7月11日(水) 2007 J2リーグ戦 第27節
札幌 2 - 1 福岡 (19:03/札幌厚別/6,220人)
得点者:'9 曽田雄志(札幌)、'32 田中佑昌(福岡)、'80 西谷正也(札幌)
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公式記録では気温15.8度。アウェーの福岡は何人もの選手が長袖ユニフォームを着ていたように、7月の試合としては気温の低いなかで行われたこの試合。試合中のインターバルにも選手が給水に走る場面はそれほど多くなく、比較的快適なコンディションで、90分を通じて運動量の落ちることのない好ゲームが展開された。
ホームの札幌はシステムこそいつも通りの4−4−2だが、左右MFの西谷、カウエが普段よりも若干高いポジションを取る形でスタート。ポゼッションスタイルの福岡は左右のサイドバックに展開し、そこから攻撃を開始してくるため、そこへ素早く寄せるためのフォーメーションなのだろう。福岡は守備時こそ4−2−3−1のシステムだが、ボールを保持する場面ではチェッコリ、柴村という左右サイドバックが一気に押し上げ、それに応じて久永、田中の左右ウイングが高い位置まで張り出して3トップに近い形で攻撃をしかける。
堅いゾーンディフェンスをベースとし、そこからシンプルなカウンター攻撃を仕掛ける札幌。ボールを保持した場面ではゾーンを上げ、グラウンダーのパスを何本もつなぎながらチャンスをうかがう福岡。この試合はそうした2つの異なるプレースタイルが真っ向からぶつかり合う展開となった。
そして、前半に両チームが得点を奪う。9分、左サイドから西谷が蹴ったフリーキックを曽田が頭で合わせ、それを一度はGK神山が跳ね返すもそのこぼれを再び曽田が蹴り込んで札幌が先制すると、32分には絶妙なタイミングで2列目から飛び出した田中が右足のシュートを流し込んで福岡が同点とする。
守備の堅いチームが多く、膠着した展開が多いJ2ではあるが、「お互い運動量の多い、攻守の切り替えの速いゲームになった」と札幌・三浦監督が振り返ったように、福岡がポゼッションを軸とした攻撃的なサッカーを志向し、札幌がカウンターで応戦する。そうしたスタンスがガッチリと噛み合い、両ゴール前でのプレーが多いアグレッシブな試合がこの日は展開された。「今日の試合はオープンなゲームだった」と福岡・リトバルスキー監督も総括した。
そうした中で存在感を示したのは札幌のエースストライカー・ダヴィだった。札幌が攻撃に移った瞬間に、すぐに空いたスペースへポジションを移してボールを受け、しっかりと起点を作る。時にはそこから素早くターンをして福岡ゴールに向けて突進するなど、細かなテクニックこそないものの、そのダイナミックな動きは福岡守備陣を何度も脅かした。
決勝点を演出したのもそのダヴィだった。80分、カウンターからボールを受けると縦への強さを発揮し、相手DFを置き去りにしながらアタッキングサードへ進入。ペナルティエリア内で福岡GK神山に倒されてPKを得たのだ。そしてそのPKをこの試合がリーグ戦通算200試合出場となる西谷が左足で冷静にゲット。エースのダヴィが演出したチャンスを生かした札幌が追加点を奪い、その得点が決勝点に。札幌がホームで久し振りに勝点3を獲得した。
この勝利で札幌は勝点を54にまで伸ばし、首位の座をガッチリとキープ。一方の福岡は前節まで引き分けを挟んでの4連勝と調子を上げていたが、ここで足踏みとなってしまった。とはいえ、この結果が両者の明暗を分けたという印象は少しもない。札幌は勝利こそしたものの、得点はセットプレーとPKによるものだし、失点のシーンはここ最近の課題である2列目の選手を捕まえ切れずに決められたもの。「勝点を奪う」というよりも、シーズン序盤同様に「勝点を拾っている」という印象のままである。京都、仙台といったチームが攻撃のバリエーションを増やしながらチームの伸びシロを増やしたり、完成度を高めていることを考えれば、札幌としても何かしらの攻撃パターンを身につけていく必要があるように感じる。現時点までは狡猾に勝点を積み重ねているものの、その勝ち方をシーズン終盤まで続けられるほどJ2は簡単なものではないはず。そして一方の福岡であるが、こちらは攻撃パターンを徐々にしっかりと増やしている印象がある。そして負傷明けの中村を徐々に慣らすなど、先を見据えた戦い方も行なっている。
果たして、狡猾に勝点を積み上げる戦い方を確立させた札幌がこのまましたたかに逃げ切るのか。それとも、さまざまなテストを取り込みながらシーズンを戦う他チームが札幌に追いつくのか。運命のJ2後半戦、目を離していい瞬間はどこにも存在しない。
以上
2007.07.12 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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