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【J2:第27節 山形 vs 京都 レポート】雨中のサッカーに徹した山形が先制するも、自力を見せた京都が2トップで2得点を挙げて逆転!(07.07.12)

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7月11日(水) 2007 J2リーグ戦 第27節
山形 1 - 2 京都 (19:04/NDスタ/1,944人)
得点者:'31 横山拓也(山形)、'44 パウリーニョ(京都)、'75 田原豊(京都)

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 公式記録にあるシュート数は山形5本、京都8本。しかし、実際はあと一歩でシュートに持ち込めるというプレーや、守備の処理を誤れば決定機をつくられてしまうシーンなど、両チームのゴール前にはいつ得点が生まれてもおかしくないような緊張感が張りつめていた。試合直前から降り続く雨は、試合が始まっても降ったりやんだりを繰り返す。水しぶきのなかで、第3クールが始まった。

 立ち上がりからペースを握ったのはホーム山形。前日には、ボランチを経由したサイドチェンジの練習を繰り返していたが、このピッチコンディションに、「今日は雨のサッカーをするしかない。スペースに入れていき、そこでポイントをつくってさらに前に行こう」(樋口監督)と、リスクを冒さない戦術を徹底する方向転換を図った。裏やサイドなどのスペースへ縦に蹴り込み、2トップの林、横山、あるいは右SHの北村をこれでもかと走らせた。

 山形の、ある意味吹っ切れた勢いに、京都は後手を踏む。立ち上がり、サイドで縦に仕掛ける北村に、引き出されたチアゴが抜き去られるシーンや、23分には三上が林にかわされクロスを上げられるなど、雨を味方につけた山形に翻弄される。さらに、奪ったあとの攻撃においても、山形のようなわけにはいかなかった。パウリーニョを裏に走らせるシーンも何度か見られはしたが、「山形のロングボールの起点が高い位置だったが、うちは自陣からのロングボールになっていた」(田原)。山形のCBレオナルドと鷲田がパウリーニョの動きだしに遅れることなく対応し、起点をつくらせなかった。中盤では、怪我から復帰した今季初先発の本橋が素早いチェックで京都の攻撃を寸断したり遅らせる。石井やパウリーニョや徳重が放ったシュートは、ミドルレンジからのものに限られた。

 内容では押していた山形だったが、シュートは打てていなかった。しかし、前半31分、この日最初のシュートが得点に結びつく。スローインのボールを足元で収めた中央の横山が、左の宮沢へボールを預け、自らはゴール前へ走る。タイミングを合わせて宮沢が折り返したボールを、横山が頭から飛び込みシュートに変えた。相手の攻撃を抑え込み、4試合連続となる先制点を挙げた前半は、山形にとってゲームプランどおりの会心の45分間だった。ただし、最後のプレーを除いては。

 京都が得た右CK。ニアに鋭く蹴り込んだ徳重のボールを田原がスラすと、一瞬早く反応したパウリーニョが体ごと押し込んだ。ゴールの喜びは天に伝えられる。京都が試合を振り出しに戻してハーフタイムを迎えた。

 後半は、京都が2位の片鱗をようやく現し始める。後半1分のCKでは、枠は外れたものの田原が競り勝ち、左サイドのスペースを突いたパウリーニョが、バランスさえ崩さなければボールに追いついたであろう動きを2度見せる。12分には角田がリスタートのボールで裏を狙ったが、最初のバウンドでボールが伸びなければ、あるいは田原が1対1に持ち込んだかというタイミング。個々の技術に優れた京都の高い調整力をうかがわせた。

 スペースを互角に突き合う時間帯がしばらく続いたあと、均衡を破ったのは京都。後半30分、途中出場の渡邉大剛のスローインをパウリーニョが右サイドでキープする。たちまち山形の選手に囲まれることになるが、しっかり引きつけながら、フリーの斉藤を見つけていた。ノープレッシャーでゴール前に入れたボールを、徳重がスルーした先で田原が右足で合わせた。

 1点を追うことになった山形は、秋葉のミドルシュートや、途中出場の坂井の縦への突破で攻め込むが、ロスタイム4分間をかけてもゴールを割れず。後半36分に横山がこの試合2枚目のイエローカードで退場となったことも響いた。

 蓋を開けた試合がたとえプランどおりではなくても、ゲーム中に修正を図り、90分終わってみればスコアではきっちりと上回ることができるのが、現在の京都の強さ。2得点が2トップによってもたらされたものであることも、シーズンの残り半分を戦ううえで心強い材料だ。4試合連続で通算8枚目のイエローカードを受けたチアゴが、次節から2試合出場停止となるが、これで失速しないだけの選手層もある。今節で勝った首位・札幌を勝点6差でぴったりマークしているが、「今の順位というのは何の意味もない。チームがどういうサッカーをやりたいのかということのほうが大事」(倉貫)と、その強さをさらに磨こうとしている。まずは次節、鳥栖に前回のリベンジを果たしたい。

 山形は4試合連続の先制点を勝利に結びつけることができなかった。この4試合の成績は1勝1分け2敗。勝ち切れない原因ははっきりとしている。「先取点が取れなくて苦しんでいた時期があったので、それが取れてるというのはいいことだが…。ディフェンスがしっかり頑張ってくれてるうちに、前めでしっかり追加点を取れれば、後ろの選手ももっと楽に守備ができるんじゃないかなと思う」(宮沢)。早急には成果の出にくい課題に取り組むチームにとって、もうひとつ気がかりなのは、この試合で2000人を切った観客動員。平日や雨という要因を差し引いても心配な数字だが、「再創生(リスタート)」をスローガンに掲げたクラブも正念場を迎えている。

以上

2007.07.12 Reported by 佐藤円
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