甲府(07.07.08)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
7月7日(土) 2007 ヤマザキナビスコカップ
甲府 3 - 2 川崎F (18:30/小瀬/11,187人)
得点者:'5 須藤大輔(甲府)、'26 オウンゴ−ル(川崎F)、'31 須藤大輔(甲府)、'56 ジュニーニョ(川崎F)、'89 須藤大輔(甲府)

----------

ラストパスを出した石原は、須藤がシュートを打った瞬間思った。
「外した」
しかし、須藤の左足がダフり気味に打ったボールの軌道は、“ふぁ〜ん”とスローモーションでGK・相澤の上を越えてゴールに飛び込んだ。
「あの人の場合は、ああいうのが入る(笑)」
須藤が(偶然)開発した近距離用ループシュートキックは、自身初となるハットトリックを達成するゴールとなり、甲府を未開の大地に一歩進ませた。

オフサイドに引っかかりシュートには到らなかったが、甲府は誰が支配者なのか見せ付けるようにキックオフのボールを失うことなく、約50秒間繋ぎ続けた。そして、5分に須藤のゴールで先制して主導権を握る。ただ、第11節(5月13日)の対戦でも、3分に増嶋のゴールで先制しながらも1−3で敗れているので、90分後の未来を楽観は出来なかった。

中盤の支配率は甲府が上回るものの、川崎Fの個の質の高さは、攻守の切り替えが悪ければ1本のパスでシュートまで持っていくことが出来ることを何度か思い出させてくれていた。そして、26分にオウンゴールという形で川崎Fの攻撃の怖さが実を結ぶ。早い時間に先制して、追いつかれるのは第11節の流れと同じだった。1−1になってからはお互いにフィニッシュの形が見えにくい時間帯が続いたが、31分に須藤の強引なドンピシャ・ヘッドが決まる。このゴールは、今夜のストーリーが第11節とは違うことを証明してくれた。アシストの井上が、「2点目は大ちゃん(須藤)しか反応してくれない(難しい)シュートコース」と言うだけの素晴らしいゴールだった。

川崎Fは第11節の対戦とは違い、3−5−2で臨んできたと思っていたが、箕輪は「最初は(DF)4枚のつもり。僕が宇留野をマークして、村上が24番(大西)を見る形。24番が少し下がり気味だったので変則の3バックに見えたのかもしれない。僕と中の2人(寺田、伊藤)との関係は、3枚の時とあまり変わらない」と話した。そうなると、右サイドの森に攻撃のアクセントとしての期待がかかる。森が今季Jリーグで上げたゴールは全て甲府戦で、甲府にとってまさに曲者的な存在。しかし、川崎Fの攻撃は組織としてなかなか形にならなかった。森個人の問題ではなく、「甲府はバックパスに対するプレスの勢いがある。(甲府のゴールに)背を向けてボールを返してくるのではなく、ボランチにはもっと積極的に前を向く状況を作ってほしかった」と、箕輪が話したことも一因なのかも知れない。逆から見れば、甲府の前線からのチェイシングは川崎Fの守備陣にはボディブローとして効いていたのだ。

後半の56分にジュニーニョのゴールで川崎Fは同点に追いつくが、勝ちきれなかった。ジュニーニョのドリブルでの掻き回し、鄭のフィジカル能力の高さ、谷口の攻撃参加と見せ場は何度もあった。アンカーの井上が、「攻守の切り替えの勝負になると思った。(谷口とはアップ&ダウンの)シャトルランの勝負をして勝とうと思った」と話したように、甲府の組織としての意思が、川崎Fの組織と個のレベルの高さに粘り勝ったのだ。何より素晴らしかったのは、池端のカバーリングだ。身体能力の高さに戦術的判断の正確性が加わった池端の信頼は厚く、石原に「(池端が後ろにいるから)勇気を持ってラインを上げることが出来る」と言わせるほど。彼の存在がなければ3点目は川崎Fが決めていたかも知れない。

しかし、ロスタイムに3点目を決めたのは祭りの主役・須藤大輔だった。1点目は左足、2点目は頭、そして3点目は左足と、腰の高さのボールでも頭で狙う須藤らしかぬ足での2ゴール。だが、「泥臭い」という持ち味は失っていない。安間コーチは「一時期は忘れかけていたが、再びこぼれ球の美学に目覚めた」と須藤を評価する。足で決めたゴールは全てジャストミートしていない。ジャストミートしていたのは頭で決めた2点目だけ。しかし、3点共に、気持ちは全てジャストミートしていた。だから須藤はサポーターに愛される。

第2戦(7月15日)は甲府にとって初の国立競技場(川崎Fホームゲーム)での試合となる。クラブとしては8月18日(第21節)に国立初体験となる予定だったが、予定は変わるもの。国立経験のある井上は、「広島ビッグアーチみたいな感じって思えばいい」と未経験選手が多いことを気にしない。川崎Fの選手は「アウェーで2点取った」ということを希望に繋いでいるが、甲府は引き分けるつもりはなく第2戦も勝ちに行くだけ。勝てばアウェーゴールが云々という話は関係なくなる。ただ、気になるのは試合後の箕輪のコメントだ。

「ひとりのサッカー人として甲府のサッカーを尊敬している。対戦して、チームの完成度が上がっていると感じた。だからこそ、しっかりと準備をして第2戦を戦う」
甲府のサッカーを箕輪が褒めてくれたことは嬉しいが、相手を尊敬して謙虚に戦ってこようとする姿勢には隙がないから怖い。甲府の選手も次の勝利が今日の勝利に意味を持たせることを知っている。ACLで鍛えられた川崎Fとの第2戦が激しい戦いになることは必至だ。

以上

2007.07.08 Reported by 松尾潤
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着