8月19日(日) 2007 J2リーグ戦 第35節
福岡 3 - 0 山形 (19:04/博多球/10,284人)
得点者:'13 アレックス(福岡)、'53 リンコン(福岡)、'65 リンコン(福岡)
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「今日の試合が良かったのか、悪かったのか、それは次の試合で決まる」。土壇場で引き分けに持ち込んだ水戸戦(34 節 /jsgoal_archive/result/20070200030120070816_detail.html )終了後、久永辰徳はそう話した。この日の試合では、内容も結果も手に入れる必要があった。迎える相手は山形。勝ちきれない試合が続いているとはいえ、バランスのとれた守備組織をベースに戦う山形との対戦は難しい試合になることが予想されていた。そんな試合で見せた福岡の気迫と試合運びの巧みさ。福岡は最高の形で勝点3を手に入れた。
最初に仕掛けたのは山形だった。開始直後に放った横山拓也のシュートを皮切りに、3分には根本亮助が1対1の場面から、直後の4分には本橋卓巳が強烈なシュートを放つ。リスク覚悟で高い位置からボールを追い、奪ったボールを素早く右サイドに展開して攻め上がる。負ければJ1昇格戦線から大きく後退する山形。リスクを覚悟で勝ちに行く気迫が手に取るように伝わってくる。
しかし、福岡も決して下がらない。山形が前へ出てくる逆手をとって、久藤清一、宮崎光平がラインの間に走り込んで起点を作り、そこからカウンターを仕掛ける。そして13分、左サイドからの久藤清一のロングクロスを受けて抜けだしたリンコンが小原章吾に倒されてPKをゲット。これをアレックスが決めて先制点を奪うことに成功する。そして、ここから福岡の試合運びの巧みさが際立つことになる。
攻めの姿勢を崩さない山形を、バランスのとれた守備網を敷いてカウンターで押し返す福岡。それでも、右サイドの臼井幸平を起点にして前に出る山形の勢いが消えないと見ると、20分を過ぎたあたりで布部陽功を最終ラインに下げて4バックに。そして、深い位置でボールをゆっくり回しながら相手を動かして試合をコントロールする。山形は前半で10本のシュートを打ち、福岡のそれは2本でしかなかったが、それでも福岡が試合の流れを支配下に置いていたのは、山形の前に出るパワーを巧みに消していたからに他ならない。
そして後半に入ると、その巧みさはますます増していく。「相手がプレッシャーに来れないような幅と厚みを持ってボールを回すことを心がけた」(布部陽功)。1点のビハインドを追いながら山形はボールにプレスがかけられない。それでも山形が無理にボールに食いつこうとすると、後半からワンボランチ気味になっていた久藤が巧みにボールを配給。やや高い位置に出ている宮崎光平が、リンコン、アレックスに入ったボールをサポートしてゴールを目指す。動き回らされる山形の足から勢いが消えていく。
福岡の追加点は53分。ペナルティエリア内でルーズになったボールを見失った小原から田中佑昌がボール奪取。ゴール前へ送るとフリーになっていたリンコンの右足が唸る。この1点で山形は意気消沈。そして福岡は最終ラインのゆったりとしたパス回しでさらに山形の足から力を奪い、相手の隙を見つけては確実に山形陣内の深いところまでボールを運んで時間を使う。相手がコンタクトしてくるときは巧みに体を入れてファールを誘った。
もはや山形は何もできない。福岡は残された時間を使い切るだけでよかった。そして65分には、久藤、アレックス、リンコンとつないで中央突破。最後はリンコンが自身2点目となるゴールを決めて試合を終わらせた。
「2点目がなかったら違う展開になっていたという気持ちが強い」。そう語った本橋の言葉は本当だろう。ゲームスタッツは、ほとんどの項目で負けてはいない。1失点目は小原が目測を誤ったことで失ったもの。2点目もボールを見失ったことで奪われた。組織を崩されていないという思いは強いだろう。しかし、数字とは裏腹に、時間と空間を制した福岡に完璧なまでに試合をコントロールされた。「完敗です」。樋口監督の言葉通り、実際には何もさせてもらえなかった。
さて福岡。「ただ勝つのではなく、どう勝つか」。それが今シーズンの福岡のテーマだったが、いまその方法を手に入れかけている。得点が動いた後の慌ただしさや、縦に急ぎがちだった傾向は消え、ゆったりしたリズムをベースに緩急を使い分け、90分間の中で流れに応じて試合をコントロールできるようになってきた。残された課題は上位チームにどうやって勝つかということ。その答え次節の京都戦(8/26@西京極)で示すことになる。京都との勝点差は3。自分たちがいるべき場所に戻るために一丸となって勝利を目指す。
以上
2007.08.20 Reported by 中倉一志
J’s GOALニュース
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