8月20日(月) 2007 J2リーグ戦 第35節
徳島 0 - 1 水戸 (19:04/鳴門大塚/2,206人)
得点者:'44 小椋祥平(水戸)
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前半のアディショナルタイム。そこで全てが変わった─。
そして、その結果出された答えは…徳島の7連敗となる敗北、水戸の12試合ぶりとなる勝利であった。
試合を振り返れば、前半主導権を握ったのは明らかに徳島。水戸の前田監督も「本当にうちは何もさせてもらえなかった」と認めたとおり、徳島は自らの原点『しっかりした守備』を実践することにより試合の流れを引き寄せていった。中でも効いていたのはまず西河と丹羽のセンターバックコンビだろう。水戸が塩沢と岩舘の2トップに入れようとする楔を早い寄せと鋭い狙いのインターセプトでことごとく寸断。全くと言っていいほど水戸に攻撃の起点を作らせなかった。また加えて、青葉と塩川の両サイドバックもその守りに大いに貢献する。巧みなポジショニングで裏のスペースをケアするとともに、タイミングを見計らって高めの位置へも進撃することでサイドエリアでの優位を常に押さえていたと言えよう。
すると徳島は、ボールを奪った後の展開も時間を追うごとスムーズになる。熊林とダ・シルバが左右へ流れる長谷川と小林へ効果的な配球を見せて可能性を感じる組み立てを披露すれば、片岡も中央へ侵入して思い切りの良いミドルシュートを放つなど奮闘。チームが確実にペースを上げつつあることを攻撃面からも十分に感じさせた。
が、しかし、そこで冒頭の時間帯を迎える。
徳島の不用意なファウルでFKを得た水戸は、単純にクロスを放り込む選択はせず素早く右から展開。折り返しは一度撥ね返されるものの、そのこぼれ球をペナルティエリアやや外で拾った小椋が右足をコンパクトに振りぬきコース、スピードとも申し分ないフィニッシュを徳島ゴールへと突き刺した。願ってもない時間での待望の先制点。それまで形らしいものさえ作れなかった水戸にとってはまさに『してやったり』のゴールであったことだろう。
そしてこのゴールを境に戦況は一変。迎えた後半は、先制した事で精神的落ち着きも得た水戸が立ち上がりから自分たちの『攻撃的アクションサッカー』を展開し、それによって立て続けに決定的と思えるシーンを作り出した。また、投入さえた西野をはじめとして選手たちは前半と見違えるような積極性も見せる。特にそれを引っ張っていたのはビジュで、驚異的な運動量での献身的なプレスはもちろん、マイボールとなれば果敢に前線まで飛び出して攻撃も活性化。
いい展開の場面に彼あり、と言っていいほど縦横無尽の働きを披露した。水戸に勝利をもたらした最大の功労者であるのは間違いない。
ただ、GK本間が「後半立ち上がりのチャンスを決めていれば勝負は早く決まっていたと思う」と語ったように、水戸としてはこの一戦でも決定力の部分における課題は解消し切れなかったと言えよう。自信を取り戻すキッカケとなる12試合ぶりの貴重な勝利を手にした次はその解決が急務となるはずだ。
対して敗れた徳島だが、あの前半アディショナルタイムを凌いでさえいれば後半きっと勝機も開けたことだろう。それだけにあれだけ出来ていた守備のわずかな緩みが悔やまれてならない。しかしながら、それが徳島の消えない課題。1試合全ての時間で自分たちのサッカーを徹底し切れないということが結果を遠ざけているのは事実であろう。
これで12位・徳島と最下位・水戸の勝ち点差は2に縮まった。次節の勝敗によってはその立場が入れ替わることもある。両チームの戦いとその結果に注目したい。
以上
2007.08.21 Reported by 松下英樹
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