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【J2:第33節 札幌 vs C大阪 レポート】好調・C大阪を首位・札幌が一蹴。完璧な試合運びで首位の力を見せつけた。(07.08.12)

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8月11日(土) 2007 J2リーグ戦 第33節
札幌 3 - 0 C大阪 (16:05/札幌ド/17,453人)
得点者:'9 藤田征也(札幌)、'46 ダヴィ(札幌)、'58 西谷正也(札幌)

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この日、敵地である札幌ドームに乗り込んだC大阪は第3クールに入ってから5勝1敗という好成績。7位という順位でありながらもJ1昇格圏内である3位との勝ち点差は僅かに3というところまで迫っていた。シーズン序盤から若い選手を積極的に起用し、様々なコンビネーションを試しながらリーグを進め、攻撃のバリエーションを充実させていよいよリアルに上位進出を目論むタイミングでもある。そんなC大阪が首位をひた走る札幌の独走にストップをかけるのではないだろうか、そんな可能性も秘めていたこの試合だったが、終わってみればホームの札幌が3−0のスコアでC大阪を一蹴。それも、完璧な試合内容で勝ち切ってしまった。

アウェーのC大阪は前節、2位の京都と攻め合いを演じ2−1のスコアで勝利。守備的MFアレーを軸にボールを動かし、両サイドバックが積極的にオーバーラップをすることでサイドからの攻撃に厚みをつけていた。攻撃陣は好調である。それに対しホームの札幌はこの試合、守備の要であるブルーノ・クアドロスが「今日、子供が生まれそうだということで、ゲームの方は見合わせた」(三浦監督)という状況。今季は右サイドバックでのプレーが多い西澤を急遽センターに移して応対した。

そうした要素を考えると、試合はC大阪が攻撃的な姿勢を発揮してボールをポゼッションし、堅い守備が持ち味である札幌がガッチリとゾーンディフェンスを敷くという展開になるだろうことは想像がつく。そして実際に、おおよそ展開としてはそうした流れにはなったのだが、試合はその展開から予想されるものとは異なる結果になった。

そうなった要因のひとつには、C大阪は攻撃陣が好調である反面、守備の部分に若干の課題を抱えていたことがある。この日のC大阪の守備的MFはアレーと宮本。この2人は視野の広さを活かした展開力が武器だが、危険なエリアを読んでカバーリングをしたり、相手ボール保持者にタイミングよくアプローチして攻撃を遅らせるタイプのプレーヤーではない。そうした結果、札幌の攻撃陣に前を向いてプレーさせる場面も頻繁に与えてしまった。そして、そうした状況であるにも関わらず最終ラインは悪いタイミングで押し上げてしまったり、あるいは攻撃的なサイドバックである柳沢とゼ・カルロスがラインコントロールに上手く加われず、最終ラインにギャップを生む場面を作ってしまったのだ。

9分の札幌の先制点はその弱点を突いたもの。C大阪DF陣が生んでしまったギャップに中山が入り込み、そこから抜け出して放ったシュートが右ゴールポストに当たった跳ね返りを藤田が押し込んだ。この先制点が試合の流れの大勢を決め、後半はC大阪が同点を目指して前がかりになった隙をついて2点を加えるという、理想的な試合運びで札幌が完勝したのである。

試合のポイントはもうひとつある。それは運動量の部分だ。
C大阪は明らかなマイボール時にはDFラインを積極的には押し上げず、無駄な体力消耗を避けていた。もちろん、これは決して特別なことではなくサッカーの試合ではごく普通のことである。しかし、この日のC大阪は前線でボールが収まってもそこからイージーなミスでボールを奪われ、札幌のカウンターを受ける場面が多かった。そうなるとラインが押し上げられていないため中盤にスペースが生まれ、良い形で攻撃を繰り出されてしまう。

それに対し札幌のDFラインは、相手ボール時はもちろん、マイボール時にもしっかりと高いゾーンを保ち、全体をコンパクトにしていた。そうしたラインコントロールを90分通じて継続することは体力的にはもちろん、メンタル的な疲労も大きい。しかし、マイボール時にも高いゾーンが設定されていれば、たとえ予想もつかないようなイージーミスから相手にボールを奪われたとしても、常に的確な応対ができる。この日の札幌は、そうしたコンパクトなサッカーを終始粘り強く展開した。

試合後、C大阪の森島康仁は「今日は運がなかった。内容的には決して悪いものではなかった」と振り返る。確かに、中盤からサイドに展開し、サイドバックの攻撃参加をも絡めたこの日のC大阪のサッカーは決して悪いものではなかった。しかし、悪いサッカーではなかったにも関わらず、3点もの差をつけられて敗れたことはひとつの重い事実である。

そして札幌・三浦監督も「気候の問題で、今日のような試合はもう不可能」と、もうひとつの重い事実を口にした。三浦監督は、空調の整った札幌ドームの気温こそが「サッカーをするに相応しい気温」と言う。つまり、サッカーに適した状況下だったからこそ、マイボール時にも高いゾーンを設定するサッカーができたということなのだろう。

この日の試合を終えて、次に札幌が札幌市内で試合を行うのはおよそ1ヵ月後となる。その間には移動の必要な室蘭や函館でホームゲームを行うし、暑い地域での試合もある。台風で順延となっている28節のアウェー徳島戦も組み込まれる。それらを見据え三浦監督は「ゲームコントロールの仕方を考えなければならない」と構える。果たして、首位・札幌はどういったコンセプトでこれからの厳しい日程を乗り切っていくのか。J2全体の行方を大きく左右するポイントと言っていいだろう。

そして、敗れたC大阪だが、前出の森島が言うように攻撃の質自体は首位の札幌をも上回っていた印象はある。あとはフィニッシュの部分と、攻守のバランスをいかに整えるかだろう。

徐々に残り試合の少なくなってきたJ2だが、まだまだ色々な出来事が起こりそうな気配は充分にある。最後の最後まで、気を抜いていい日はなさそうだ。

以上

2007.08.12 Reported by 斉藤宏則
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